　現在、深い事情があって、では無く。延期された隔離オリンピック： 2021 Only TOKYO Olympicが呆気なく３日間で終わったから、家族で何処行こうかになって、妻果林がそうだこの招待状有効じゃないかしらと、はるばる甲府避暑地の入植分譲地にやってきた。

　時期はまだ東京都全域は安心安全を掲げた2021 Only TOKYO Olympicの隔離の最中ではも。日本国の絶対的主導権から、世界完全封鎖はとっくに前に終わってるし、新型コロノウイルス安全宣言の言質は貰ってるので、何か問題有るかでＩＯＣを突き出した。ここの短期間開催は伊達内閣のはなっからの深謀遠慮では無いかと、気さくな五十嵐一茶環境大臣にぶら下がったら、こんなご時世でどっかんどっかんのお祭りを延々１０日間も出来る財政出動なんて有り得ないでしょうと、ややの自粛ムードに押し上げられた。それは仰る通りだ

　そう、2021 Only TOKYO Olympicは確かに開幕された。ただそれも。２０２１年７月２３日金曜開会式、７月２４日土曜日限定陸上競技開催、７月２５日日曜閉会式の３日間と、気持ち短いもそれはそれでコロノ禍の終焉と新時代の伊吹は感じ取れた、実に有意義で歴史的な大会だったと位置づけ出来る。まあ俺も阿里邑早百合都知事からマスコミパスシリアルナンバー00001番を貰った手前、長丁場どう乗り切りどの競技が盛り上がりそうか、社内会議と家族会議を経て男子と女子の大陸別サッカー競技二本立てに絞ったが、それが開会式３日前の日程表プレスで水泡に帰した。相棒のカメラマン春山龍一は、陸上競技のみだったら俺のシャッタースピードに分があるとサムズアップを上げた。龍一お前は本当に逆境に負けないなで負けずにサムズアップで返した。

　大会１日目開会式当日。コロノ禍を一定考慮し無観客だったが、阿里邑早百合都知事の強い推挙で一席空けて東京都の児童を漏れ無く入場させ、宵の２時間にスライドされた。厳かに国旗掲揚が掲げられ、五十音順に厳選された各国選手団が帝都交響楽団の生演奏でコンパクトに入場しては、ここで漸くセレモニーが来た。元体操選手にしてソロダンサーに転向した高山小春のフリーダンスは、音楽と伴って天照大神を礼賛する天鈿女命そのものだった。そして会場の照明が徐々に絞られる中、照明錯視効果でいよいよ天照大神が現れた。その長身は他でも無い中堅美人女優姫神杏奈だった。スクリーンでも尊顔は投影され、その美貌は疑い無しと言うことか。

　中堅美人女優姫神杏奈は今や澤松組の次回作「新島八重聖愛物語」の主演女優で、世界完全封鎖開けの角松勇気ママのバー弓張月で顔を合わしたその日に、インタビュー等から伺い知る純真さは吹き飛び表も裏も無い会話に突入した。

　まず澤松組の次回作「新島八重聖愛物語」に出ると言う事はかなり遠回しに脱ぐのですかになったが、聖母が主人公では脱ぎ様が無いですよねと、この戦場の湖畔で女子全員沐浴しましょうと自ら進言しましたが澤松監督が素っ気なく却下ですって、と。その澤松監督は撮影中の「新島八重聖愛物語」は赤十字社協賛で世界中の学校法人にも映写会もあるから脱がれても困ると。澤松監督らしく無いですねと俺は世界中の男性を代表して吐息を漏らすも、「新島八重聖愛物語」は2021 Only TOKYO Olympicのドキュメント映画のセットで無茶は出来ないと、ただ衝撃を受けた。

　そこからは姫神杏奈の独壇場で、「新島八重聖愛物語」でも主役演じますし、地元オリンピックのドキュメント映画のナビゲーターとしても登場しますし、式セレモニーでも天照大神を務めるのに、１本はどうなのですかねとグラスを揺らした。俺は即世界配給ならばギャランティーの３億円は固いのではと、バー弓張月が即座に大爆笑になった。勇気ママがただ微笑ましく、鉄平さん日本映画界の１本は１０００万円ですよと諭してくれた。この３点セット、いやここに芸能部がいたら全部がスクープものだ、いや式セレモニーでのまさかのアクトに声を失った。

　そこに姫神杏奈悪戯な笑みで、豊穣を担保するならアドリブで天照大神は上半身裸になっても良いですよね、何かぱーとしたいのですよ、パーと。透かさず勇気ママのハリセンが飛んで説教になったので姫神杏奈の生真面目さをただ悟った。

　そして、セレモニーは書き下ろされた帝都交響楽団による「ここより遥かに」の大ブローで大円団は終わった。龍一に姫神杏奈は何かしでかさなったかと詰め寄ったが、デジタル一眼のモニターにはただ儀式が終わってご満悦な天照大神が麗しく写っていた。龍一は何故はっとではなく安堵なのですかと訝しんだので、口外無用を軽く述べたらああとこう言う。杏奈の裸婦はコロノ禍で食事制限し過ぎて痩せて戻らない可能性が過分にあるから直電で何度も指名されましたけど予約待ちにしたままです、まあ窶れて無いから裸婦を撮る意味まるで無いですよねと宣う。お前その写真集５０万部は固いぞも、姫神杏奈はバー弓張月のフランクさからやり甲斐一途でまるでビジネスに興味が無いからそこ迄にしておいた。

　そして、全人類結束が趣旨の重鎮達のスピーチが進み、皇太子の開会宣言が述べられ。透き通った地球を模した聖火台に、最終ランナーはあの世界的シンガーソングライター霧島喬音が明かりを灯し透き通った地球の内部のマントルが煌々と燃えた。いやこれはと龍一に知ってたのかと詰め寄った。それは親戚ですからそこそこに、最終ランナーである某世界的女子サッカー選手が世界完全封鎖開けで羽目を外して両足骨折しては、開会式濃縮で喬音が弾き出されてそこの代替え要員ですよ、その経緯を知ってたら誰も素直に喜べ無いですよね。まあ某は二人のうち一人しかいないから大いに察するさ。

　その様な感じで、当初の開会式は小規模な感じで終わると思い込んでいたが、福音たる国連宣言The Gospel Oneが発令された以上、濃縮感はあるものの何とか人足だけは揃いに揃って、歴代オリンピックの五指に入ろうかの祭礼は存分に出ていた。成功かどうかは名カメラマン春山龍一の写真が載った翌日の東海快速新聞朝刊の四回増刷が全てが物語っていた。

