第6話 悪がいない!(5)
「こんなことをしてなんになる!」
「ふはっははははは!」
かくして勇者アイザは魔王の復活により石化の呪いから醒めた。
すべてジャパンの計画通りだった。
経済の混乱から暴動に発展し、世界は混沌の時代に戻った。
「余はこの世界をかき乱したいだけよ!」
「先代よりも質が悪い!」
「自覚はある!」
「くっ、どう倒せば……」
アイザはジャパンをどうすればいいのかわからなかった。
ジャパンは転生で二度目の生を送った。
しかしアイザはまだそれほど生きてはいないのだろう。どういった世界から転生してきたのかも不明だ。
純粋に経験値の差があるのだ。
「簡単だ! 余は現時点をもって大魔王の座を退く!」
「はあ!?」
「そしておれを継ぐのはおまえだ、アイザ!」
「はぁ――あああ!!?」
ジャパンは邪悪な笑みを浮かべて、くつくつと笑い続ける。
「おれがいなくなれば人間であるおまえ側に世界が傾くだろう」
「それは……」
アイザは察しのいい女の子のようだった。
ジャパンの思い描いた世界の新たなる混乱を予期している。
「じゃああとはよろしくなー」
大魔王ジャパンはこうしてひとつの世界をかき乱して去って行ったのだった。
世の中は勇者という超遺物をめぐって再び戦乱に突入する――。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます