第296話 <リゼ>


 その話題に触れたのは、冬休み当日。

 ジェイクに呼び出されギリギリ馴染みと言えなくもないカフェで一緒に昼食をとっていた時の話である。


 これからも彼の家庭教師をしてもいいのだという安堵感、そして自分ではなく彼個人の頑張りが親御さんに認められたからこその臨時報酬の話。

 頭がしばらくボーッとしていた。


 いきなり呼び出された時は馘首クビですか、と内心狼狽えていたが今はそんな懸念事項もなくなり彼と一緒の時間を楽しんでいた。


「そういやお前、またその服着てるんだな」


 ジェイクが突然そう言ってきたものだから、ぎゃあ、と肩が跳ねた。

 好きな人と外出するのに相応しい服などリゼはクローゼットに仕舞っていない。

 夏の話ならカサンドラに選んでもらったスカートや靴があるけれど、今は冬だ。


 人間と言うものは大変面倒なもので、春夏秋冬それぞれに相応しい装いという認識が共有されて久しい。

 動物のように毛を纏っていれば良いわけではなく、その場に即した格好をしなければいけないという常識がある。


 ……この寒空の下、一応女性らしく恥ずかしくない服と言えば、リナに編んでもらったこのセーターくらいしかない。

 ズボンの色は変わっているが、それはもはや誤差だろう。

 しかも前回会った時は隣に座って勉強中、そして今は食事中。

 同じ服装だということが完全に強調され、どれだけ着れる服が無いのだ? と哀れまれているような気持になった。

 だがフランツに返すはずだった剣の代金の話が消えたという事は、今後服を賄えるだけの余裕も出てくるという事。

 今日は。今日だけは着た切り雀と思われることを甘んじようと、動揺を鎮めようとする。


「はぁ、手編みのナントカだけはしばらく関わりたくねぇな」


 物凄くうんざりしたような口ぶりに、リゼは首を傾げた。

 そう言えば以前も急にこのセーターを抓んで恐ろしいことを話していた事を思い出す。

 元々リナという手芸女子が身近にいるリゼにとって彼の言動は「大袈裟だなぁ」と思う。


「また呪いのアイテムの話ですか?」


「実際呪いのアイテムだったんだから文句の一つも言いたくなるだろ!」


「どういうことです?」


 他クラスの特待生が、突然シリウスに手渡ししてきたセーター。

 髪の毛が一緒に編みこまれどことなく血染めを思わせる現物――そりゃあ、そんなものを見たら背筋が寒くなりそうなものだが。


「シリウスがセーター燃やすって速攻決めた、その話はしたよな」


 彼は胡乱な目で、引きちぎったパンを機械的に口に運ぶ。


「あれ、燃やせって言われて燃やしたの俺なんだよ。

 あいつ炎系統の魔法が苦手だからって、人を焚き火替わりに……!」


 わなわなと震える彼の指先。

 当時を思い出してイラっとしている様子は伝わって来た。


「ジェイク様って魔法を使えないのでは?」


「使えないわけじゃないって言ったろ、講義に出禁食らってるだけだ」


 万一暴走してもシリウスなら止められるからと、何だか物騒な話にリゼは現実感が全くなかった。

 リゼも魔法の講義でそれなりに炎系の魔法を習得してきたけれど、触媒がなければ魔力を魔法に変換することはできない。

 ゆえに魔法講義はまさにこの世とは一線を画した、人智の及ばない異空間そのものである。

 魔法と言う特殊な力が一般社会の中で大きく制限され、使用者が神殿に管理されている理由がよくわかる。


「あのセーター燃やしてからしばらく、夢見が悪くて寝不足でな。

 アーサーに解呪の儀式を手配してもらってようやく解放されたんだぞ、こっちは。

 ホント勘弁してくれ」


「え、そんな深刻な話だったんですか……?」


 まさか実害があったとは、あの口ぶりからでは想像できなかった。

 あの時カサンドラが話題を切り上げてくれたから、空気が悪くなり得るまで話に踏み込まずに済んだのだろう。


「んー、神官どもが言うには”まじない”?

