第10話:静寂

「...え、なんで...人を殺したって...」

「...隠していてごめんな」

私は赤羽さんが人を殺したと聞いた時、今までにないほどショックを受けた。

「...とにかく、結衣。話を聞いてくれ」

「...うん」

赤羽さんが人を殺すなんて信じられなかった。

「...1年前の話だ。その頃、俺には彼女がいた。人間のな。」

それを聞いた時、私は少しだけ嫉妬してしまっていた。

「...俺は、彼女と家で料理をしていたんだ。その時...彼女は指を切ってしまったんだ。」

あぁ...なんとなくだったが、その時の私には、この後話す内容が理解出来ていた。

「...彼女は俺に、『指、舐めてもいいよ』、と言われたんだ。」

赤羽さんの目からは涙が零れていた。

「...そのあと、俺は理性を失ってしまって...気づいた頃には...彼女は、息を引き取っていたんだ...」

あぁ、やっぱりそうだ。

神童子さんに「青春だね」と言われた時に、苦しそうな顔をしたのは、これが理由だったんだ。

「...そんな事が...あったんですね...」

「......だから、もしも君が俺の事を好きになってしまったら...その時は諦めてくれ」

その言葉は私にとってあまりにも、ショックかつ切ない言葉だった。

「...嫌です」

「!?」

「...どんな状況に置かれても、私は赤羽さんと仲良くしていたいです」

「...ふふっ笑」

「...え?」

「それは俺への告白と受け取っていいのかな?」

さっきまで、悲しそうな顔をしていたのに、今はスゴく楽しそうに笑っていた。

その顔を見て、私は心底嬉しくなった。

「そ、そんなわけないじゃないですか!赤羽さんのバカ!」

「あはは...ごめんな笑」

「もう!」

「んじゃ、そろそろ俺は帰るよ」

「あ、はい!今日は色々話してくれてありがとうごさいました!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私はいつものように今日の出来事を日記にまとめ、ベッドに入った。

「......もしかして、赤羽さんも私の事が好きなのかな...」

そんな事を呟き、私は寝ることにした。


続く...

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