第100話 四度目の山修行
四度目の山修行に正吉、お美津が加わっていた。
二人は当然の様に初日の肩慣らしには皆に遅れを取る事は無かった。
清吉が龍一郎の許しを受けたその日から二人の事前修行が始まっていたのである。
昼日中に街中を走り鍛えるには如何にするか、それはお駒が考え付いたものである。
そう飛脚屋である、清吉が御用の合間に古着屋を回り飛脚屋の装束を四人分手に入れ清吉、お駒、正吉、お美津が飛脚屋の振りをして江戸中を走り回ったのである。
平太、舞、三郎太も走りたがったが子供の飛脚屋がいる訳も無く無理な話であり、三郎太は大きな法被が無く又如何に飛脚屋とは言え走りが早過ぎる為無理と決した。
何時もの山修行の夜の様に龍一郎とお佐紀が闇修行に出かけた。
因みにお早紀は臨月を迎え何時生まれても可笑しく無い日々で有った。
二人が出かけた後、残りの皆がこれも恒例と成った闇修行に出かけた。
正吉、お美津は小兵衛の組に入り代わりに富三郎、お景が平四郎の組に変わった。
これで組頭は小兵衛、平四郎、三郎太の三人がなり小兵衛にはお久、清吉、お駒、正吉、お美津、お花、平四郎にはお峰、誠一郎、舞、富三郎、お景が組み込まれ、三郎太にはお有、平太と普段通りだった。
だが四度目の時の組編成には一悶着が有った、清吉、お駒、誠一郎が二人づつの組で良いと言い出し当初否と言っていた小兵衛、平四郎が折れかけた、だが、其れまで黙していた三郎太が言った。
「世の中、何が起こるやも知れませぬ、況や(イワンヤ)此処は人里離れた山の中、魑魅魍魎が跋扈(バッコ)する場所に御座います、確かに皆様の力量目覚しい程に伸びております、そこで清吉さん、お駒さん、誠一郎殿にお尋ね致します、もし私の力量の者が襲い来る時、如何になさいましょうや」
「・・・・こんな山ん中・・誰が来るものか」
「清吉さん、答えになっておりませぬ、私はもしもと申しました、龍一郎様が一番に考えるは皆様の安全と心得えます、いかが」
「相解かった、大将・龍一郎の意に反してはならじ、三郎太、其方の申す通りじゃ、この小兵衛が組分け致す・・・儂の組には・・・・・」と組み分けが宣言された。
「・・・・悔しいが格が違うからね」とお駒
「・・・・何時になったら三郎太の域になろうかのぉ~」と清吉
この様な経緯(イキサツ)が有り四度目の山修行の闇の組が決まったのである。
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