第108話 <リタ>


 つい数十分前までに起こっていた出来事は、今となっては白昼夢のようなもの。

 もしも今、傍にリゼやリナがいなければ間違いなく『さっきのは幻だな』と勘違いしていた事だろう。


 カサンドラと話が出来るだけでも、自分達からすれば信じられない幸運と言って良い。

 それがまさか、王子を始めとしたラルフやジェイク、そしてシリウスまで一緒に話を……


 ……あれ?

 やっぱり夢だったのでは?




 ※



 三人揃って寮に戻った後、遅めの昼食をとる。

 既に食堂の時計は一時を回っており、大多数の寮生が食事を終えた後だった。

 普段より閑散とした食堂内は、広々としているだけにがらんどうで落ち着かない。


 目の前に美味しいクリームシチューがあるというのに、心の中でそれどころではないと別の事で頭が占められている。


 ……夢じゃないのだ。

 さっきまでラルフが正面に座っていて、普通のクラスメイトのように楽しく話をしていたのだ、と。

 少し時間が経過した今、ようやく実感が伴って身体の深奥がカァッと熱くなる。

 現実だという証拠がリタだけではなく姉妹揃って三人とも無言だということ。


 まるで示し合わせたかのように、三人とも黙々と食事を続けている。


「さっきの、夢じゃないよね!?」


 あまりにも現実離れした出来事に、しばらく感情が追い付かなかった。

 だが一度そうだと自覚すると、大波に呑まれたように感情が滅茶苦茶にかき乱される。


「――リタ、もう少し静かにして」


 隣で一人、真剣な眼差しで黙したままパンを千切るリゼは険しい表情。

 その鋭い眼差しはいつもと変わらないと言えば変わらないのだけど、悔しそうに口を引き結んで唸る。




「お願い、もう少し余韻に浸らせて……!」




 何と言うことでしょう。

 数か月前は、あんなに世の中を斜めに構えて恋愛ごとを馬鹿にしきっていたあの姉が。

 頭上に蒸気が出かねない程の真っ赤な顔で打ち震えているのです。


 