　大会２日目、実質一日限りの競技日。実際に行われたのは新国立競技場での陸上競技だけで、予選１回を即時公式記録として採用された事から選手の張り合いはひたすら自己の戦いのみで、温存する事無く全ての力を賭したので新記録更新が軒並み続いた。日本のメダルは女子１万mで金メダル、男子4x100mリレーで銀メダルと、やっとの実力でメダル２つをもぎ取った。唯一の陸上競技はトラック競技がやっとなので、お家芸のマラソンは時期先送りになり、競技時間は詰め込んだ果てに２１時３５分に全てを終えた。

　その一方で、陸上以外の選手はと言うと、競技時期先送りにつき選手村でユニフォーム交換会が公式日程だった。

　だったも何も、今年の１月から安全安心の為に世界中からずっと東京都に送り込まれ節制の日々から解放されたら、それは体脂肪御構い無しの大祝宴会に入った。その様子も同時にテレビ中継され、選手一人一人の歴史が紐解かれては、人情有りきで平均視聴率は何と僅差の1,5%で陸上競技中継に競り勝つと言う有り得ない事案を起こした。

　ここで誰が無制限に酒類を搬送したかは辻本伊織官房長官の一任だった。後の会見で辻本伊織官房長官は洒脱に語る。日本には労いの作法が有ります。来日の目的が期間短縮で消失したのであれば、そのまま御歓談の野放図にしてはホスト国日本国の面目が立ちません。もっとも意気に感じて各種提供して下さったオフィシャルスポンサー全てに日本国政府から感謝の意を伝えます。ここで会見は終わりも、辻本伊織官房長官が会見台を豪快にスピーチ台帳でバンと叩いた。建前はここ迄です、もう無礼講とばかりに軒並み選手関係者達からごっそり避妊具の提供を求められ、大会役員が大困惑しました。官房長官で有り現役医者で有りクリスチャンであるこの私が、その先の避妊失敗を許せる筈も有りません。となればガンガン呑ませてのたうち回せるのみです。それも貴重な人生賛歌だって、引っ込みなさい伊達一巡総理大臣の大剣幕で終えた。そんなむせる内情何処も書ける訳も無く今日に至る。

　大会３日目、時は夕刻短くも長い閉会式を迎えた。新国立競技場の選手行進は祝杯明けも千鳥足のフリーウォーキングの入場でただ融和的に進む。その光景は本当に居並ぶ国々の中で紛争闘争が繰り広げられてるのか、ただ頭を過ぎる。

　選手行進終え間も無く、新国立競技場外から大多数の笛の音が伝わり、それが近づいてきた。その笛の音は知っている、東北夏祭りのねぶた祭りの囃子そのものだ。跳人との入場間も無く太鼓の音が劈き始めた、まさかと思ったが入場してきたのは、あの煌々と照らし出される巨大ねぶたの山車そのものだった。

　新たに回って来た大会プレスでは跳人・運行・囃子方は東京在住の青森県人会総出で、その躍動そのままに選手達を次々誘い、右足２回左足２回のステップをレクチャーしながら身体能力そのままに跳ねさせた。

　ねぶたの入場は計５個で、昨年からコロノ禍によって制作途中でそのままになってねぶたを、国連宣言The Gospel Oneが発令されたならばやっとねぶた祭りが再開出来ると見切って制作再開に入ったその計５個だった。それが何故ここにあるのかは、青森県知事が至って慎重で今年のねぶた祭りも保健上を鑑み中止になって、青森市関係各位が未だに目が血走った所を、それならばと四方真緒文科大臣が閉会式にお招きしましょうのサプライズ案件になった。こんな大きいねぶたがサプライズになるかは、運送会社クロネコフレンズが夜遅く一斉に幌を掛けて搬送し今朝には東京都に搬送させたらしい。新国立競技場のねぶたはトラックをただ楽しげに何周もし、頃合いここかでしめやかに会場の外へと退場していった。

　そして照明が激しく一瞬瞬いたと思えば、中央ステージに開会式同様の姫神杏奈の扮した天照大神がいつ間にか佇み軽やかな儀礼的な全身で表現しては、投影マッピングされた中央ステージ周辺から稲穂が次第に伸びては秋の収穫へと移ろい得た。大会プレスでは場面は「虫送りの四季」とされ同じタイトルの組曲として帝都交響楽団はレガートな演奏なままに荘厳に新国立競技場を響かせた。天照大神が差し出した両手の先には、地球を模した聖火台が有り、内部の煌々しいマントルが徐々に引いたかと思えば途絶え、映像に切り替わり、地球を模した聖火台は日本を発して緑藻地帯が世界に広がった。地球環境を憂いるにはまずは祭礼からとのメッセージを全世界に確かに配信し、感慨に赴く皆を奮い立たせて行く。

　この祭礼で真っ先に浮かぶは、敬虔を重視する新世界への誘いだろうが、コロノ禍で推定４億人に死んだ以上、どの宗教倫理観も教義の再定義中で、指針たる希望はどうしても何年何十年後になるであろうと、俺は深い溜め息のまま今日に至っている。

　そして2021 Only TOKYO Olympic直後に、不可解な写真１８枚がＳＮＳに上がった。不可解はその写真のタグはカンボジアの#SiemReapにある。先日シェムリアップ郊外の森林地帯が大延焼で消え去った筈の風景であるに関わらず、不可解な写真はその以前の状態として近代的な建造群が幾つにも展開していた。その写真に写った建物の名前はLast ARK Biotechnology Laboratory。バイオテクノロジーラボラトリーの冠だけで嫌な予感はしたが、その後の尋常で無いキノコ雲を写真を見て、ああが過り、スマートフォンの連絡帳の榊志摩を即座に押した。

　珍しく一発で電話に出た国連本部衛生司政官榊志摩は、その件はといきなりの本題から入って、これもお前かと叫んだ。まあまあの押し引きから入り、Last ARK Biotechnology Laboratoryはアジアの富豪達が良かれと思って最大投資で作り上げた次世代抗体ワクチンの研究所で、独自も複雑に描き過ぎたmRNAワクチンが実験検体でスパークして、想像絶するバイオハザードを起こしては、各国先鋭部隊が乗り込んだと。

