第7話:赤羽

恋心。

その言葉が私の頭から離れない。

「...(私は本当に赤羽さんに恋をしてるのかな)」

「えっとぉ、家に入れてくれないのかな?」

「え!いえ、入ってください!!」

赤羽さんが心配して来てくれているのを、すっかり忘れていた私は、慌てながらも赤羽さんを部屋へと入れた。

「赤羽さん、コーヒーどうぞ!」

「いつも、ありがとう。それと、赤羽じゃなくて直樹って呼んでいいからね?」

人生で名前呼びにしている人は蒼太以外にあまりいなかった。

だからか、名前呼びで良いと言われ私は戸惑ってしまった。

「...でも、私は"赤羽"さんって呼びたい」

「...そうかい」

「赤羽さんって普段は何をしてるの?」

「俺はヴァンパイアだけど、太陽の光を浴びなくても死なないから、普通に仕事してるよ」

私の想像では吸血鬼は太陽光に当たると死んでしまうと思っていた。

でも、本当は違うようだ。

「ケーキ食べようよ!赤羽さん」

「お、そうだったな」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

その後食べたケーキはいつも1人で食べるケーキよりも甘くて、美味しかった。

「ん、そういえば結衣ちゃんは今日も走りに行くの?」

「も、もちろんですよ!」

「じゃあ、結衣ちゃんのFDの助手席に乗っていいかな?」

「えぇ!?なんでですか!?」

まさか、そんな事を言われるとは思っていなかった私は顔を真っ赤にした。

「...ダメなのか?」

「...いえ、構いません!むしろ是非乗って欲しいです!」

「俺のワガママ聞いてくれてありがとな」

彼はそう言って私の頭を撫でた。


続く...

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る