 簡易な黒魔術? そっちの話は詳しくないから知らん」


 祈り、想いと言う名の”おまじない”を籠めて編んだセーター、それを燃やした実行者である彼が呪いを受けた。

 想いを籠めて編んだセーターをその手で燃やしたのだ、自業自得と言えばそうなのだろうが。彼が釈然としない気持ちになるのも分かる気がする。

 もらったのも、燃やすって決めたのもシリウスなのに。


「あの、普通に……編む分には……

 手編みって、呪いが籠められるようなものじゃないですよね?」


 情念が籠っているものが全てそんな不謹慎な呪いの品になるなんて聞いたこともない。

 恐ろしい話だ。


「それはないな、ない。あれは特殊事例。元々制作者に魔道士の素養があったんだろ。あれも才能の一つと言えばそうかもな」


 己の体の一部を使用した、黒魔術の一環。

 魔法陣を描いて動物の死骸やらを使用した本物の呪いではなく、本質を形容するとすれば……




  ――いわゆる、恋のおまじない。




 自分の一部を組み込んだ手作りのものを相手に着てもらえば相手は自分を好きになるよ、というちょっと危ない夢見る乙女たち御用達の黒魔術おまじない


 ……寝る前に枕を決められた回数叩いたら夢に好きな相手が出てくる、だとか。

 流れ星が落ちる前に恋する相手の名前を言えれば好意を持ってもらえる、だとか。


 本来毒にも薬にもならない、年頃の女の子のおまじないジンクス。それらが実際の効力を求めて過激化したものだ。

 世界は広い。普通ここまでしない、という事をやってしまう層も確実に存在する。


 ある意味で恋する女の子の本気。

 極めて間違った方向への真剣さ……!



 当然そんな事を知らないシリウス達には、ただただ呪いのアイテムを寄越された、というだけの印象しか残らないわけだが。そんなものの実在を知り、ジェイクはぞっと背筋を震わせた。


 リゼのセーターを抓んで確認してしまったのも、異物が混入されていないか気になってしょうがなかったからだそうだ。

 だとしても、リナがそんなことをするわけがなく無駄な行為なのだが。


 高貴な人というのは、危険が身近にあるものだ。

 例えば毒が入れられていないか銀食器で確認したり、調理場は常に監視下に置かれていたり。

 魔法や呪いを受けないよう、身に着けるものや手に取るものは魔力反応がないか専門の役割を持った随従がチェックしたり。

 迂闊に他人の悪意に晒されることがないよう、身分や地位のある人たちは下々の人間が思う以上に気を張りつめて過ごしている。


 だがいくら入念に確認すると言っても、下校途中に直接渡されてはどうしようもない。

 呪いと言っても、本人はただ恋のおまじないを実行した、という意識しかないのだ。罰するにも中々難しい――というより、怖いから関わり合いたくない。

 

「ああ、よかった……

 じゃあカサンドラ様が普通に編む分には、そんな怖い事にならないですよね」


 彼女が非常識な、相手を気味悪がらせるような品を誰かにプレゼントするわけがない。


「は? あいつ編み物なんかするのか?

 随分と似合わないことするんだな」


 リゼのホッと胸を撫でおろすと同時に放った言葉を、ジェイクは鋭い聴覚で拾い上げた。

 いくらジェイクでも、彼女に対して揶揄するような言い方は看過できない。


「なんてことを言うんですか!