　俺は苛つきながらも、だからと言ってアメリカの戦艦から核弾頭打ち込んで良いかになったが、榊志摩のゆっくり首を振る音が聞こえた。幾らアメリカでもそんなの１発でも打ち込んだら、ロシアの報復核弾頭がロサンゼルスでしょうからその線は無いのよね、キノコ雲の大きさを良く見て、それは局地戦戦術核で中国がご丁寧にも早過ぎる人類滅亡の危機を救って下さったわ。俺は当然難問の多過ぎる素朴な答えで目眩が止まらなかった。その核爆散したバイオハザードは何時人類を不幸にすると。榊志摩は言う、Last ARK Biotechnology Laboratoryの周りは設立当初より厳戒態勢で現地民ですら追い出されてるし、局地戦戦術核の激しい急燃焼で最悪なウイルスも残らず消え去ったから大丈夫よと。

　何を容易く言うのか、それなら表向き篤志たる集団が歴史の闇に押し込んだと言うのに、何故皆が忘れ去る寸前にＳＮＳに写真を上げる必要があるのか意味が分からない、これは何処の横槍だ、中国に追い縋る連中なのかと刺々しく声を荒げた。

　国連本部衛生司政官榊志摩は丁度５秒沈黙した後、それはニューパワーシンビオンの仕業よ。非公式の合議体だけど、コロノ禍後の免疫化学全般に及ぶ議事録を国連に提出しては、さもどうよ。どうよで終わったら下げも何も無いわよね、ニューパワーシンビオンは５カ国：スイス・ドイツ・スウェーデン・リヒテンシュタイン・そして中国による全方位の教導国。まあ、そのまま危なっかしい体制のそれで希望が戻るかは五分五分でしょうけどね。俺は溜め息しか出なかった、自ら顕示する為のデモンストレーションとしてはこの１８枚の写真で中国は太守国に返り咲いた。歴史の揺り返しとは力で成す者成さざる者があればこそで、何度でも国際舞台に復帰する。そして、今度こそ日本国は駄目かもなと思わず呟いたら、榊志摩が朗らかに囁く。もう、聞いたわよ先生の招待状貰ったなら、鉄平さんの印税で別荘宅でもリモートワーク宅でも買いなさいよ、スッとげんが戻るわよ。俺は印税の明細書は会社が握ってるので詳しくは良く分からんとスマートフォンに捲くし立てては切った。今となってはそれがただ正解だったと深く知るのだが、相変わらず榊志摩と言う女子は答えを委ねるのが本当面倒な奴だ。どうすれば治るんだこう言う輩はだ。

　そうこうで2021 Only TOKYO Olympicが３日で終わり、２０２１年７月２９日木曜日に、阿里邑早百合都知事による東京都解放宣言が東京都庁から生中継された。俺は2021 Only TOKYO Olympicが終えたら２週間の絶対休暇を貰えるので、繰り上げと同時にこのご時世だから、何となは無しに江東区のマンションで慰労を込めた自宅酒宴で家族から珍しくもてなされた。そこに何故会見場に鉄平さんはいないのと阿里邑早百合都知事からしつこい程のメールが来たが、部下の留守滿も美人で画面映えしますと返したら諦めた様だった。

　生中継の阿里邑早百合都知事による東京都解放宣言は至極当然の成り行きだが、ネット記者達がお前らそこ迄保守的かの宣言が早いのでと俄然沸騰中だ。

　何れも東京発の次の波が起こったらどうする、どうにか責任取るかのバージョン違いが何れもで、ここは阿里邑早百合都知事の粘り勝ちに入ったなと思った所に、我ら東海快速新聞の留守滿が眉間にしわを寄せて、半年も隔離されて愛すべき人に会えず破断したらあなた達が責任を取るのですか、私は既にリーチですと論破しては、新聞系のメディアから頼もしい喝采を貰った。また泣き虫に戻った留守滿に、阿里邑早百合がむんずと抱きしめると、そこで俺も泣かずにおれなかった。コロノ禍根から１年半、ただ分断されっぱなしで、全世界は失いかけてた愛をここで漸く気付かされた。

　ここで家族からは、留守滿のお相手はどなたかと絶賛問い合わせが来たが、静岡本局文芸部の興梠竜也で徹夜麻雀ばかりしてるから東京から本局に戻された真っ直ぐな奴とは言っておいた。その反応は微妙で、５秒で落とすハンサムとも添えたら、ただ冷たい目をされた。まあ何れ連れて来ればどうせ仲良く出来るだろう。

　東京都解放宣言の会見程なくしてのその当日から、高速道路・東京駅・羽田空港は大混雑になった。これでは流石の時期波が起こるかなと過ったが、ウルトラワクチン自宅第二接種がある限り問題無いでしょうが、医学コメンテーター一同の総意だった。

　交通手段のやや人並みが途絶えた頃に妻果林が切り出した。長女双葉が、大親友若草優花ちゃんがパフォーマーアクトを務めた開会式見てから腑抜けになって夏休みの課題が手付かずかと。当日のテレビ中継で計３回見切れた優花ちゃんを発見して、家族団欒はただ興奮の渦だったが、いざ双葉が我を顧みると左腕の差し障りの何故が付き纏う事だろう。ここはやんわりと気晴らしを伏せて、福島にでも行くかにしたが、果林がどんとあの招待状を差し出す。それは銀座のクラブ群青の佳人鏡花さんから渡された、先生と呼ばれる真行寺虚空直筆の甲府市郊外南静弦希望町の分譲販売の案内会だった。８月１日から８月２２日の期間で滞在は御自由にで、そこ迄にいたら果林なら買ってしまうかの案件だった。

　ここで多少突っ込んだ。別荘を買うにしても俺の故郷の福島か果林の故郷の鴨川にしないかも、どちらも海岸沿いで台風でも来たら気が気でなくて仕事にならないものよ、甲府市良いじゃないと、何より双葉が課題やってるからと嘘の受け応えでお友達を呼ばないのなら、避暑地で存分に課題をこなして貰うわの猛スパルタに俺は折れた。

　そして８月２日、黒川家一行はホワイトのホンダN-BOXにそこそこの荷物を積み込んでは、東京脱出のやっと渋滞が解消された高速道路に乗ってはゆったり３時間掛けて、緩やかな斜面を上がった甲府市郊外南静弦希望町厳かな正門に辿り着いた。ここで俺達一家が堪らず構えてしまった。どう見ても造成し整地した別荘地の一角の街並みでは無い、本当の町一帯そのもので、これは億以上だろうと流石に怯んだ。