 とっくの昔に分かっていたが、本当に重症だ。

 いや、自分も人の事を言えた義理ではないのだけど。


 自分よりも感情を露にしている人がいたら、それに反比例するように自分が冷静になってしまう経験は誰しもあるだろう。

 リタもそれまで夢うつつ状態、まさしく夢心地であったのだけど少し冷静になれた。

 ほんの僅かでも平常心を取り戻すことが出来れば、視野も広くなるというものだ。


 油断すると夢の世界に逆戻りしそうで、フルフル、と頭を左右に大きく振った。


 正面に座るリナも無我の境地という様子。一定のリズムでシチューをお皿から口元に運ぶという作業を行っていた。

 瞳の輝きが失せ、ポーっと焦点の合わないリナの様子にもぎょっとする。


 彼らとの話はとても楽しかったが、内容の細かいところまで覚えていない。

 何だか調子の良い適当なことを言って笑っていただけな気がするが、傍にラルフがいるというだけで思い出しニヤニヤしてしまう。


 本当に綺麗な人だ。

 顔の造作そのものに気品が溢れていて仕草の一つ一つに目を奪われる。

 何故リゼだけなく、自分もこの学園に入学を許されたのかは未だに分からない。

 だがラルフという男性に会えただけで理由なんかどうでも良いと思えてしまう。


 しかも後半の流れで、後日王子が王宮の植物園に案内してくれるという話にいつの間にか纏まってしまった。

 それだけで途中の雑談など全部吹き飛んでしまう。


 自分達が植物園に行ける話になったのはラルフのおかげで……

 彼が友人であるアーサー王子に結構な無茶ぶりをしたことが原因だった。

 しかも無茶を通そうとしたのが、リナのため。


 ――思考が嫌なところに深く潜り込んで行きそうだ。


 彼が何となくリナに好意を抱いていることくらい分かる。

 彼の事を遠くからでも見ているから嫌でも気づいてしまう。


 ラルフの赤い瞳が映しているのは、三つ子の末っ子のリナである。

 ……同じ顔なのに。

 そう恨みがましいことを言いそうになるのを、ひたすらグッと耐えてきた。


 いくら容姿が全く同じでも、中身がこれだけ違えば仕方のないことなのだ。

 見た目が同じなんだから! ちょっとガサツで女性らしさとは程遠い自分だって……良いじゃない! なんて口が裂けても言えやしない。


 でも悔しい反面、ラルフへの好意を助長する要素でもある。


 外見に左右される事無く、相手の本質を見抜いて惹かれている。


 カサンドラをはじめ、周囲には数多の由緒正しいお嬢様がいて美人ばかりで。容姿に秀でた方々ばかり。地位や名誉の博覧会。

 それでもリナの温和で心優しい性格が、他を押しのけて彼の目を惹いているのだとすれば……


 外見に左右されない、しっかりと人格を見てくれる内面重視の紳士ではないか。

 顔が良いのも一つの美点だが、それ以上に彼が妹の性格の良さをしっかりを見抜いて気にかけていると思うとそこも惚れポイントであるという拗れっぷり。


 人を見る目も素晴らしい! 称賛の声さえかけたくなるのだ。


 己の首を絞めている自覚はあるが、事実女性らしさや気遣いと言う面でリナに勝てるとは思えない。


 でも諦めることは出来ないし、自分がリナに勝っているところはある。


 ――ラルフの事を好きだという想いは絶対自分の方が上だ、その点だけは自信がある。

 それが己の拠り所だ。


 ……礼法作法を極めたり、勉強で一定の成績を残すことで彼が自分を少しでも気に留めてくれるなら死ぬほど嫌な選択講義だって頑張れる。

 仮に駄目だったとしても全力で挑戦した結果だったら諦めもつく。


 今はまだ全然、カサンドラ邸での特別訓練を経てもなお未熟で恥ずかしい限りの淑女とは程遠い自分である。

 だが並み居るラルフの婚約者候補の中から自分が選ばれなければ恋も叶わないというのなら、人に笑われようが目標にするしかないではないか。

  


 『婚約者』。

 この学園内では頻繁に飛び交っているが、改めてなんと魅力的な響きであろうかと震える。

 

 何の障害もなく、共に生きる未来が約束された未婚男女の究極形態……!

 想像しただけでうっとりしてしまう響きだ。

 一般庶民として生きていたリタにとって、今まで婚約者だの許嫁という関係は物語の中だけだと思っていた。

 身近にそんな畏まった関係のカップルはいなかったのだ。


 でもこの学園の生徒の多くは既に婚約者がいる。

 卒業したら結婚するなんて話もチラホラ聞こえてくる、リタにはあまりにも刺激の強い話題だった。

 


「はぁぁ……

 やっぱりカサンドラ様が羨ましい……!」 



 リタが大きな声で急に羨ましがるものだから、完全に心ここに在らずだった二人の意識が現世に呼び戻される。

 そして現在地が食堂であり今の自分達は遅い昼食を摂っている最中だという現実を突きつけられ、リゼの言う余韻は完全に吹っ飛んだと言って良い。


「な、なに? 急に」

 

 完全に元の様子に戻ったリゼが怪訝そうにこちらを向く。

 その直後「うわっ」と軽く声を漏らしたのは、彼女が無意識に手元のパンを延々と千切っていたせいだ。

 鳥の餌にでもするつもりかというくらいこんもりとした小山を千切ったパンで作っていたリゼは、己の愚行に絶望の吐息を吐く。


 勿論、普段はこんなボーッとした行動をする人ではない。


 おかしい、さっきジェイクと顔を合わせて話をしていた時はシャキっとした様子で受け答えをしていたはずなのに。


「どうしたの? リタ……あっ……」


 青い瞳にようやく生命の息吹を取り戻したリナ。

 だが彼女もまた、いつの間にか自分が空になったスープ皿めがけて延々とスプーンで掬う仕草を繰り返していたことに気づいて恥じ入り俯く。


 一度現実に帰還すると思い出との落差にがっかりするのは仕方ない。


「王子様と婚約者って言うだけでも吃驚なのに!

