第4話 最悪な出来事

今日は入学式のため、通学路は賑やかだった。

欠伸を噛み殺しながら、校門の前に設置されたクラス一覧表の中から自分の名前を見つける。どうやらまた、Dクラスだったようだ。

別にクラスによって実力差とかは無いのだが、どうしても最後だといい気分はしない。

Dクラスの生徒をずらっと見ていくと、見慣れた名前があった。

一人目は、俺の親友、成瀬 慎。コイツとは小学生からの安定の仲。

もう一人は、いわゆる幼馴染属性に分布され、ボブカットに優しそうな目、普通の胸、そして普通に可愛い。名は花摘 芽衣。

芽衣と同じクラスになったことは嬉しいのだが、問題点がある。

普通に可愛といいうのは、普通にモテると言っても過言じゃない。これマジで。

例えるなら、あの有名なラブコメ冴え〇ノのメインヒロインみたいな、そんな感じ。

そんな女子と毎日一緒に、登校してくる男子がいるならそりゃ恨みは買うだろう。俺だってそんな奴が居たら殴ってる。

ちなみに、入学式早々目立ちたくないため今日は一人で来た。

取り敢えず、教室行くか。



教室の扉を開けると、大勢にこちらを見られた。当然、あのテストの場にいたのは一部だと言え、紅の噂は当然広まってる。だが、トラブルは面倒なので気付かないふりをして、着席。本でも読むか。

教室内は見知った顔のヤツが大半だった。まあ、そりゃそうか。一応去年も同じ学年なわけだし。

しばらく活字をボーっと眺めてると、後ろから声をかけられた。

「また、クールに本を読むのがかっこいいと思って~」

振り向く前から、誰か分った。こののんびりした声だけで。

というか痛いところを突かれた。こういう時期なんだよ!

「いや、全然思ってねえけど?妙な誤解はするな、芽衣。俺は本が好きなんだよ」

「前まで、俺はラノベしか読まないとか、断言してたのに?」

俺の純文学をまじまじと見ている。

「だから、友達少ないんだよ」

「勝手に決めつけんな!」

見ろこれを、喧嘩してるだけだろ?

なのに周囲からは、またイチャイチャしてると思われている。

思春期男子は、ほぼアホと言っても過言じゃない。

まあ、俺もアホなんだけどな。

そんな会話をしていると、体育館に向かうよう、アナウンスで促された。

入学式か・・・めんどくせえな。




入学式は滞りなくスムーズに進んだ。

驚いたことと言えば、紅が入学式の新入生代表挨拶だったことぐらい。

まあ、俺はほぼ寝てたんだけど。

校長の話になり、時候のあいさつを終えると

「では今から、魔導王高校決定戦の我が校代表メンバーを発表します」

その声で生徒が一斉にざわめく。

魔導王高校決定戦とは、この国に五つある魔導士育成高校が、五人ずつメンバーを輩出し、様々な競技で戦い一番強い高校を決める大会だ。

優勝しても金などが貰えるわけじゃないが、名誉というものが貰えることに魔導士は喜びを感じるらしい。理解できねえわ。

校長の話で、このメンバーを発表する。これもいつものことだ。

どうせ、あの一年のクソイケメンと紅は10年に一度の天才らしいから、確定だろう。

「では、成績順に発表します」

その一言で、更に生徒の喧騒がより大きくなる。もう会場の熱気は最高潮。

正直どうでもいいから、暑苦しい。

じゃあ、呼ばれた順に解説していくぞ。

「3年A組八神 涼」

学校1強いと噂の男。聞いたことはある。なんかもう筋肉って感じ。見た目でちびる。背高いし。

「3年A組桐ケ谷 奏」

頭脳明晰でもあり、学校2強いと噂の人。聞いたことはある。金髪で長髪でイケメン。何となく雰囲気がいけ好かない。

「1年A組月城 紅」

お、凄いな、アイツ3番目かよ。俺の妹。

「2年A組小桜 笑満」

美人な女の子で銀髪ショートカット。でクールらしい。なんか、聞いた話だと誰にも頼らず、弱いところを見せない氷っぽい女子らしい。

「2年D組月城 蒼」

全然知らない。恐らくモブキャラ。

・・・・・・・は?



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天才魔導士の妹を持つ平凡な兄は苦労する 冴えないkitoki @kai_tunndere

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