 王子の誕生日に向けて手編みのマフラーに挑戦されるなんて――凄く素敵でカサンドラ様らしいと思いますけど!?」



 この時の自分のムキになった言葉がどんな意味を持ってしまったのか。

 年末にジェイクと会う日まで、全く知る由も無かったのである。




 ※  




 年末、年の瀬。

 学園生活一年目はまだ三学期が残っているけれども、あと二日で今年は終わろうとしている。


 ジェイクも忙しい時期だろうに――いや、忙しいからこそ息抜きがしたいとリゼに話を振って来た。

 以前剣術大会の前に学園内で剣の組手をしてもらったように、早朝誰もいない場所で身体を動かしたいという提案を受けた。帰省のことなど頭からすっぽ抜けてしまうくらい衝撃的な出来事だった。

 まぁ、リナはリナで本人も宜しくやっているようだから無理に断らなくて良かったのだけど。


 新年に向けて屋敷の中全体が慌ただしく忙しない非日常下、自分一人だけストレス発散というわけにもいかない。

 剣の相手とすればいくらでも思いつくが、ロンバルド家に関わる人間に見咎められれば何かと面倒だ。


 ゆえにリゼにお声が掛かった。

 宴だパーティだ挨拶だなんだと予定が詰まった年末、その間隙を縫うようで申し訳ないが訓練をしないか、と。

  