　微かに震える右手で元来た山道を差そうも束の間、運転席の果林が叩いた。やっと双葉がネットも図書館もスーパーもコンビニも完備した静弦希望町に前のめりになって、ここ迄の風景も堪能させて逃げ出さないと思ったらあなたがそれなの酷いでしょう。双葉も被せる。そう酷いね、でもね今の私は静弦希望町植物園がお気に入りかも、招待動画の佇まいが英国風で良いなって、ニューヨークは反動でより人種の坩堝だから、ロンドンも選択肢の一つかな、ああウェストエンドはついでね。エンターテイメントの一順が下がったのは双葉の心境を深く察するが、今回の訪問で双葉は何かを掴む事かと頻りに頷いた。

　そこに機能的なビジネススーツの女性の案内人が小走りでやってきた。まずいこれはあの真行寺大鵬かと、その気は一分しか無いもの、どうしても逃げられない事を悟った。

　男性名も真行寺大鵬は先生の真行寺虚空の一人娘で、若くも真行寺建装取締役として辣腕を奮っている。その才気は案内会の申し込みの電話で雷撃の如くで、それでもの一言も告げる事は不可能だった。

　大鵬お嬢さんは、俺の経歴に東海快速新聞での立ち位置に記事執筆は残らず読まれており、富士山のご当地コーラ私も好きですよと言われては。署名付きの２００９年春の到来を告げる社説温泉一望迄読んでるかで、ノーガードで挑んだ結果が、ＦＡＸでやたら愉快な１０枚の大分譲案内会しおりが送られたら、女性陣もそれは当然の結果にもなるか。

　そんな大鵬お嬢さんが、ノックから素早く後部座席に滑り込んでは挨拶も束の間で、あっちあっちそうこっちそうここなんですよで案内されては、和洋折衷３階建立てに手招きされた。ここが黒川御一家様の分譲案件になりますとにこやかに直球を投げられた。一体おいくらより、別荘がこれか、家族３人で３階建てかとただ呆然とする中、大鵬お嬢さんは鞄より瞬足で暗号鍵を差し出し厳かな扉を開き、これでもかと手招きしては、俺達は惹かれる様にその別荘に入った。１階は大リビングに３書斎が置かれ、２階は各自部屋多くに倉庫が左右に二つ、３階は何故かスタジオそのもので明らかに双葉専用の仕切りだった。

　ここで俺はあからさまに尋ねた、何時から建築していたのですか、このコロノ禍中の１年半近くで見事に黒川本宅の完成が間に合いましてたねよと。大鵬お嬢さんは卒なく語る。ああそこは、うちの若手女性建築家大谷翼は何かと気まぐれで、設計変更が都度入って３年半でしょうかね。そうじゃ無いですよね、うちのお父さんは黒川鉄平のそれはファンで若いのに気骨がある奴ですって、とは言え今や鉄平さんは年齢相応でその評価はどうなのも、こんな時代だから兎に角貴重ですって。珍しく評価が終始一定なのは、ふむふむ数えて３人ですね。まあお父さんの可愛がりはここからが大迷惑の限りですが、何卒ご理解下さいませと。俺のファンって強面層しかいなのがただ厄介ではある。

　しかし、このコロノ禍前からモデルハウスを作られてもになる。確かに果林の印税収支を考えたらリモートワーク宅には足りうるだろう。ただ今の双葉は差し障りがあって、ダンス全開にはまだまだだ。その寂しい表情を大鵬お嬢さんに読まれたか、信じれば病も治る事は聖書でも書かれています、何より何時までもダンスにでもなればダンススタジオを改造して双葉さん社長の事務所の改装を何時でも請負いますからねと。双葉は高校生だからふーんだが、果林は双葉の最近の創作物へののめり具合を知ってるので得心はした様だ。俺も家族３人ならば、それも有りかの笑みになった。

　そして、双葉が笑みで命名した名称カステラハウスは、大鵬お嬢さんによって家中を微に入り細に入り説明されてはただ恐れ入った。このエレベーターはにもなったが、これ双葉ちゃんじゃなくて、お父さんお母さんの介護エレベーターですから、そういう勘の使い方は勿体無いですからねと窘められた。

　そして大鵬お嬢さんとの別れしなに、そうそうと予約票を渡された。これは静弦希望町内にある１つしかないスーパー：キヨハルマーケットのオードブルの注文票です。本当はお招きした皆さんを自宅の大広間でもてなしたいですけど、逆に気を使わせますから今日のところはこれでご勘弁願いますと。そして俺はついも大鵬お嬢さんが代わりに言葉を継なぐ。邸宅のお見積り書に関しては、真行寺建装事務所に何時でもお出で下されば鏑木鈍平専務が懇切丁寧のご説明申し上げます。ここ私の営業ですとお父さんから勝手に値引きするなと怒られますから、鏑木専務一任になるのですよね。ああ、もしお気にいらずとも次の買い手は見つけて来ますのでご心配無用です。俺はそれもですけども大鵬お嬢さんが機微に察した。ああお父さんはまま接客があるので、鉄平さんとの対面の会談は時間が取れればになります、お招きしたのに手前勝手が多くて申し訳有りませんと深く一礼して、弛まぬ笑みのまま後にした。

　そしてその日はスーパー：キヨハルマーケットへと引き取りにいった絶品のオードブルを家族団欒しながら、明日からの希望を込めたスケジューリングを果林がサクッと発表した。その周到さから異論は出なかった。

　翌日８月３日、午前も早々に双葉の関心がどうしても高かった静弦希望町植物園へと向かった。大鵬お嬢さんからＦＡＸで送られた大分譲案内会のしおりで、静弦希望町植物園の全部見届け様ものならコンパクトでも三日は掛かるのでご堪能あれと。そこ迄の長丁場ならばと、俺は行き掛けに真行寺建装事務所の寄って降ろしてくれとリクエストした。果林は帳簿を見てるのは私だから着いて行くわよと言うが、俺の決意をひしと感じたのか、行って来なさいよと諦められた。

　俺は真行寺建装事務所で降ろされては。その外装はこれと言って機能的な事務所も、入り口だけは鉄骨が機能的に組み合わさっており、ああダンプカー突撃除けかとただ察した。そことなく曰く有りかと。そして律儀に挨拶しては事務所内に入ると、内装は落ち着くベージュに統一された洗練された事務所で、職人さんは皆出払っているのか、職員は男性一人だった。そして、これはこれは鉄平さんお初にお目に掛かります。昨日の今日の訪問では購入即決では無さそうですねと、勝手知ったる如くただ親身に話された。男性は真行寺建装専務鏑木鈍平で、その専務の肩書きとは裏腹に暴力団の抗争事件で見かけた真っ先に仕切る若頭のその態だった。まあ先生とその一派ともなると手強いのは承知だった。

