三話


お前見たいな者に言うても意味ないだろうが…


まあ、その酒のつまみにでもしておけ。


後、儂にも酒は用意せんか!













八十年前の今日…

ワシは、最高の花を咲かせていた。


当時、ここらはちょうど山の奥じゃった。


その時のう。


遊んで、山の中を迷ってしまったんじゃろうな。


一人の男の子が、ワシの幹に凭れて泣いておった。





いつもの西から来る、心地よい風。


ワシの片は、その風に飛ばされて行く。


いつもの事じゃった…




じゃが、その子供は泣いている事も忘れ…

宙に舞うワシの片を見て、目をキラキラさせておったよ。








おまえ、きれいやなあ…

ズル…






鼻水を吸いながら…

キラキラ…


ワシは何か嬉しかったのを覚えとるわい…

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