謎を解き明かす

 いったい誰が黒幕なのか?

 一連の事件の真相とは?

 それらをつきとめてゆく物語もまた、面白い作品の類型の一つだと考えられるでしょう。「謎を解く」という項目について語っていこうと思います。

 またまた言い訳を最初にしておこうと思いますが、私はミステリー作品を嗜みはしますが書けません。熱狂的に愛好している人ほど読み込んでもいません。あれは一種の奇抜な発想をお持ちの方でないと描写できないと思います。誰から見ても明白である謎というものは、滑稽なものでしょう。


 今回は「謎を解き明かす」物語にどうして面白みがあるのかを考えていきますが、わざわざ改めて疑問にすることでもないような気がします。クイズやパズルを解くことがどうして面白いのか? を考察することと同義であるような気がするからです。

 

 しかし、ただ問題集を解くだけではない、ストーリーがあるからこその面白みがミステリー作品にはあると思います。あれやこれやと解答を模索して、いざ正解にたどり着いた時の快感は得も言われぬものがあります。よしんば考えつかなかったとしても、物語の後半にて明かされる真相を理解したとき、その解答が理にかなった流麗なものであればあるほど、背筋にゾクリとした感激が走ります。

 


 一つ例を出してみたいと思います。

 

 Q.「卵の中には何がありますか?」


 とあれば、ほとんどの人が「卵黄と卵白」とか「ヒヨコ」だとか答えるのでしょう。

 では続いて適当なストーリーを付け加えてみたいと思います。


 Q.「ひどい別れ方をした彼女がやってきて卵を置いていきました。『買いすぎて余った』と無表情に言います。それも一つだけ。あなたは重度の卵アレルギーです。食べたら死にます。それは彼女も知っているはずです。そういえば昨今において菓子業界が第二のバレンタインを目指してイースターを利用していると聞きます。『何のつもりだ?』とあなたが尋ねると『それが私の気持ちだから』と去っていきました。残されたのはあなたと一つの卵のみ――さて卵の中には何がありますか?」


 答えは「無限の可能性」ですね。はい、余計なこと言いました。

 ストーリーが加わって推察する幅がグッと拡がったと思います。

 この後に、ああでもないこうでもないと考えるのが、私は割と好きです。もしくは主人公がそれを推理する役を担うのもいいかもしれません。彼女との日々を回想する主人公、あんなことがあったこんなこともあったと思い出を振り返り、一つの結論に辿り着く。それを確認すべく割った卵の中からは――という所まで妄想しました。短編小説くらいなら書けそうですね。

 ちょっと空想でよそに行っていたので戻ってきたいと思います。


 つまりは読者が「こうじゃないかな?」とあれこれ頭を悩ませるのがミステリー作品の肝なんじゃないかなと思います。それはミステリーを主眼に置いた作品だけに限った話ではないと思います。「この先どうなるのだろう? こんな結末かな? それとも奇をてらったこんな結末?」なんて考えるのは面白い作品には共通して覚える感情かと思います。

 私もいつかはハラハラドキドキとした先の気になる小説というものが書けるようになりたいものです。


 さて次回は「話の類型について」のまとめを語りましょうか。

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