　純平で結構ですの一声から、丁寧に入れられたお茶は予想外に上品な口当たりに驚いた。この手の業界は相手を慮っての淹れ具合になりますので、どうかご堪能下さいと叩き上げがどうしても長い様だ。

　話はまずは入り口こそが大切と、概略的に静弦希望町はになった。静弦希望町前身の静弦村は既に廃村で、ここを整地すれば風光明媚な街並みが開けると、いたく気に入った先生が１５年前から整備計画に着手して、見知らぬ町とは言え心に引っ掛かるものが若干あるがただ夢見心地の町だった。

　整備未整備の美辞麗句で無い本音を次々と吐露し、そこに透かさず愛称カステラハウスの見積書がそっと差し込まれた。いやそうなるよな、明らかに黒川家想定のデザインハウスで、３階建のハイブリッド母屋だったら、土地込みでも１億の大台になるかと思ったが、差し出された見積書の総計は税込み５０００万円だった。俺が首を傾げたのを純平専務が察したのか、元々廃村の土地権利は自由案件、施工は若手売り出し中の女性建築家大谷翼をこき使ってこそのリーズナブル案件です。設備に不手際があるのならば、金額そのままに修繕させて貰いますと懇意に説明を受けた。俺は思わずはいになりそうだったが、ここは家族との相談にした、そもそも双葉は寒がりだからとも付け加えた。純平専務は静弦希望町の冬に関しては積雪１０ｃｍ位で、実はこの以前の村はＪＦＬのサッカークラブが目星を付けてた位ですので、雪掻きに関しては気にするまでも無くの風情ですよと柔和な顔になった。

　先送りしたものの、この静弦希望町とはのあれこれを聞く中、ホンダN-BOXの迎えがやって来た。果林と双葉はただ不思議そうに、お昼を食べるお店をぐるっと巡ったけど、スーパーのキヨハルマーケットと、東と西にあるコンビニ：マラケシュストア位なのよ、暖簾を出さない名店があるのかしらと、首をもたげた。そこに純平専務が、静弦希望町の初期構想に割烹及びレストランは有りましたが、新鮮な野菜果物に魚も漏れ無く揃いますので、それならば宅食で十分では評決に至りました。私としては外食派なのですが、いざ静弦希望町が振興して行くと私でさえもお呼ばれが多いのでは、ここは先生の言う通りかと思います。とは言えで、車で一走りのやや麓の甲府市の名店リストも貰い真行寺建装事務所を後にした。

　甲府市も見学がてらの食事は何処でと一巡りし、ネットでの予備知識全く無しの名店リストの案内から昼食間食夕食は正解のお店ばかりだった。果林のごく自然のどう思うかしらに、俺は静弦希望町内に名店名所を作っては訪問者が引っ切り無しでは静謐さを打ち消すから良いんじゃ無いかと答えた。果林のそうよねの素っ気無い返事は互いに未だ様子伺いも、双葉の口元が緩んでいたので、俺達もここ数日で同じ笑顔にはなるだろうと深く思った。

　訪問三日目８月４日、実に快適なリモートワークで2021 Only TOKYO Olympicの記事を書こうにもたった三日間のあっという間の出来事でも有り、大成功の検証記事もさて書こうも、東海快速新聞スポーツ部オリンピック主任屋敷健太が丁寧に書いてはメールボックスが溢れていたのでそっちに迷わず乗った。鉄平さんはどう思いますかのアドバイスを求められたが、別に病理学的にこの大会でコロノウイルスの感染拡大した訳でも無いから都度これで正解にしておいた。当然東海快速新聞としても記念ムックを出版予定だからここで尖っても是非も無い事だ。俺は後追いの署名社説を３つそこそこに仕上げてメールを送った。採用の案内が無いのは恐らく先の事になるだろう。そもそも実質ほぼ完全オフになっている為、ここで改めての家族水入らずになる。

　今日俺は何処に連れ回されるかと思えば、先日と同じ静弦希望町植物園に連れて来られた。昨日来たんじゃ無いかは、双葉がいたく気に入ってるからとだ。江東区のマンションのベランダに小さな家庭菜園はあるものの、そこ迄植物が好きかは入るわよで押し込まれた。入場料は５００円のワンコインをここの箱に入れての素っ気なさも、その規模たるや今や慰霊塔区の御台場の夢の島熱帯植物館の規模に至らずともコンパクトで充実したものだ。得心した俺に妻果林が備え付けのパンフレットを手渡し概略を説明する。２０１０年の静弦希望町でのオープンから始まり、まずはシンボル有りきのの町作りとして静弦希望町植物園に注力したと。これが愛称造園町の由来になる。ここ迄の完成度なのに何故メディアの取材にもネットにも上がらないかは、この町並みに浮かんでくる、そっとしておいてくれの雰囲気で分からざるを得ない。

　そして高さに余裕のある硬質ガラスの園内を歩む中、双葉がただじっと見つめる。それは立派な野生のバナナの木で有に５ｍはあるかだった。そしてふと双葉が繰り出す。動画で子供を抱えた親子がバナナの木に登って器用にバナナを取るんだよね、これ私も出来ないかなと。既に双葉は靴を脱ぎ捨てバナナの木の前に進んでいた。俺達はやめろやめなさいと声を張った。それでも双葉はバナナの木に手を掛けた。

　その俺達の荒げた声を聞いたか、若い職人さん達が忽ち集って来た。双葉もばつが悪くなったのか歩みと手を止めたが、その視線は俄然登る気だ。妻果林が手短かに、娘双葉はウルトラワクチンの副作用で、左腕に差し障りを持ってリハビリ中も無茶な事を言い出し、このバナナの木に登りたい旨をしきりにと。皆がしばしの思案の中、その職人頭の天然パーマの男性がくすりとも。

「そうだよな、動画で子供を抱えた母猿見たなら出来て当然だよな。双葉ちゃんの筋肉の付き方なら、登れそうだけど、それも出来て三回上がって芝生にドバンと落ちちゃうよな。俺としては止めたく無いけど、後頭部ガンッと衝撃受けたら、能瀬医院に運ばないとな。ああ俺は久松潤治に、こいつらは志村辰巳に新田誉に我妻隼人の、真行寺建装の若き庭師一行だからさ」

「ちょっと待って下さい、久松さん、何で止めないのですか、庭師ならばその登れるかの器量はお分かりですよね」

「ああ果林さんね、フランクに名前で呼んで良いからさ。俺が止めないのは挑戦は尊いって事。良いでしょう、出来る出来ないなんて俺が決めつけるじゃ無いでしょう、そう言う事だよね、双葉ちゃんさんさ」

