物語の構成について② ~プロット初期に考えること・テーマ設定~
前回から引き続き、構成について述べていきたいと思います。
今回からは具体的な構成の進め方について触れていくつもりでありますが、これについては各人にあったやり方というものがあるはずです。自己で見出した方法が一番ですので、私の創作法などは「こんなやり方をする人もいるんだなぁ」と参考程度に捉えてくださいますよう、お願いいたします。
では、話を進めていきます。
いざ小説をつくろうとしたとき、私が最初に考えることとしましては――
①物語の原則
②オープニング
③結末
の三つです。
順番が前後しますが、先に②と③について解説していきます。
綿密に考える必要はなく、どちらも最初は大まかに設定します。②・③ともに構成を進めていきながら、変更を重ねるところなので、本当にザッとです。
③については執筆している途中での変更もありますし、そもそも最初から設定しないときすらあります。ただこれを最初に定めておくと物語が迷子になりにくいので書きやすいです。目的地はハッキリとさせる、余すところのない最高の旅行を計画するには必須事項です。逆にあてのない旅だからこそ見つかる出会いというものもあります。しかしやっぱり迷走しやすいので、同じところを行ったり来たりし過ぎないように注意が必要です。
大長編として見据えているので結末は決められないという場合には、当面の区切りだけでも定めておくといいかもしれません。第一章を書き上げたのなら、再びゴールを設定して、それを繰り返します。そうして自らが何を書きたいのかが見えてきたのであれば、最後の結末を用意します。まあ、そこまでの大長編は書いたことがないので、もっといいやり方があるかもしれません。
今回は例として、②「異世界に転生した主人公」が③「魔王を倒す」物語を設定しましょう。こういうときテンプレートというのは便利です。細かいストーリーについてはよしなに想像してください。
続いて①について説明します。
こちらは要するに作品の「テーマ」を設定するということに相当します。
ですが私の場合、「さあテーマを考えるぞ」という意気込みで頭を捻っても、中々にコレといったものが思い浮かびせん。搾りだしたとしても、妙に陶酔的で気色悪いモノだったり、ありきたりで陳腐であったり、壮大なテーマのくせにふんわりとし過ぎて具体性がなかったり。あまり物語には書き起こしにくいモノになりがちです。
そこで「テーマ」ではなく、原則という「ルール」を設定する気持ちで妄想を膨らませます。特別に深くて凝ったモノを設定する必要はありません。「絶対に『死ね』という言葉を使わない」だとか「泣きどころ一つにつき、下ネタを一つ」だとか「色気よりも食い気を徹底する」だとか、作品内でのちょっとしたルールを積み重ねていきます。そうすると作品内にて「一貫して言いたいこと」というのが次第と浮き出てきますので、気に入っている手法であります。ルールの数は、いくつもあって構いませんが、複雑すぎると厄介なので把握できる程度におさめます。
些細なことですが、「鉄則」ではなく「原則」としたのにもまた意味があります。あまりルールの縛りにとらわれすぎると、自由な発想の妨げになることがあります。上記の「『死ね』という言葉を使わない」というところであったなら、作品内で唯一に『死ね』という台詞のある場面をつくってもいいかもしれません。そうすることにより、作品のテーマがより際立つこともあります。どの局面において、どのような生い立ちのキャラクターに、どんな相手に告げる台詞であるのか、そしてどんな結果になるのか。それを考え込んでいくのも、またよい構成の練り方であると思います。
今回は例として①「登場人物はみんな良い人」というルールを一つ設定することとしましょう。
以上①②③をふまえて、定まった物語としましては――
「異世界に転生した主人公が魔王を倒す。しかし異世界人はみんな人が良く、もちろん倒すべき魔王もイイ奴です」
となります。
このまま執筆にとりかかってもなんら問題はないのですが、今回は構成についての話です。更に更に、物語を作りこんでいく必要があります。次回はプロット中期に考えることについて語ろうと思います。
余談ですが、構成をここまで進めた上で、私がすることが一つあります。
それは「類似する作品がすでにあるか探すこと」です。
創作をする上で、作品の内容がカブってしまうということは避けにくい事柄であります。物語の形態というのは好まれるモノが定まっているのも事実ですから、同じような物語が氾濫するものまた不可避です。カブっているのであれば差別化をはかる必要がありますし、結果としてプロットを没書することも多々あります。
私もせっかくweb小説を投稿しているのだから「異世界ファンタジー」というジャンルに挑戦してみたいという気持ちがあるのですが、絶対にネタカブりするだろうなぁと尻込みしております。
実は以前に「ナミヤ雑貨店の奇蹟」をみたときに、「感銘を受けた。私もリスペクト作品をつくりたい。そうだ今流行りの異世界ファンタジーと混ぜ込もう。題名は『異世界文通』かな?」と、思いたったことがあったのですが類似する作品は既にありました。ままならない。
調べてはおりませんが、上記の例題の類似作も既にあるだろうなと予想しております。もしいらっしゃれば、まったくの偶然であり他意はないことを、ここに申しあげておきます。
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