第4話 チーム『ディジャスティス』

 射茅視いかやしに連れられて暫く経った。彼は俺の傷付いた腹を刺激しない様、丁寧にかつ素早く走り、目的地らしき所に辿り着いた。

 その場所はとても広く、とてもでかいものだった。名称は不明だ。


「俺等チーム『ディジャスティス』の家だ」

 チーム? 家? よく分からないが御父おとんと母とお姉様がいるといいな。もしかしたらにも会えるかも!


 射茅視は俺を降ろし、そこに入り込む。射茅視についていき、多目的室と書かれた部屋に入った。なんと読むのかは分からない。


「曲者!」


 俺が入ろうとしたら、俺みたいな子が何か長い棒を持っている。先端がツンとしている。当たったら痛そうだ。


「やめんか花褸紗かるしゃ

「スヤァセン。でも俺、こいつを入れるのは賛成できねぇっス」


 俺を入れるかどうかで揉め合っているようだ。見た所ここには知り合いはいない様だ。残念である。


「なんでかな? 理由を聞いても?」

「こいつっスよ」


 そう。俺は人間である。それと同時にリマキでもある。御父が人間で母がリマキだったため、俺はリマキ人間って事になる。


「うーん、まぁ見かけで判断するのも良くないし、意志が違ったら連れ返すよ」


 そういうことで俺は一応ディジャスティスの一員に仮という形で参戦することになった。


 ◇◇◇◇


 ここに着て5日が経過した。その間に俺は数字、言葉、歴史と様々な事を学んだ。新しく学ぶ事はどれも新鮮で楽しかった。


 何を学んだのかと言うと、例えば丁度一週間前に最大規模の地震が発生したということや、ヒーロー達をレッド・ブルーなどと呼ぶ事だったり、ここの場所は学校という場所であったり、近年ではリマキと人間が仲良していた時代があったとかなんとか。とにかく色んな事を教えてもらった。


 ついでにだが、俺が投げた物は手榴弾と呼ぶらしく、極めて危険な武器だと知った。なんでこの武器を知っているのかというと、御父が昔「危機があったら」とか言って、教えてくれたのだ。


 更に、このチーム『ディジャスティス』のチームメンバーも射茅視から教えてもらった。俺含めて7人いるそうだ。


 一番最初に俺に槍を向けた少年は『花褸紗かるしゃ』という。坊主頭で左目に眼帯をする11歳の少年だ。

 好きな武器に変形出来る便利アイテム、名を『メルチスティック』といい、それをいつも左手に持っている。いや、持っているというか繋がっているというべきなのか。そのアイテムから手を離しても、左手に留まっていたのだ。食事するのが大変とのこと。


 二人目は『射茅視いかやし』という青年だ。身長は186もあるそうだ。ここ『ディジャスティス』の団長を務めているらしい。

 射茅視の能力は『手を拳銃にする事ができる』というものらしい。彼曰く、若い子はいい異能を持つなぁ。と深く感心していた。俺の異能は弱いんだよねとでも言っているように聞こえた。時代によって異能も進化するのだろう。知らんけど。


 三人目は紙袋を頭から被っている『奏乃夜かなのよ』という少年だ。彼と話しかけても避けられる。年齢は聞いてないが、多分俺ぐらいの9歳だろう。声も聞いたこともなく、どうやら俺は信用されてないらしい。

 彼がどんな人なのか少し近付いて見ようとすると、不思議と彼の視点になる。彼の異能は『相手の視界を自分の視界に変える』とかそんな所だろう。顔隠されると見たくなるよな……。


 四人目は身長の高い綺麗なお姉さんの『美結陽びゆよう』だ。年齢は19歳で身長は射茅視と同じくらい。ポニーテールで笑顔が絵になるつり目の女の子。どうやら彼女は射茅視と付き合っているらしい。

 彼女の異能は『自己回復促進』と言っていた。怪我人に触れると、その怪我の自己回復速度が格段に跳ね上がるそうだ。

 この世界には骨折というアクションがあるらしく、それは1ヶ月もあれば完全に治るよと自慢げに話していた。他にも、浅い傷とかは秒で治ると言っていた。


 五人目は『青劉嫁ありゅか』というセミロングくらいの無口な女の子。前髪が目を隠しているため、きちんとした素顔は見れていない。

 彼女の異能は『十字架の物を弓矢の様に持って引っ張ると、矢がエネルギーという形で発射される物』だという。どうやってこの異能を見つけたのかとても気になるが、話しても無視されてしまう。セーラー服という物をいつも着ている。


 六人目は『麌蘭堂ぐらんど』というヒーロー撲滅隊の最高責任者である。チームメンバーというよりかは最高指揮官と言うべきか。他にもチームを従えているため、こちらに顔を見せる事は少ないが、見かけた際は礼をするよう射茅視に教えられた。

『素手で触れたものを腐敗させる』能力を持っており、人体に触れたら恐ろしいのだという。普段は特注の手袋をしているらしく、その素手を見た事がある人はいないと言う。


 そして七人目は俺だ。説明することはない。


 目的は皆違えど、協力してヒーローを倒していきたいと思っている。

 まずはここの皆に認めてもらい、ここの一員として自身を持てる様になりたい。

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