第120話 内湯の女衆

地下蔵に大量の米、味噌があるのだが龍一郎は地下蔵を暫くは隠して置くようだった。

甚八たちは食材を皆で分けて大量に持ち込んでいた。

特に米と腐りにくい味噌などの調味料と香の物は大量だった。

その夜の食事は持参した残りの握り飯と香の物だけで済ませる事になっていた。


男衆を送りだした女衆、百姓女は小屋に入り竈(かまど)に火を入れ大きな鍋を竈に乗せ鍋に水を大量に入れた。

三人の女衆は鍛錬に疲れていたのか板の間の端に腰かけ、只じっと百姓女の様子を見ていた。

百姓女は味噌汁を作るらしく「おたま」で味噌を樽からすくい鍋の湯に溶かしこんだ。

その後、葉物を水を張った桶につけた、食べる少し前に入れる様だ・・・と女衆は思った。

百姓女が次に何をするのかと見ていると隣の部屋へと消えた。

暫くすると百姓女の声が聞こえた。

「貴方たちも湯に入って汗を流しなさい・・・早くしないと男衆が戻ってまいりますよ」

百姓女の言葉とは思えぬ物言いに訝しさを感じながらも三人は湯殿へ向かった。

三人の女衆が浴室に入ると百姓女は既に洗い終わったのか湯に浸かっていた。

三人の女衆も汗を洗い流すと湯に浸かった。

こちらは男衆の様に賑やかとはいかなかった。

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