「私、今だからこそ出来る気がする、そうしたら何か世界がきっと素敵に見えると思う」

「言うね双葉ちゃん。でもさ、この世界はずっと素晴らしい筈なんだよ、さあ皆手を貸してやって、」

　俺は図らずも号泣してしまったが、辛うじて涙の向こうに双葉が忽ち若い庭師達に囲まれたのを見た。潤治さんがこう前置きした、野生の幹の太そうなバナナの木でも女の子が乗っちゃうと折れちゃうからねと、双葉は若い庭師達に息もピッタリにせーのでリフトアップされた。双葉の右手がこれでもかとやっと届いた瞬間に、やっと黄色味が掛かったバナナを立て続けに３本千切っては、忽ちご満悦になった。

　そしてゆっくりリフトダウンされた双葉がいつものドヤ顔で、３本のバナナを掲げると忽ち皆から拍手が起こった。

　俺はどうしても膝を屈した。つい双葉の事を考えると出来る出来ないで考えていたが、そう本人が望めばきっと手を貸してくれる方々はいるのだと。俺達は若い庭師達に手厚いお礼をするも、気にしないでこう言うの５度目だからと朗らかに作業場に戻っていった。

　俺と果林は未だに頬を濡らしていたが、双葉がふーんとばかりに元サッカー日本代表の我妻隼人のセカンドキャリアって庭師何だと呟いた。そのセミロングの風貌はとはっとしたのはまず妻果林だった。果林の著作年代エッセイ「江東区オーディナリーライフカタログ」はサッカー日本代表のスポーツバーの観戦あればこそで、そう言えばで深く頷いた。

　我妻隼人は元サッカー日本代表の不動の右サイドバックで、２０１８年のロシアワールドカップのベスト８敗退で、そのシーズンにＪ１横浜から若くして引退した、その後は世の為になるセカンドキャリアを満喫しますから、またお会いした時にはお手柔らかにと遠くに消えたままだった。これも真行寺建装の懐の深さを知る一件なのだが、総じて静弦希望町事造園町はそう言う仕来たりなのかとただ深く悟った。

　訪問四日目８月５日、その日はかなり趣きが変わっていた。娘双葉が珍しく朝６時に起きてはストレッチを十分に整え朝食を取った。そして８時には真行寺建装事務所で与えられた背中に真行寺建装のロゴの入った純白のつなぎのままに、午前はこう言う作業でこんな感じで伝わるかなから、ああ鉄平さん果林さんはここ迄で定時の１０時上がったら送りますから俺達に任せて下さいで帰された。所謂双葉の貴重なアルバイトの親子参観になる筈が体良く押し出された。

　その経緯は、昨日の静弦希望町植物園でのバナナゲットのお礼を言うべく、夕方に日本酒二本カートンを持参しては真行寺建装事務所に訪問した際の事だ。鈍平専務がこれはこれはで例の件聞いてますよから、お盆ももう直ぐでうちは御神酒が多ければ多い程助かりますと深いお辞儀をされた。そこに事務所に戻っていた潤治さんが陽気に迎えては、早くもこんにちは皆さんに双葉ちゃん夏休みだよね暇だよね体力あるよね、庭師のアルバイト出来るよね、意外に背が高いね、おいつなぎのＬサイズは持ってきて。と瞬く間に双葉にヘルプ指定が入った。

　果林があのーも。純平専務がああ形式的な履歴書は後日何時でもで構いませんよ、黒川家の事はとくと頭に叩き込まれてますので、給与明細もきっちりお渡します。果林は双葉はこれですからご迷惑おかけしますと。潤治さんがふふんとばかりに答える、うちの女性建築家大谷翼は幼少の交通事故からずっと車椅子で３年前から歩ける様になったんだよね。そう言うのってある日突然来るからリハビリは欠かさない方が良いよで。名前が出たのか若き女性が威勢良く飛んでき来たては双葉をきつくハグした。それ私だから、大丈夫、奇跡って本当にあるから、まずはここも入り口ね、頑張ろうねと。そのマシンガントークからただ俺達は面を食らった。車椅子だった翼さんは、今や普通に１００ｍ競争に出たら確実に１位取れる丈夫さが何故にもの時、取締役の大鵬お嬢さんが歩み寄って来た。双葉ちゃん果林さんそして鉄平さん、説明が遅れましたがこの静弦希望町では奇跡がまま有りますから心持ち豊かにして下さいね、ああ、これって決してカトリック素敵教会が立派な拵えとかでは無いですからねと満面の笑みで言われた。俺は銀座のクラブ：群青で出会ったテレパシスト不知火鏡花さんの事を家族に話していない。当たり前だ、下心のどうのこうの出たら家族団欒に亀裂が入るに、恐らくそうなる事だろう。

　そしてアルバイト一日目にして、居ても立っても居られずに俺が真っ先に真行寺建装事務所につい電話してしまった。電話に出たのは、出たがりの筈の大鵬お嬢さんだった。俺のバツが悪いも切り出そうとしたその時。そうですよね気になりますよね、双葉ちゃんは東三丁目の村重邸で中庭のお手入れしてます。静弦希望町の町並みは押し並べて生垣が低いですから、近くの認証駐車場にホンダN-BOXを入れて、距離をそっと置いたら多分気付かれないと思いますよとのご丁寧にアドバイスを受けた。

　即座に向かった村重邸は近代和式二階建てに雪見ガラスのある、さも格式の有りそうな邸宅だった。植木の３／４は手入れが終わり、花壇は軒並み整い、花壇のそこに土だらけのつなぎ双葉がスコップで丁寧に慣らしていた。余りののめり込みの様を見てもっと近づいても分からないだろうかと、ほぼ生垣から顔を出す参観と相なった。

　折々に厳しい指示が飛ぶも、昨日出会った庭師潤治さん辰巳さん誉さん隼人さんは何れも優し気な雰囲気なので、張り切ってるなの印象しかなかった。そして双葉には、真心込めてなの指示が通りしなに掛けられ、双葉が大きな声でハイと答える。双葉はそんなキャラクターだったかと妻果林と見合わせたが良いじゃ無いかと顔を正面に戻した。

　そして不意に、潤治さんが１０時を告げる声を上げると、悪くないもっと真心を込めてなを受けて皆がはいと、そして休憩と双葉の作業終了を告げた。頬に土の着いた双葉が一直線に向かって来た。だから〜とただ面倒な顔をされたが、たまたま通りがかって真行寺建装のワゴンを見つけては頑張ってるじゃ無いかと只管押し通した。もうと双葉が折れたのは大人だからとかでなくて、くたくたになってるからここ迄と見て取れた。双葉には生垣で見えないだろうが、俺と果林は両拳を固めてはファイトポーズをこれでもかと送ってる。俺達に出来るのはそれだけだ。

