第7話 悪がいない!(6)

「……それで?」

「うまくいったと思ったんだよ」


 ジャパンは女神に愚痴をこぼす。

 実際、女神には気づかれずに事を進められたわけだし。


 この場にはもうひとりいるのだ。



「簡単な話よ! あたしも世界からいなくなればいいだけ!」



 アイザがついてきてしまったのだ。

 計画は破綻した。


 びきっと女神がこめかみを鳴らす。


「わたしの仕事を増やさないでっていったでしょう?」

「増やさないように最善を尽くしました」


 女神は十二単の袖をぶんぶんと振り回す。

 ジャパンは顔面に拳をぶち込まれたのだった。


 その後どうしたって?

 おれは異世界をかき乱すのをやめたりしないぜ!

 たとえ変なの(アイザ)が増えたとしても、な?


 やっぱり平和はつまらない。

 おれは産まれる世界と時代を何度も間違えている。

 世の中はもっと悪に満ちていないと面白くない。悪がいるからこそ正義が立ち上がり、対立関係になるのだ。

 それがおれの求める理想世界。

 みんなに知ってもらいたい世界において真にあるべき姿。


 さて、次の転生先はどこにしようかなっと……。

 のちに『異世界荒らし』の異名をいただくことになるジャパンの旅は、まだまだ始まったばかりだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

おれたちチーム異世界転生 ~もう解決しちゃったなら新しい問題を配給します~ 水嶋 穂太郎 @MizushimaHotaro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