 自分が庶民で良かったと思う事の一つは、しがらみが一切ない、ということだと思う。

 要するに自分は彼にとって面倒でない相手だ。

 リゼさえ節度を守って今の距離感を意識できるなら、このまま気が置けない同級生という立ち位置でいられるのだろう。


 入学当初から考えれば破格の待遇。

 だがそこから先には余りにも高く分厚く、天頂を仰ぎ見ることさえかなわない絶対的な壁が聳え立つ。

 一度でも乗り越えようと挑戦し失敗すれば、今の立場さえ維持できない。

 今の立ち位置でさえ継続的努力を経て得たものだというのに。

 自分が欲張ったせいで放棄せざるを得なくなるなんてぞっとする。


 寮監のおばさんに再び驚かれるくらい、早い時間に部屋を出た。

 勝手は分かっているが、二か月前よりも更に暗く厳しい寒さの冬の朝。


 カサンドラからもらった暖かい手袋を填め、彼と一緒に無人の学園に潜り込む。


 名実ともに自分の所有物となった剣。

 前回はそれを持っての移動で手を塞がれていたリゼであるが、今はジェイクにもらったベルトのお陰で両手が空く。

 腰に剣を帯びると姿は騎士の常態だが、まさか自分もそう出来るとは思っていなかった。

 お陰で、彼の手を借りることなく壁をじ登ることが出来たのだけど。


 少々勿体ない――と物寂しさを感じてしまった自分は間違いなく”我儘”なのだろう。


 一時間弱、まるで選択講義で剣術を選んだ時のような時間を過ごす。


 額の縁から滴り落ちる汗をぬぐい、心地よい疲労感に天を仰いだ。

 屋外修練場に着いた時には薄暗がりだった。

 だが今、東の空から昇る陽の光が薄っすらと学園内を、町中を、世界中を鮮やかな色に染め上げる。

 部屋の中からカーテンを開けて浴びる朝陽を思い起こしても、見える世界が違って見える。

 爽やかで幻想的で、心の中の霧がサァッと晴れていくような感覚。


 日の出の陽光をいつも以上に心地よいと感じるのは、一人ではなく傍にジェイクがいるからかも知れない。

 既に冬休みの課題は全て終え、自主的に身体を動かすよう心掛けているリゼ。

 だが前者はともかく後者には一人で行うには限界があるし、腕が鈍っていないか冷や冷やものだった。


 彼の誘いはリゼにとってまさに救いの御手であったのだ。



「――今日はありがとうございました」


 いつまでも学園内の不法侵入者に甘んじているわけにはいかない。

 それに彼はこれから一日中、家の用事に拘束されるそうだ。


 話を聞けば聞く程大変だなぁと心底思う。


 ただの資産家の金持ちとは違う。

 ただ稼いだ金貨の上で贅を貪る成金の子女と違って彼らは王家に深い繋がりがある名家の出だ。


 その立場に責任が伴うことは、この学園に通い始めてリゼにも分かってきた事だ。

 確かに、偉そうにふんぞり返る金持ちや貴族の連中はイラっとする――が、この学園に通う生徒達の多くは皆自分の血筋や背景に矜持を持っている。

 それなりに気苦労も多くてただ遊び暮らしているわけではないんだな、と。


 入学するまでは、貴族なんか皆腐っている、という先入観のあったリゼの価値観が変わってしまった。

 中にはいけ好かない奴もいるが、そもそもが王子を始め偉い人は皆偉かった。

 偉そうではなく、皆、”偉い”。


 固定観念ステロタイプの強いリゼの石頭を溶かすほどには、意外なほど皆真面目な人たちだ。


 そんな中、ごく普通の特待生に過ぎない自分に声を掛けてもらえるのは非常にありがたい話である。


 リゼが深々と頭を下げると、ジェイクは屈託ない笑みで笑う。

 剣を握っていると本当に別人か、というくらい真顔で迫力がある人なのだが、平時は本人がそう言うように普通の男子とそう変わるところはない。

 ……めったやたらに顔が良い、という点を除けばだが。


「こっちこそ、朝早くに呼び出して悪いな」


 大変清々しい朝を迎えるが、彼は全く疲労した様子もないのが小憎こにくらしいとも思ってしまう。

 こっちは緊張も重なって、既に両肩で息をせざるをえない程疲労困憊だというのに。


「あ、そうそう。忘れるところだった」


 既に帰り支度を始めようとしていたジェイクが、剣を鞘に納めながら――何を思い出したのか、フッと顔を上げた。

 彼の燃えるように赤い髪が柔らかい朝の光を受けていつもと印象が変わって見える。


「何ですか?」


「アーサーがさ、マフラーの事教えてくれて感謝してるってさ。

 ……どうやらカサンドラの奴、土壇場で怖気づいてなかったことにしようとしてたらしい」


 もう王子の誕生日は過ぎたのか。

 あまり個人情報に詳しくないが、カサンドラからマフラーを受け取ったという事は無事に誕生日が終わったのだろうと予想できる。


 カサンドラは手編みのマフラーを贈ることに対して悩んでいたようだったが、ちゃんと渡せた事に対しホッと一安心。

 

「へー、そうなんですか。

 それは良かったです………ね?」


 あれ?


 今のジェイクの発言、何かおかしくないか?

 そもそもなぜ王子が自分に感謝を? あれ?


 状況を整理しよう。

 ぐるぐると一瞬の間にリゼの脳はいくつかのパターンを弾き出した。


 目まぐるしく状況をイメージする、王子は――マフラーをもらえるものと思い込んで、渋るカサンドラにマフラーをねだったということ?

 え?

 どういうこと?


「あの、ジェイク様。

 もしかして、王子に……カサンドラ様の誕生日プレゼントの話……したんです?」


「そうだけど」


「な、何で……?」


 全く悪びれた風のない彼を見るリゼは、完全に混乱状態だった。

 確かに口を滑らせてしまった自分が悪い、でもまさか王子にそんな話をするなんて……全く思いもよらない事だった。



「ん?

 カサンドラは器用でもないって言うし――どう見ても変なのを急に手渡されたらリアクションに困らないか?

 それに――万が一その、なんだ。流石にあの話の後だから無いとは思うが、例のまじないだなんだとか実行されてたらヤバいだろ」


「……。

 ええ……?」


「そんな驚かなくてもいいだろ、マフラーのことをアーサーが知ってたから受け取れたって話だし。

 俺が思ってたケースとは違ったけど、良かったよな~」



 物凄く良い事をしたと言わんばかり、得意げでさえあるジェイク。彼を前にしたリゼは立ち尽くす。

 確かに状況を整理するなら、自分が余計な発言をしてしまったせいで王子に伝わり、それでマフラーがお蔵入りすることなく無事に手渡せたのだろう。


 彼女カサンドラは呪いのセーターの事を気にし、そして手編みは燃やされるのではないかと無駄な心配をしていた。

 だから自信満々でプレゼントをするようなことは出来ないだろう。


 渡し辛かったという心境はリゼだって理解できる。


 だがしかし、王子本人に「こんなものが贈られる」なんて直接教える必要があったのか。結果オーライでもいかがなものか?

