加賀の若様奮闘記

第99話 改築の始まり

元蕎麦屋の店の改築が始まった、其れは三度目の修行が終わって間もない日の事であった。

二度目の修行の後に龍一郎から金子を貰ったので直ぐにも改築できたのではあったが、その後思いも寄らぬお駒の料亭修行があり改築は揚羽亭を見てからと二人は考えを改めたのである。

三度目の修行中の毎夕餉の後に清吉、お駒はお花の考えも大いに取り入れ普請の案を練った。

二人は龍一郎、お佐紀から思わぬ金子が入った為、方針を改め龍一郎の命に従い、より高級な客を呼べる店にするべく建屋の全面改築は勿論の事、庭、船泊まりまで手を加える事にしていた。

当初の軽い改築の工期が二十日であったのに対し一月でも終わらず、四度目の山修行に行く前にも終わらず、山修行から戻ったときに新たな我が家を目にする事となった。