物語の構成について①

 小説を書く。

 いざそう思いたった際に目をとおす入門指南の多くには「構成を組み立てよう」「プロットを書きましょう」とあります。その重要性は言うまでもないことで、もし小説をこれから書き始めようとする方がいらっしゃれば、強くその方式をオススメします。ですが、実体験から申してしまいますと――


 べつに構成なんて意識しなくても物語を書くことはできます(暴論)。


 久しぶりに暴論を吐いてすっきりしたところで、言い訳をしていきます。

 なにせ私自身が、趣味として勢いとノリで執筆を始めた人間ですので、あまりキチンとした教育は受けておらず、ほぼほぼ独学で小説を書いてきました。構成と言われてもぼんやりとしか把握できず(これは今でもです)。ただただ溢れ出るのは、格好いいキャラクターやら面白いストーリー展開のみ。それらを自らが書きたいように書くのだと、キャラクターが勝手に物語を紡いでいくのだと、鼻息荒く進んでまいりました。正直に申しますと、それでも満足できる作品は書けます。

 今作の「はじめに」でも述べましたが、「創作の仕方は自由」というスタンスであります。なんでも杓子定規に「プロットを造りこまなければならない」だの「はっきりとした作品のテーマを掲げる必要がある」だのと申すつもりはありません。事実、いきなりに白紙の書面と向き合って、大傑作と呼ぶべき作品を生み出した偉大な先駆者はいらっしゃいます。スティーブン・キングなどは有名ですね。私も気の向くまま、風の吹くままに書き進めること幾年月、いくつもの傑作(皮肉)を生みだしました。ですが、当時の快作を改めて読むと直視できません。

 

 ――見るに堪えない。


 どうしてかと嫌々ながらに目を進めていきますと、やっぱり最大の原因は「構成が悪い」のです。所々の要素では今の私が見てもハッとさせられるような物語ではあるのですが、なにせ無駄が多い。おそらく書き直すなら八割がたは消去です。具体的に何が悪いのかと問われると「盛り上がるべきところで盛り上がらない」「同じようなストーリー展開を繰り返して飽きる」「途中でフォーカスされるキャラが目立ちすぎて、誰が主人公か分からない」「キャラクターの主張や信念がブレている」などなどです。細々と理由をあげればもっと出てきます。

 そうした「何がしたかったのか分からない物語」を生み出してしまわないためには構成という作業はとても重用します。もし、自らの創作の仕方を模索している方で「プロットなんぞ組んだことないぜ」という方がいらっしゃれば、ショートストーリーでも構いません、一度挑戦してみるのは如何でしょうか。

 商業作家としての小説家を目指している方には特にオススメしたいと思います。

 商業作家というのは人から評価されるのが仕事です。

 すべてを自らの感性の赴くままに創作して、作品を存命中に評価されるのは非常に幸運なことだと思います。作者の死後に評価された作品というのも多く存在します。評価されないのであればそれは世間の方に見る目がないのですから、いつかはきっと訪れる死後に期待するしかありません。それもそれで、とても幸運なことです。

 

 難しいことではないと思います。

 しかし面倒くさいことではあると思います。


 物語を俯瞰することにより、より世間に馴染みやすい作品を組み立てる。それが「構成」というものだと認識しております。より良い作品を生み出す方法の一つとして、とても有用です。


 ちなみに「当然の常識としてプロットは綿密に練ります」という方には、あてもなく文章を書いてみることをオススメしてみます。

 これがまた楽しいのです。

 稀に会心の一文がどこからか湧き出てくることがあり、小躍りしたくなるほどです。ただまあ、一年後ぐらいに見直したなら悶絶するほど恥ずかしい代物ができやすくはありますが。


 次回は「物語の構成について」の続きを語りたいと思います。

 具体的には私がどういう風に作品を組み立てているかを語っていきたいと思います。

 ……先に言い訳をしておきます。


 素人の適当な創作論なので真に受けないでください。

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