第3話何を食べるか、誰と食べるか
うつむきながら、彼女はこくりと頷いた。
「僕もまだなんだよね。ちかくに中華屋さんがあるんだ、食べに行かない」
その言葉は勝手に口からでていた。
「ええ、いいんですか」
どことなく嬉しそうに彼女は言った。
赤いテーブルには餃子に天津飯、唐揚げ、エビマヨなどが並んでいた。
そこは大衆的な中華屋で、本場の味がリーズナブルな値段であじわえるということで有名だった。まさに一般市民の味方といえた。
彼女は唐揚げを頬張りながら、好きなアニメやゲームの話をしていた。
どうやら、僕のことを同好の士と認めたのだろうか、職場の年の離れた先輩というのではなく、気がねしない友人とでも認識したのだろうか。
よく食べ、よくしゃべった。
そんな彼女を見るのがここちよく、楽しいと思えたのはあまりにも年が離れていたため、ともすれば礼儀などというものを失った言動も許せてしまった。
梨香が敬語ではなく、友人に語りかけるように僕に話すのには、それほどの時間を有しなかった。どことくぎるのならあの中華料理をともに食べた夜からだろう。
むろん、社内では上司と部下の関係であり、彼女が馴れ馴れしくすることは一切なかった。
仕事帰りや休日に食事にでかけたり、買い物にいったりする関係になるのにはそれほどの時間はかからなかった。
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