第22話 龍一郎への教育
その日より、三日毎に五人が集まり、龍一郎へ情報伝達と教育が行われた。
その内容は、多肢に渡った能登屋の商品の製造方法、生産地、江戸に届くまで関係する人々の金銭的生活環境、商品の販売先、現在の商売状況と蓄えを、別の日には加賀屋も同様の説明をした。
又別の日には、それら取引の中で藩の誰が賂(マイナイ=賄賂)を求めたか、金額は幾らか、それは今も続いているか、の控え書きを見せられた、但し、龍一郎の命により、その黒幕の追及はなされていなかった。
こちらの思惑が悟られるのを危惧してと命を狙われるのを危惧しての事だった。
藩の重席の姓名、役職、役務と姓名の書付を見た、それは詳細に渡り、度々の追加変更削除があった。
札差、両替商、香具師など江戸の商売の説明、老中、町奉行所、寺社奉行、普請奉行、遠国奉行、大目付、目付、など幕府の役職とその役務の説明もあり、その配下の者達からの賂の求めの書付を見せられた。
皆の話では、二つの店とも大藩加賀藩の御用達であるので、免れているが、他の店では、更に阿漕な目にあっているとのことだった。
それは、やくざ者のみかじめ料と証する金子の取立てと十手持ちの守り料で時に奉行所の同心、与力にも強要されるとの事だった。
龍一郎には、江戸でもかと俄かに信じられぬ事であったが、皆が言うからにはと、心に留めた。
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