　土を払いに払っても努力の勲章たる双葉の定時上がりは、結局そのまま黒川家のホンダN-BOXで引き取り、ご苦労様解散になった。もう時間は昼に迫ろうかで、アルバイト初日を甲府市中心街でスタミナ抜群のビストロに行こうかになったが、双葉が訥に語る。私の時給は１０００円×２時間でそれが外食そのままなんてだよ。普通にボリューム満点のキヨハルマーケットのワンコインのカツとじ大盛り弁当で良いよと。確かにキヨハルマーケットの厨房は窓越しで人流を的確に見ては作ってるから、ご飯と具材がきりっとしている。果林は確かに得がたいわね今日の日替わりは何かしれねで、静弦希望町の正門そこもＵターンし、みんなが大好きキヨハルマーケットに向かった。俺はくすりと。

「双葉も金銭感覚がえらく普通人になったな、おしゃれ弁当のあれこれリクエストからどうした」

「別に、今は兎に角養分を吸収したいだけ。気持ちがいつ迄でもおしゃれさんなら、きっと三日目でばたんきゅうだよ。それで仕事お仲間の皆に心配されてもね」

「双葉ね、そこきっと違うわよ。倒れても、庭師の皆さんが擦り寄って、魔法のやかんの水で起こされるわね。きっちり指導されて来なさいよ」

「ふむ、ラグビーか。すっぴんで正解かな」

「そんな危険なアルバイトは、いや毎日が感動か、いや良い、双葉、カツとじ大盛り弁当は二つにしよう。俺も付き合う」

「それもね、食べ過ぎると午後の課題に面と迎えないね、それでまたお昼寝熟睡は、いやあ止めとくね」

　俺は仕切りに頷く、2021 Only TOKYO Olympicの親友若草優花ちゃんの緊急招集アクター参加の悲喜交々で日々意気消沈していたものが、双葉は新たな生き甲斐を得た。やはり労働を通じれば生きる喜びとは何かが見出せるものなのだと。静弦希望町訪れてからの運命の始まりとはを深く感じせぜる得ない。

　そして、中規模スーパーも在庫数は適切且つ種類が抜群なキヨハルマーケットで、昼食と夜の食材一式を購入してはホンダN-BOXに積み終えても、双葉がずっとキヨハルマーケットのショーガラスにベタと張り付いている。その先にはトイカプセルフロアで、サッカースクール帰りの高校生男女３人に児童男子１人にキヨハルマーケット店長瀧澤兼人が揃っている。児童男子がトイカプセルを回し、それをはいとばかりに女子に渡すと、女子が両手でぐりっと開けては、当たりじゃ無いのかとばかりに悲観な声が漏れ聞こえてくる。双葉がそのホワイトグレーのカプセルトイを見ては、私行かないとで、再び店内に向かった。俺と果林もどうしたとばかりに追い縋る。

　キヨハルマーケットのトイカプセルフロアはただ重い雰囲気に包まれていた。いやカプセルトイならではの風景も、ここ迄何故に意気消沈するかが不思議でしょうがない。いや、そのホワイトグレーのカプセルトイは俺達に深く由来する。

　ホワイトグレーのカプセルトイには双葉の編み上げたミサンガのデザインを写しとったサイクルリングが入っている。以前俺の取材先に双葉のリハビリがてらのミサンガを配ったところ、ＳＮＳで何故ダイヤモンド柄の鮮やかな２色ミサンガを都知事に閣僚がしてるのだろうから、阿里邑早百合東京都知事が友情の証から火が着き、２色ミサンガの作成考察が始まった。ここで食いついて来たのが同輩の週間春宵記者澁谷俊朗で、こんな捻れた時代だから憩いは必要だ鉄平力を貸してくれになった。翌日江東区のマンションに訪れたのは澁谷俊朗の妹の澁谷満月さんで、名刺を伺うといつの間にボバン株式会社取締役社長と、何を生業にしてる会社かと言うと低価格のトイカプセルの流通を行なっているとの事で、普段の微笑みが３倍になっていた。

　要件としては、双葉による製造によるミサンガを公式ミサンガとしてカプセルトイで販売したいとの誠実な旨だった。妻果林曰く、クリエイターサイトでは雑多に売られて、双葉の様な丁寧さには欠けるものよねから頃合いかもと。双葉はただ溜め息も深く、早くても１本３０分だからこれは暇なしの職業になっちゃうよと。そこに満月さんが深く頷き、こちらには豊田の高等な紡績機の伝手があるので双葉ちゃんがこれでもかと力強く編み上げたミサンガを、絶対監修があれば２００円のカプセルトイで十分ペイ出来るから、どうか世間の皆さんの為にもお願いと根負けした。まあ双葉による鮮やかな色彩のミサンガはこれでもかの渾身の力で密にして編み上げた賜物である事を、的確に読み取ってくれたから契約書をその場でサインした。

　ただ、ここで良い意味で大問題が起こった。流通ラインに乗った双葉監修のサイクルリングは２ヶ月弱で猛ダッシュの５０万個の１億円を売り上げて、単価２００円かでも高を括っていた監修マージン１０％で１０００万円を双葉が獲得してしまった。俺の印税は東海文庫のエージェント契約丸投げ、果林は自己名義の青色申告で、さて双葉はどうするかになったが容易くも、多分３０００万円は固いと思うけど結婚資金には多過ぎるよね、節税対策の家族経営の会社は作る迄もないかなと。余りに金銭に無頓着なのは家族揃ってなのだが、いざ双葉の口から結婚資金の言葉が出ると、ただ机の下で拳を握ってしまうのが男親の宿命なのだろうか。

　そこ迄の思案が巡る中、双葉はその輪の中に自然と溶け込んでいた。どうしたもこうしたも、児童男子藤山薫樹君に高校生３人渡邊賢人さん不破廉太郎さん御影芽衣さん、そしてキヨハルマーケット店長瀧澤兼人さんの会話が切実に。何でも伊達一巡デザインの薄桜色と萌黄色のミサンガが出ないから、１日１００円のおこずかいを日々貯めては切り崩して出て来る迄頑張ると。俺達も何時迄も差し入れ出来ないから諦めも肝心。ＳＮＳでは茨城辺りの掲載写真が多いからランダムも地域性あるのじゃないの。店長ならば何とかして下さいも。補充は業者でしかも当たり目的防止のホワイトグレーカプセルになったからどうにもだね。それだったら最後の手で、芽衣さんを止めようの手が一斉に連なった。そこに双葉が不意に。

