最終話 情熱の赤翼(4)
4
赤羽高校がリードを奪ってゲームを折り返す。それは、戦前の予想を大きく覆す結果だった。
守備一辺倒だったレッドスワンの戦いを、見ていた人たちがどう思ったかは分からない。それでも前半終了間際の攻撃は見事の一言だったはずだ。クロスの軌道も、ポストプレーの精度も、豪快なフィニッシュも、すべてが美しかった。
当初の予定では、
タイムアップまで守り切れる保証もないけれど、現在のところ、守備にほころびは生じていない。メンバーをいじるのは冒険でもある。
ドレッシングルームに戻ると、先発した選手に疲労の色はほとんど見られなかった。得点には疲れや精神的な重圧を吹き飛ばす力がある。
「前半は望外の結果を手に出来たけど、後半のプランは変えないわ」
テレビ中継用にハーフタイムのコメントを出した後、ドレッシングルームに入るなり、世怜奈先生はそう宣言した。
「予定通り
先発メンバーたちが力強く頷く。
「偕成学園はこれまでの相手とはレベルが違う。守り切ろうと思って守り切れる相手じゃない。同点に追いつかれても良い。逆転されても構わない。もう一点、取りに行くわよ」
設立当初、チームが掲げていた作戦方針は、仮に得点を奪えなくても、守り切って勝つというものだった。しかし、正GKの離脱により、当初のプランは完遂が難しくなった。
「
続けて
「
世怜奈先生は下級生たちに向き直る。
「点を取るのは二年生の仕事よ。もう誰にも『ウドの大木世代』なんて呼ばせない。君たちは
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