それでも母を信じようとした、理由。


 姉は。


大嫌いな存在でもありましたが。


家族の中では、唯一、私の話を聞いてくれる人間でも、時に味方になってくれる人でもありました。


友達もいない私は。


姉に。彼氏とだめになった話をして。


その姉は。


私が、彼氏のことで何か月も、長い間、落ち込んでいたことも知っていました。


・・・・・・・・・・。


姉は、吐きそうなくらい、でも、現実を受け入れるしかない私を。


呼び止めて。


どうして、私に対して、母がああなのか。


教えてくれました。


「実はな。私たちには、もう一人、兄弟がいる。」


という事実。


冒頭にも書いていますが。母は姉を連れて再婚しているのですが。


前の旦那さんとの間には、姉だけでなく、兄もいるそうで・・・。


兄は、当然ながら前の旦那さんが引き取ったそうです。


男の子はおいて行って欲しいという希望で、泣く泣く置いていったそうで。


だから。


もう一度。


好きな人との子供を作って。


泣く泣く置いていった、その子のぶんも、その子を愛そうと思ったのだそう。


私は、その母の愛情を背負っている。


私は、母の、失った希望なのだ。



その話を聞いて。



私は。


・・・傷は癒えなかったものの。


母を、信じることに決めたのです。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



いや~・・・・・私。今。結婚して子供いてますけど。


当時は、そう母をもう一度信じようって思いましたが。


今は、いろいろ思うことは複雑です。


「おおかみこどもの雨と雪」という映画が私はとても好きで。


育児で疲れたとき、この映画を見て、勇気をもらうのですが。


主人公だって、シングルマザーで年子の姉弟を育てているのだから。


私なら、たとえ旦那と私が分かれることになっても。


長女も次女も離れたくないです。


兄の存在は、私は知らないことになっていますが。


だから、そのときの母の心境は、いまだに聞けていません。

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