 話聞いたでしょ?

 カサンドラ様のお見舞いに、わざわざ希少なお花を持って行くほど愛されてるなんて素敵……!

 私だったら逆に熱が上がって寝込んじゃう」


 ロイヤルカップルは自分達の想像の及ばないようなやりとりをするものだ。

 あんな完璧超人な王子と婚約なんて生半なお嬢様では絶対釣り合わないだろうに、彼女は全く引けを取ることなくそれが当たり前だと堂々とした態度。


 美人で優しくて賢いお嬢様で、国一番の婚約者に愛されているとか絵本の中のお姫様でもそうはいない。

 話に聞いただけではピンと来なかっただろうが、ロイヤルカップルのやりとりはもはや世界が違った。


 もしも学園内にラルフが存在しなければ、リタは間違いなく王子のファンとしてきゃあきゃあ騒いでいたという確信がある。

 あんなに王子・オブ・ザ・王子が自国の王子だということに神様へ感謝を捧げねばならないのだろう。

 ご本人は控えめな気質であるというのに、どうやっても目立ってしまう。


 生誕祭の王子とラルフの合奏はそのシーンを切り取った一瞬一瞬全てに感涙ものである。

 正面からガツンと殴りかかられたような衝撃に失神しなかったのがラッキーだった、と命拾いした程。

 気を失ってる場合じゃないと気合で耐えていただけなのだけど。 


「そうね……。

 私もこの間カフェでご一緒する二人を見たけど、まるで絵画の世界だったわ」


 リゼも追随して頷いてしまう。

 理想のカップルというか、常に優雅で余裕のある様が羨ましいと思うのだ。

 変な言い方になるが、相手に対して一線を引いているけれども互いにどっしり構えている感。


 どんな令嬢や美人な女の子が王子の傍に付きまとっていても嫉妬の欠片もない泰然とした態度。

 王子が誰かに優しい言葉を掛けたとしても、”あらあら、お優しいこと”と微笑みかけることが出来る人。

 さりとて王子の事を何とも思っているわけではないのは日頃の彼女を見ていればよくわかる。


 婚約者と言う絶対的な立場に甘んじることなく、頻繁に王子に恋文を贈ったりする筆まめぶりは良く知られている。

 見た目以上に情熱的であるにも関わらず学園内ではそんな関連性を一切漂わせない、徹底した沈着冷静な振る舞い。

 でも本当に仲良しなんだな、と微笑ましく思える瞬間との差がとても良い。

   

 極めつけに、カサンドラが病気に伏したら心配した王子がお見舞いに? 手紙? 王宮植物園の希少な花?

 何それラブラブ過ぎない?



   メルヘン世界の住人なの!?



 羨ましいとは思うが、世界が違うことも分かっている。

 あの二人に対しては完成度の高い恋愛をテーマにした舞台を、まさに最前列で眺める観客目線でしかモノが言えない。




「……私としては本当に心苦しくもあるわ。

 植物園のことで、その、王子とカサンドラ様の二人の時間を奪ってしまったんじゃないかって」


 あんなつもりじゃなかったの!


 と、リナは再び顔を覆ってその苦悶の表情を隠す。


「あれは出会い頭の事故でしょ。

 誰があんな無理を王子に通させるなんて思うのよ」


 リゼのフォローがほんの少し、自分の急所を掠める。

 誰だってしようと思わない”無茶”を、リナのためならしてみせるのだ。


 彼は本来友人に難しい注文をつける人ではないと思う、それでもリナが興味津々だったから勢い余って頼むことにしたのだ。


 なんて優しい!

