第85話 清吉の商売変わり

龍一郎とお佐紀が用立てた金子で蕎麦屋の改築を行うと決まったが、それに先立ち清吉夫婦が近くに用意していた家の模様変えが先に行われ蕎麦屋の道具一式が運ばれ程なくして蕎麦屋が店開きした。

清吉、お駒の計らい通りに蕎麦屋は正平、お美津の夫婦に任せた。

但し、料亭が店開きしたおりには正平が暫く料理人として戻る事が約束されていた。

初日は自分達の初日と同じ様に半額にし以前の時から顔馴染みになった読売書きに大いに前触れを書いて貰い、ついでに自分達の蕎麦屋が料亭兼船宿になる事も書いて貰った。

そんな訳で蕎麦屋の初日は前の店以上に大が三つ付く程の満員、長蛇の列で清吉、お駒、平太、舞、三郎太では足りず、清吉の下っ引きを三人呼び出し手伝いをさせた。

それでも賄いきれずお駒の提案で翌日も半額とし、結局、半額は三日続いた。

但し、三日目にお駒の姿は無かった。

無論、お駒は料亭・揚羽亭へ顔見せに行きそのまま住み込みとなって料亭商いのいろはを習う事となった。

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