第七話 妖刀VS魔剣

「ぐっ!?さっきカレーを食べたばかりなのに……腹が!?」

「ふふふ、わたくしの魔剣慈ゑ延ゑ是じぇのべーぜ神炉離かろりぃを喰らい無限に百京号えくささいずするいわば永久機関なのです!」

「そんなわけないじゃない!」

「あるんですよ!なぜなら!」


 ハッとして周囲を見渡す。先程まで集まっていた『生産者の顔面暴力』のファンがいない!?……ランチ買ってる!?


「お腹が空けば当然!食事を摂りにいくんですねぇ!」

「ファンが神炉離かろりぃを摂取し、そのファンから神炉離かろりぃを奪って……くっ。確かに無限神炉離かろりぃ燃焼ループね……!」

「これこそが大越刀だいえっとう慈ゑ延ゑ是じぇのべーぜのマナー力!ふふふ、マナーの偉大さマナーの強大さがわかりましたか?」

「だからマナーマナーってねぇ……アンタの神炉離かろりぃ吸収攻撃とマナーに何の関係があるのよ!」

「え、そんなこともわからない?姫なのに?」

「ムキー!!!」


 お姫様は目からハイビームを出しながら怒り心頭の様子。……仕方ない、この場を納めないとな。


「姫様、バックしてくれ」

「ピザムライ……!?アイツに勝てるの!?」

「ああ勝てるさ。俺はピザムライだからな」


 体内で神炉離かろりぃを燃焼、百京号えくささいずに変換。


うなれ妖刀、魔流牙璃ゐ太まるげりぃた慈ゑ延ゑ是じぇのべーぜ百京号えくささいずを打ち消せ!」

「何!?貴方もピザソード使いでしたか!」


 魔流牙璃ゐ太まるげりぃたから発せられたこうばしい香りが慈ゑ延ゑ是じぇのべーぜ百京号えくささいずを上書きする。


「「なんだこの美味しそうなピザの匂い!」」

「「モチッジュワットロッとしたイメージが溢れてくる!」」

「「想像だけでお腹いっぱいになるー!不思議ー!」」


 俺の百京号えくささいずで他の人に神炉離かろりぃを分け与えてやる。もちろん、拓男も例外ではない。


「うあぁぁぁ!?肉体に直接神炉離かろりぃがぁ!?やめろ!やめてください!わたくしはマナーを守らないといけないのに!」


 ……んん? 神炉離かろりぃとマナーに何の関係があるんだ?

 って、拓男が慈ゑ延ゑ是じぇのべーぜを振りかざし切りかかってくる!


「あぶな!落ち着け!」

「落ち着けますか!わたくしは幼少期よりマナー講師の両親からマナーを完璧に守ることを強いられていたのですよ!」

「強いられていたのか」


 キィン!


「そんな完璧なわたくしが両親に命じられ作成した完璧なマナー本がバカ売れ、いちやく時の人にもなったのに!」

「命じられたのか」


 カァン!


「さらに書籍で得た印税で全国各地のアイドルグループを支援し、そのオタク共に両親から学ばされた正しいマナー教育を施すという事前活動までしているというのに!」

「学ばされた……」


 コォン!


「おい拓男、一つ質問だ。神炉離かろりぃとマナーにどんな関係があるんだ?」

「まだわかりませんか!さっきから言っているでしょう!わたくしのように人前に立つ人間は神炉離かろりぃを摂取してはいけないのです!完璧な肉体を保持することが完璧なマナーだと教えられたのです!」

「よしわかった」


 神炉離かろりぃを燃焼し、拓男の懐に入り込む。


「拓男、お前本当はマナーにうんざりしているんだろう?」

「ぐぅ!?」


 鋭い一撃を腹に叩き込む、拓男は意識を失った。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る