 自身のイメージを多少損なうことを承知の上で、植物園に行ってみたいと願う少女の望みを叶えるよう動けるなんて…!

 その優しさの対象が自分でないことは甚だ残念ではあるが。


「まぁそのおかげで、私も同行できることになったからラッキーと言えばラッキーなんだけ……ど……」


 巡り巡って、まさかあの場にいる全員で王宮植物園見学に行くことになるとは思わなかった。

 でもラルフと学園外で同行出来るチャンスなのでは!? と恥も外聞もなく手を挙げてしまったわけで。

 その結果、ジェイクもリゼも、シリウスも巻き込んだ大所帯。

 こんなの最初から分かって発言できるものではない、リナの発言は不用意だったかもしれないが決して己の利を狙ったものではなかったのだ。


「服……服を早く買いに行かないと……!」


 ちまちまと己の千切ったパンを口に放り込んでいたリゼだが、その数個の欠片をぎゅっと握りつぶし呻る。

 そういえば彼女は夏の外出着が一枚もないという悲惨な状況だと聞く。

 お小遣いを何に使っているのだろうか、この姉は。


「王子のご予定も調整中で、八月まで二週間近くあるでしょう?

 その間にカサンドラ様とお出かけしてきたらいいんじゃないかしら」


 詳細な日程はすぐに決まらなかったが、既に彼らは七月の予定が目いっぱい入っているらしい。

 何の社会的立場もないただの学生の自分達とは違い、彼らは毎日多忙なのだと知る。


 必然的に八月以降に呼ばれるはず、だからリゼが外出着を用意するまでの時間は沢山あった。

 そしてカサンドラも洋服選びに付き合ってくれるわけで、遠慮なく胸を借りて来ればいいとリタも思う。


「今週末は舞踏会らしいし、来週以降……

 ――お城の舞踏会、ねぇ。

 普通の服一枚でこんなてんてこ舞いだし、私、舞踏会に縁のない庶民で本当に良かったわ」


 リゼは肩を落として安堵の溜息一つ。ピザ生地か何かのように手の中で薄く潰されたパンを剥がして冷めたシチューに軽く浸す。

 

「ええー!? 私! 一生に一度でいいからお城の舞踏会って行ってみたい!」


 夢も希望もあったものではないリゼの感想につい声を荒げてしまった。

 信じられない、ひとたび女子として生を受けた身でありながら…!


 国中の女性の憧れの象徴、お城の舞踏会に行きたくないなんて言い出す年頃の乙女がいようとは。

 貴族の子女なら絶対参加できるというわけではない、選ばれしお坊ちゃまとお嬢様のみが招かれるという最高格式のパーティ!


 限界まで着飾ったドレスで想い人と踊れる、まさに夢の砦ではないか。

 それを事も無げにどうでもいいと宣う彼女。


 すっかり乙女思考に浸食されたかと思いきや、リゼはあくまでもリゼであった。


「ドレスなんて不経済でしょ、話を聞いてればたった一夜のために新調とか? 勿体ない、背筋がぞっとしたわ」


「夢を! 夢を持とう!」


 同じ顔でそんな醒めた反応をされると、夢も希望も現実味を一気に帯びて消失の危機なので止めていただきたい。



「舞踏会に参加できるわけもないけれど、もしも参加できたら素敵ね。

 だってそこにはシリウス様達もいらっしゃるでしょう?」


「……それはそうだけど。

 実現する確率がゼロに等しい”もしも”なんて無意味よ、ただの妄想じゃない。

 私にとっては絶対叶わないお城の舞踏会の想像なんかより、実際にジェイク様に踊ってもらった時の記憶の方が万倍大事だもの。

 妄想なんか色褪せるわ」


 不敵な笑みはリゼに良く似合う。

 この人はいつだって自分の努力に裏打ちされた自信を隠そうともしない人だから。


 だけど、リタは目を丸くして姉の発言を繰り返す。


「お、踊ってもらったぁ!? 嘘、ウソ!? ジェイク様と踊ったってどういうこと!?」


「どうもこうも、普通に社交ダンスの講座に参加したらジェイク様がいて、一緒に踊ってくれただけよ。

 私この記憶だけでしばらく生きていけるから」


「ええええ!?

