カンプピストーレと繰術 その2


「もう!なんなのよ!!ムーは此処に居なさい。行ってくるわ!」


私も、2人の後をついて行く事にした。


どんどん面倒くさい方向に向かっているのを分かってはいたが、一度関わったら中々見捨てる事が出来ないのが、本当に私の悪い癖でもある。

というより、私をか弱い女の子扱いするのが、なんか勘に触った。


「わーっ、待って!ボクも行くよおっ!」


少し後ろの方から、後を追う様にムーの声が聞こえて来た。





……思ったより歩かされた。建物の角を4〜5回は曲がっただろう。薄暗い通りを歩き続け、段々と管理の行き届いていない荒んだ風景が目に飛び込んでくる。街の喧騒が聞こえなくなった。


「何だか、嫌な予感がするわ」


廃屋の角を曲がると、そこに颯輝の背後があった。

視線の先には、さっきの男の他に、目つきの鋭い男達が結構な数いる。ぱっと見た感じでは、8人くらいか。中でも、やたら図体が大きく、筋骨隆々なスキンヘッドの男が1人ひときわ存在感を放っていた。


男達は、こちらの様子を伺いながら、ニタニタと笑っている。中には舌舐めずりをする者もおり、これから狩りを楽しむつもりの様だ。狩られる相手は……そう。私達という訳だ。


待ち伏せ。つまり、これは罠だったのだ。

そして、まんまとハメられてしまった。

(ハマったのは颯輝だけどね。)


「あちゃ〜。やられたわね……」


「わぁ〜。怖そうなお兄さん達だね」


いろんな意味でフワフワしたムーが、遅れて到着する。


「おいおい!1対1じゃねえのかよっ?」


颯輝が男に慌てて問いかける。

多分、大男が視界に入っている所為だろう。その体格の差から、さっきまでは堂々としていた颯輝だったが、少し表情が引きつっている様だ。


「だ〜れも、1対1なんて言ってねえだろ、このボケがぁ!!さっさと、金目の物と、女と小さいのを置いて、此処でくたばりやがれえ!けへへっ!」


男が喋り終わるや否や、目の前の男達が、交渉の余地など無く一斉に襲いかかって来た。


「おいおい、おいおい!マジかよっ!」

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