 何とも言えず、胃がキリキリと痛くなった。


 怒るに怒れないのは、自分のミスのせいだ。

 いや、マフラーと聞いたからと言って直接マフラーを所望する王子も一体全体どうしてしまったのだ?


 色々言いたいことはあるが、このままではいけない、とも思う。

 今回は結果的に丸く収まったかも知れないが、今後同じようなことがあったら――ジェイクが信用を失うということでもある。


 口が軽い、信用できない、人の気持ちが分からない。そう反感を持たれるのは、彼にとって良い事ではないだろうから。


「あのですね、ジェイク様。

 普通、誰が誰にプレゼントに贈るつもりか知ったとしても、当人に話をするのはマナー違反だと思いませんか?」


 彼は急にリゼが顔を曇らせたのを怪訝そうな顔で見下ろして来る。


「プレゼントって相手に喜んで欲しいって言う気持ちは勿論ですけど、そのために色々悩んだり準備したり、ドキドキするものじゃないですか。

 相手の反応を想像したりとか。そういう想いが全部台無しですよ?

 当人だけには知られたくない秘密をバラされるようなものだと思いませんか?」


「あー……まぁ、何となく分かる。

 でもさ、今回は良いだろ? アーサーだって感謝してるし、カサンドラだって無駄に引っ込めることにならずにすんだわけだし」


 彼は呑気だった。


「ああ、普通って言い方が良くなかったですね。

 少なくとも、私は嫌です。

 カサンドラ様みたいに、プレゼントのことで悩んでいたり考えていたとしても、絶対にジェイク様には相談したくないって思いました」


 ジェイクの事は好きである。

 それは大前提としても、好きだから何でも良い、価値観や考え方を受け入れるというのは間違っていると思う。

 だから――勇気を出してそう言い切った。


 まぁ、好きな人へ渡すプレゼントの相談なんてどのみちジェイク本人に言えることではない。

 だがもしもジェイク以外の人に渡そうと思ったとしても、二度と絶対、迂闊な事は言えないと口が堅くなるだろう。


 それが例え彼の純粋な善意であっても。

 悪意がある方がまだ理解は出来る。

 

「………。」


「口止めを忘れた私もうっかりしていました。

 お互い、今後は気をつけましょう」



「え? お前、贈り物するような奴がいるのか?」



 言及するところが、そこ!?


 彼が心底驚いたような顔をしたので、リゼは眩暈に襲われる。

 リゼの男っ気の無さをからかうという場面ではなかったと思うのだけど。



「……前にも言いましたけど、そんなのいません!

 仮にいても、絶対にジェイク様には相談できませんから!」



 内心で歯ぎしりをしたい心持ちである。

 ここでハッキリ言えたらどれだけ心の中が楽になるだろう。

 楽になるのと引き換えに失うものの多さを思えば、死んでも口に出せないことだけど。

 




「分かった、今後は気をつける」




 彼はようやく頷いてくれたが、果たして理解してくれているのだろうか。

 こういうことをナチュラルにやらかしてしまうと、後で致命的な失敗に繋がりそうな気がする。


 いくら立場が偉くても、仕える家臣や従者は皆、同じ人間だ。 

 あまり他人の行動に興味がないリゼが「人の心の機微」を語るなんて我ながら可笑しい事だとは思うけれど――



 常識の無い人だと周囲に思われて欲しくない。

 

 その一心だったが、別にジェイクだけが悪いわけではないのに言い過ぎたかな、と。

 彼が元気なさそうに項垂れる姿を前に、リゼの良心がハリセンボンに責め立てられるようにチクチクと痛みを訴えた。


 

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