 私だって社交ダンスに何回も顔出してるけど、ラルフ様に踊ってもらえたこと一回もない!」


 信じられない、どういう奇跡や偶然があったらジェイクとリゼが一緒に踊るなどという摩訶不思議事態が実現するのだ。

 それ、舞踏会に参加できたらいいなぁレベルの妄想に限りなく近い出来事では!?


 社交ダンスは結構頻繁に参加しているリタだが、ラルフは常に上級生のお姉様たちと一緒にペアになるので歯がゆい想いをしていた。

 リタが割り込むなど出来ないし、足を踏むなどの粗相があってはラルフに申し訳ないので遠くから見ているだけにとどめているというのに。


 あの社交ダンスに一切合切興味のなさそうなジェイクと踊ったなんて……



「まぁ私の場合は一番下手だからって理由で相手してもらっただけだけど。

 ……そうそう、ところでリナ。

 さっきの中庭で気になってたんだけど……

 シリウス様と何かあったの? なんか妙に今日のあの人、雰囲気が柔らかかった感じがしたけど」



「え! ……ええと……ええと……」



 リナはギクッと肩を上下する。

 そしてしばらく視線を忙しなく動かした後、んーーっと目を閉じ胸の手前でペケのサイン。


「内緒! 約束だから……あんまり聞かないで欲しいの!」


 あからさまな動揺っぷりは何かあったとしか思えない。

 あの生誕祭でシリウスと距離を縮めるキッカケが何か起こったというのか?




 ……恋愛は競争じゃない。そして努力すれば必ず実るものでもない。相手がいてこそ、だ。

 競っているのは、この二人じゃない、はずなのに。





  私ばっかり、何の進展もない……





 焦っても良いことは無いとは分かっていても、自分だけ取り残された気持ちになる。

 つい彼女達にズルい、なんて言ってしまいそうで慌てて口を噤んだ。


 ズルいって言葉は嫌。私は嫌い。言われて嫌なことは言っちゃ駄目だ。




 



「――夏休みに何をしたらいいか……

 明日カサンドラ様に聞いてみようかな」


 こういう消化不良感は、地に足を着けることでしか解消しない。

 


「賛成。

 私も休み中は剣術の講座取れないからどうしようって思ってたし」


「私も勉強以外にやった方がいいことを聞いてみたいわ。

 ねぇリゼ、剣術続けてるけど大丈夫? 辛くない?」


「そりゃあしんどいし、帰ったらダウンするけどね。

 意外と面白いのよ。

 身体ってちゃんと思い通りに動かせるものなんだ……って初めて知ったわ」








 こうして恋愛に繋がる話を三人でしたのは、本当に久しぶりだ。


 モヤモヤした想いが全くないわけじゃないけれど、今日はとても愉しかった。

 




「あ、ラルフ様にワンちゃんの名前聞くの忘れてた。

 次に会った時に聞こうっと」





 ”次”がある。なんと幸せなことなのだろう。

 それもこれも全部カサンドラの導きがあってこそな気がする。




 一緒に遊べる日が 今からとても楽しみだ。

 





 ※ ※ ※






「――クシュン……!」


 真夏の昼下がり、馬車の中で車輪に揺られるカサンドラは寒くも無いのに数度くしゃみを繰り返す。


「……まさか、また風邪……!?」


 不穏な気配に、彼女の白い肌が一瞬で蒼く染まる。


 早く帰って休もう。

 カサンドラは背もたれに身体をもたせ、片手の甲を額に当てる。



 十日分の疲労が肩に乗ったかのように、ドッと疲れた。


 

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