第25話 酔っ払いキャロライン(ロベルト視点)(R15)
キャロラインの母親の王妃の従妹という伝手を使ったんだろうが、キャロラインとの婚約があっさり受理された。
辺境伯家から、再三王宮に婚約誓約書の不受理について抗議の手紙を送っても、毎回定型文のような返答がきていただけなのに、侯爵達が動いたらすぐに受理されるとか、侯爵家の影響力は絶大だと、改めて痛感した。
実際は、ハンメル侯爵家ではなく、イザベラの一言で王が動いたのであるが、ロベルトはそんなことは知らない。
北の辺境伯、ハンメル侯爵家、さらにはイザベラの実家のミスティル一族(伯爵家だけではなくその傍流に至るまで全て)を敵に回して、王家が生き残れると思うのか……と、イザベラは覇気を全開にして王に詰め寄ったのだ。イザベラの覇気を正面から浴びたカザン王は、それだけでも蛇に睨まれた蛙同様萎縮し身動きもとれなくなったというのに、騎士団だけでなく辺境やその他諸々の場所で武勇で活躍しているミスティル一族を敵に回すとなると王国は破滅だ。
なるべく目だたないように、表舞台には顔を出さないようにと、王家とも距離を取って社交時期以外は領地に引きこもっていたイザベラだったが、大切な娘に危害を加えられて黙っていられる性格ではなかった。見た目は少女のように可憐なのに、一番ミスティル一族の特色を備えていたのはイザベラであったから。
最強の義母を手に入れ、最愛の婚約者を囲い込んだロベルトは、キャロラインが侍女達に連れていかれてしまった為、やる事もなくなり私室でくつろいでいた。女性と違い、湯浴みにも時間はかからないし、お肌の手入れなど不要だ。
毎日の習慣になっている軽い筋トレ(ロベルト的には)をし、シャワーを浴び、就寝前の読書をしながらワインを傾けていたら、部屋の扉がノックされ、なにやら扉向こうで「このかっこうは引かれるって……胸がある人が着るドレスだよ」「大丈夫です!お嬢様にはお胸はありませんが魅力的な足があるじゃありませんか」「いやいや、細いだけでしょ。身長があるから短い丈は似合わないから」「そんなことありません!魅力的なとこはロベルト様限定でガンガン出していきましょう」「いやいや、アンリ、押さないでってば……」などというやり取りが聞こえてきて、扉を開けに行こうと立ち上がったら、扉が開けられてキャロラインがつんのめるように部屋に入ってきた。
あれは確実にアンリに背中を押されたに違いない。
アンリは満面の笑みでロベルトに向かってお辞儀をすると、扉を完全に閉めて部屋には二人だけになった。
キャロラインは薄い紫色のスリップドレスを着ていて、真っすぐで細い足がまずはロベルトの目を惹いた。視線を上に上げると、華奢な腰に細いウエスト、控えめだが形の良い胸はちゃんと自己主張していたし、くっきりと出た鎖骨と細い肩は抱き締めたら折れてしまいそうなほどだった。
ロベルトの心臓が煩いくらい鼓動し、視線はキャロラインから離せずに身動きもできない。
「えっと……ごめんね、こんなかっこうで。アンリには似合わないって言ったのよ。でもほら、急にこんなことになったから……準備とかしてなくて」
「綺麗過ぎて……誰にも見せたくないな」
つい正直な気持ちが口から溢れた。
「こんな姿、ロベルト様以外には見せないから」
当たり前だ。誰にも見せるつもりはない。
ロベルトの中に独占欲のようなものが生まれ、キャロラインの全てを自分のものにしたくなる。この唇に、自分以外の男が触れたのかと思うと、どす黒い感情に支配され、今にもラインハルトの唇を焼き尽くしてしまいたくなる。
こんな嫉妬に狂った感情は、キャロラインには見せたくない。余裕のない男と思われたくない。それにこんなどす黒い感情を煮え滾らせたままキャロラインに触れたら、それこそ理性が切れて酷く抱いてしまいそうだった。
「寒くないか?」
「うん、寒くはないです」
キャロラインのこの姿をガウンででも隠せれば、少しは冷静にキャロラインに向き合えるかと聞いてみたが、暖房の魔導具がきっちりと仕事をしている為、快適過ぎる温度であた。
「ホットワインでもどうだ」
「飲んでみたい」
とりあえず座って落ち着こうと提案してみた。
キャロラインの為にホットワインを作り手渡す。これならばアルコールもほとんどとんでいるし、酒に馴染みがないキャロラインでも甘めに作ったから飲める筈だ。
「温めたから、アルコールも少しとんでいるだろう」
「……美味しい」
一口飲んだキャロラインは、頬を僅かに染めて嬉しそうに目元を緩めると、一息に飲み切ってしまった。ホットワインが気に入ったらしく、お代わりをおねだりされて、ロベルトはすぐに同じ物を作って手渡した。ロベルト自身は、ワインをそのままグラスに注いで飲む。酒に酔ったことのないロベルトにとって、ワインも葡萄ジュースもたいした違いはなかった。
「フーッ、熱くなってきた」
キャロラインは、パタパタと胸元を開けて手で風を送り入れた。
その際、頭一つ分以上高いロベルトからは、スリップドレスの中身が……形のよい胸に小さめだがピンク色に主張しているその尖り、薄い腹にある形の良い臍からその下まで……、全てが見えてしまった。
これは、誘惑されているのか?!
