第12話 私と事件解明(後日談)
「起立、礼」
ノインが来なくなり、私は慣れない学級長の仕事をこなしていた。その動作はどことなくぎこちない。
そもそもなぜ私が学級長になっているのか? それも含めて、今回起きた一連の事件のその後を話そうと思う。
と言っても、大半は聞いた話なので一部不確かな情報があるかもしれないことは予め了承してほしい。
──ノインが黒幕だという揺るぎない証拠を持った校長は、あの調査の後各地を
最初に校長は、事件の真相を伝えに事件の担当捜査官の下を
校長はそこで集めてきた証拠を見せ、全てに納得した捜査官たちはすぐさま裁判所に逮捕状を出してもらった。
この辺の制度が現代日本と似ているのは、校長がそういう風に提案したら意外にも通ったからだと言う。
逮捕状を持った捜査官と校長一行は、事件の元凶であるサーカズム家へと押し寄せた。当然、彼らは逃げる間も無く拘束された。
その後信頼できる裁判官と弁護士、ついでに検事を用意して、ノインを被告人として裁判が開かれた。
王宮直属賢者の家系の息子が被告人ということもあり、世間はこの裁判に大きな注目を寄せた。あるいは私の身に起こり得た事態が、逆にノインの身に起こったのだ。
現在の王宮直属賢者、つまりノインの父親はなんとかしてノインを助けようと尽力していたようだったが、それでも救うことは出来ず法の前に敗れたらしい。
ノインの罪状は、日本で言う所の『殺人罪における
簡単に言えば、殺人をするよう
今回コネを使ったノインの父親は「暗殺者に依頼を仲介しただけで、事件には全く関与していない」とのことなので、彼は息子共々投獄されることは無かった。
サーカズム家はその後莫大なお金を払ってノインを釈放させた。勿論王宮直属賢者の家系が持つ貯蓄を持ってしても全てを賄うことはできず、幾分か借金を負ったらしい。
しかし世論がそれを許すはずが無く、それをきっかけにサーカズム家に対する風当たりは次第に強くなっていき、やがてサーカズム家は王宮直属賢者家系の地位から堕ろされることになった。事実上の失脚である。
案の定今回の事件に関与した2人の暗殺者も逮捕され、噂では死刑囚になったとかなっていないとか。
そして空位になった王宮直属賢者の家系という地位を巡って周りの賢者たちが我先にと争い始めるが、その話は私たちとは関係無い所で繰り広げられる。俗にこれは、「賢者戦争」と呼ばれるようになる。
一方多大な借金を負い途方も無くなったサーカズム家は、ノインを残してどこかに姿をくらました。
と言うのもノインは、私が決闘に勝って設けた彼への要望を叶える為に、廃人になりながらも保健室登校をしようとしていたからだった。
なお単身になった彼を、現在は校長が保護という名目で傍に置いている。
当然こうなった彼が学級長の仕事をすることも、ましてやクラスに来ることも不可能なので、私の下に学級長委託の依頼が舞い込んできた、という次第である。
「アリシアちゃん、ちょっといいかな?」
「カナリア先生、どうしたんですか?」
「ほら、色々あってノイン君来れなくなったでしょ? だから代わりの学級長を探しているところかな」
「は、はぁ。それがなんで私に……?」
「学級長になれるのは、クラスで一番の実力者かな。以前の一番の実力者はノイン君だったけど、アリシアちゃんはそのノイン君に勝った。だから今一番の実力者はアリシアちゃんということになるから、【3-Aクラスの学級長をやってもらいたい】かな!」
(ワーオそれは予想外だったな)
「……あの、本当に私が学級長でいいんですか? 私よりも相応しい人、他に居ると思うんですけど……」
「よく考えた上でアリシアちゃんに頼んでるかな。別に断ってもいいけど、学級長になると大変だけどいいこと沢山あるよ……?」
「…………わかりました。私、学級長やります。先生がそこまで言うのであれば、私頑張ってみたいと思います」
「ありがとう! じゃあこれ、学級長の仕事リストなんだけど──」
……といった具合で
あれから学級長の仕事で忙しくはなったが、それでも以前より少しだけ学校生活が楽しくなった気がする。
勿論変わらずサノやカルマたちと一緒に遊べているし、なんなら学級長になったことがきっかけで友達も増えたし、頼られる回数も多くなった。
結果論になるが、学級長になって良かった……と心の底から思っている。
(でも、皆が幸せなら、オッケーです! ( ´∀`)b)
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