第13話:月光

「...なんで明日香...お前がいるんだよ」

「直樹君に呼ばれたから!」

「そ、そうか...」

遂に俺の頭はイカれてしまったようだ。

「それでぇ、直樹君は新しく好きな人が出来ちゃったけど、私みたいな結末にはしたくないと...」

「そうだよ、当たり前だろ...好きな人を殺してしまう、ましてや血を吸うなんて...ヴァンパイアの俺からしたら辛すぎるんだよ」

俺は明日香にそう言った。

明日香は真面目な顔になって俺に語りかけた。

「貴方は怖がりすぎよ。それにもう私の事は忘れてよ。そんなに引きずることないわ。私は貴方に最後言ったはずよ?『私がいなくても、君はもっと幸せになれる』って」

「...っ!...そうだけどよ...」

「だから、その娘を幸せにしてあげて!約束よ!」

「...わかった...明日香、お前の事はすまなかった...」

「もっと、前を向いて!直樹君は笑顔が素敵だから!」

「...そうかよ」

俺と明日香は見つめあって笑った。

「そう言えば、私のNSXはどんな感じ?」

そう、俺の乗ってるNSXは元々は明日香が乗っていたものだ。

「色はオールペンして紫にしたよ。あと、GTスポイラーはとっぱらったよ。」

「へぇー、でも乗ってくれてるんだね!ありがとう」

「こっちが感謝するべきだよ。あんなにいいマシンを譲ってくれて」

「とにかく、彼女を幸せにするのよ?」

「わかったよ...絶対に幸せにしてみせる!」

気づいた時には、明日香はいなかった。

「...明日...家に行って、告白するっ!」

俺はそう心に決めてNSXに乗り、走り出した!


続く...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る