キャロラインの様子を見る限り、見えてしまっているなど全く考えもしていないのだろう。
あまりに魅力的な光景に、ロベルトは思わず唾を飲み込み、その予想外に響いた音をごまかそうと盛大に咳払いをした。
「ウウンッ」
「どうしたの?風邪?やだ早く寝ないと」
キャロラインに腕にしがみつかれ、ベッド方向へ引っ張られる。もちろん、それを拒否する理由など一欠片もないから、ロベルトも腕を引かれるままベッドへ向かった。
腕に押し付けられる柔らかい感触に、ロベルトのロベルト君は既に臨戦態勢だ。このまま興奮のままにキャロラインに手を出してしまったら、やらかしてしまう(理性がぶっ飛んで獣のように襲いかかる)未来しか見えない。
キャロラインに胸を押されて、ロベルトはベッドに倒れ込むふりをして、キャロラインと一緒にベッドへ転がり、素早く体勢を替えてキャロラインの上に覆いかぶさった。キャロラインを押し倒したいという無意識が、ロベルトの筋肉を操っていた。
「あれ?」
思っていた体勢と違ったのか、キャロラインはキョトンとロベルトを見上げ、いつもならば見せないような砕けた笑顔を浮かべた。いつものキリリとしたクールな表情が、フニャリとほころんで、ロベルトの思考、心臓、下半身に特大攻撃を仕掛けてくる。
「ヤバイ……視界いっぱい筋肉だ」
キャロラインは、ロベルトのはだけたシャツに手を突っ込み、ペタペタとロベルトの大胸筋に触れ、「筋肉最高!筋肉万歳!」とグフグフ笑っている。
いつものキャロラインとは様子も口調も違うが、その分身近に感じられて、ロベルトはキャロラインのしたいようにさせておく。というか、自分から触ってしまったら、絶対に歯止めが効かない自信があった。
キャロラインはロベルトのシャツを完全にはだけさせると、楽しそうに筋肉を撫でくりまわす。
「うーん、絶対におっぱいピクピクできるよね。そう、それそれ。ヤバイ楽しい。ふわーッ、カッチカチにもなるんだぁ。お腹シックスパック。綺麗に割れてるゥッ」
これは……完全に酔っ払っているようだ。
子供のようにはしゃぐキャロラインが可愛くて、キャロラインが言うように力を入れてみたり抜いたり、筋肉を動かしたりしてみた。
色んな部位の筋肉を触って筋肉を堪能したキャロラインがロベルトの下から這い出ると、今度はロベルトを上向きにさせ、その腹の上によじ登った。
腹の上ではあるが……キャロラインの尻にはすでに完全形になったロベルトのロベルト君が当たり、キャロラインが身動きする度にロベルト君は刺激されて暴発寸前になる。
しかも視界の暴力か?!ロベルトの大きな身体のせいでキャロラインの足が全開に開いてしまい、スカートは太腿までずり上がってしまっている。ちょっとスカートを捲れば、キャロラインの大切な部分が見えてしまうだろう。
キャロラインの両親(主に母親)からゴーサインももらったし、ここはもう流れに任せるべきではないだろうか?!
ロベルトの我慢も限界突破し、キャロラインの太腿に手を当てた。そのまま太腿を撫で上げようとすると、キャロラインは「擽ったいよ」とロベルトのお腹をペチペチ叩いた。
「キャロラインはもう存分に俺に触ったろ。次は俺の番な」
「えー、まだカミカミしてない」
「カミカミ?」
内心キャロラインの可愛らしい言い方に身悶えしながら、キャロラインの好きにさせてみると、キャロラインはロベルトの上に身体を倒すと、ロベルトの肩に齧りついた。どうやらキャロラインは筋肉を噛みたかったみたいで、たまにペロペロと舐めながらも筋肉の歯ごたえを楽しんでいるようだ。
歯形はつくが、特に痛くもないからキャロラインの好きに放置して、ロベルトはキャロラインのスカートの中に手を入れた。下着をつけていない生尻に触れたロベルトは、腹筋の力のみでキャロラインごと起き上がった。
「キャッ」
ロベルトはそのまま自分のシャツを脱ぎ捨て、キャロラインのスリップドレスの肩紐を落とした。スリップドレスは、重力のままにキャロラインの身体を滑り落ち、その薄い腹の辺りでクシャクシャっとたまった。
胸をさらしてしまっているのに全く気がついていないのか、キャロラインはロベルトの肩に手を乗せ、その胸元に齧り付こうとする。
キャロラインの顎に手を当て、上向きにさせて顔を寄せると、「まだカミカミしたーい」と膨れるキャロラインの頭をかき寄せ、その唇に喰らいついた。
舌をキャロラインの口腔内に押し込むと、キャロラインの舌も歓迎するようにロベルトの舌に絡みついた。
飲み込めない唾液が口から溢れ、二人の顎をつたったが、そんなことを気にすることなくしばらくお互いの舌を絡ませ合った。
ロベルトはキスしながら器用に自分のズボンを脱ぎ捨て、キャロラインのスリップドレスも取り去ってしまう。
生まれたままの姿で抱き合い、キスをしていた二人だったが、聞こえてきたのは「スースー」という穏やかな寝息で……。すっかり弛緩してしまった全裸のキャロラインの身体を見下ろし、ロベルトはしばらく呆然とした。
今寝るとか、そんなのアリか?!
今日あったことを考えれば、キャロラインがこんなに幸せそうに眠れたのは良いことなんだろうが……。
ロベルトは大きなため息を吐き出してキャロラインの横に転がると、眠ってしまったキャロラインを抱き寄せ、とりあえずは目をつぶってみた。全く眠れる気はしなかったが。
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