「あのう、そのサイクルリングのデザインを監修したの私なので、明日またここで会えるなら、薫樹君の為に仕上げて来ますよ。ただ偽造防止の為の両エンドの二重星形の印章は高度紡績機でないと編み上げられないので、星黒で我慢して貰えますか」

「双葉さん、ありがとうございます。でも、今１７円しかないです」

　そこで高校生３人賢人さん廉太郎さん芽衣さんが一斉に財布を出しては、芽衣さんの黄色い水玉模様のポシェットに有り金全部突っ込み、大層な賑わいになった。そして双葉が恐々と。

「いやいや、お金は結構ですから、そういうのでは無いのですよ。これは見かねてのではなく、心からの善意です。気に入って下さるのならば、私から是非にもです」

「双葉さん、そうも行かないんだよね。こいつら静弦希望フライングスワンのキッズ一同の善意はこれが精一杯。まさかこれ知らないのか、そうそうと、鑑定オークションサイトはコロナ禍でアカウント不在で軒並み閉鎖だから、ソフトバンクの鑑定オークションサイトのこのスマホの画面見てよ。これさ、双葉さんの作ったであろうの、１位は阿里邑早百合都知事の真紅色と錫色のミサンガは５９１万円、２位で伊達一巡総理大臣の薄桜色と萌黄色のミサンガが１８９万円な訳なんだよ。もっともこれはミサンガが切れた切れないの現状問わずで本人使用証明付きがあればこそで、まあミサンガが切れる迄右肩上がりかな」

「ああ、そうですか」

　双葉の憮然な表情で皆が一様にこけた。ただ俺と妻果林は改めて店長瀧澤兼人さんのスマートフォンに釘付けになっては、改めて深い溜め息を付く。２週間前の話になるが澁谷満月社長から電話とメールでこのミサンガ２つに心当たり有りますか果林に確認が入った。果林は双葉のミサンガが出来上がったら写真を撮ってるし記憶もしてるから、確かに双葉作成ですがそれがどうしましたから、競売会社のクリスティーズから真贋を確かめて欲しいと確認が入ったらしい。俺達はどういう経緯で競売に出されたか知らないが、確実に言えるのは千切れて成就されたミサンガが本人の意思で競売に入った訳では無いだろうから競売は止めてくれと返事をした。ただ、スマートフォン越しのべらぼうな金額に、やはり双葉同様にそうじゃないの心境になった。如何にもキャプテンらしき不破廉太郎さんが繰り出す。

「双葉さん、そうとは言え、俺達は初対面で、ましてや薫樹の欲しがりに付き合う義理も何も無いですよ。これは俺達有志一同の気持ちとして受け取ってくれないかな」

「いいえ無理です。この中に少なくても千円札７枚も入っていたら、私の創作意欲が７０００円の出来になってしまいます。ミサンガってそうでは無いですよね」

「うんうん分かる分かる、女子は気持ちが一番大切」

「言うか芽衣、女子から程遠い、貴女がその口から言うかね」

「賢人はもう、試合じゃ無いんだから、ゴールどころか全般が固なくて良いよ」

「双葉さん、俺達はそう簡単に善意に甘える訳には行かないよ。サイクルリングのその出来から、現に俺だって控え目に鞄に３つ付けてるんだよ。単純に善意と行かないよ」

「ふふん、私は左腕に安寧寺塔子の藍色と純白色のミサンガ、フライングスワンのカラーそのものだから、切れたら一体何かあるかな、白馬の王子様系なんてね」

「芽衣な、高校では校則に書いて無いものの、生徒指導の先生に目を着けられたら没収されるからな」

「もうね、賢人は読みが甘いな、この夏休みの激しい練習で、ミサンガが切れない訳無いでしょう」

「賢人、芽衣のそれも一理あるさ、着けるか俺達も」

「廉太郎も流されるな、まあ双葉さん本人の前でサイクルリング駄目とは言えないか」

「フライングスワンキッズ一同もここ迄にしておいて、ポシェットの有り金は引っこめろ。ここキヨハルマーケットでの事は店長の俺に任せろ。と言う事で双葉さん、これキヨハルマーケットの優待券１０式、使う使わないかはお任せだから、そんな感じで良いよね」

「兼人さんはもう、見た目茶髪ロン毛さんの相変わらずのチャラさも、こう言う所でギャップ萌えさせちゃうかな」

「言うな芽衣、またまとめてキヨハルマーケット１週間出禁になったら、この夏休み期間中、俺達完全にアウトだ。ここだけはキャプテンの指導に従いな」

「はいな、と」

　この清々しいやりとりで、双葉が微笑み、謹んでは瀧澤兼人店長から動ける右手で受け取った。そこで皆がはっきり悟ってくれた様だ。差し障りのある左腕は筋肉が戻りつつあるも、まだ肉付きは良く無い。それでも目を背けない芯の強さを持つ静弦希望町町民に感謝しかない。妻果林が頬を拭うタイミングで俺も豪快に頬を拭った。

　そして不意に、長身余りある渡邊賢人さんが双葉に歩み寄り、大きな両手で双葉の頭を包み込んだ。

「双葉さん、悪く無い硬さだね。ヘディングは強い方。そうだよね。静弦希望フライングスワンのフットサルの練習見学来ない、ほら内って、ドリブル至上主義だから叩き落とせるのいないんだよ。どう」

「ええと、頭の硬さは、小学生の時に空手の稽古に行ってたから、内緒で頭突き瓦割りもしたから丈夫な筈、そう左腕が差し障りになる前はフットサルにも行ったから、そう、出来るかな」

「よし決まりだね。監督にはキャプテンの俺から言っておくから、静弦希望町フットサルスタジアムに９ー１１時か１５ー１７時の夏季集中練習に来れるかな」

「ああ、はい、午前中は真行寺建装でアルバイトしてるので、午後体力あれば、いや温存してでも明日必ず行きます」

　皆が大爆笑の中、双葉は握手と同時に腕の太さもこそっと測り始めている。これは双葉の青写真の恒例で、俺からも誰彼はどんな太さと聞かれるものだ。まあ双葉の義理堅さは俺譲りなのかが過った時に、幾許かの違和感を感じた。

　妻果林と視線が合うと、賢人さんと双葉を見なさいよとばかりに首を何度も回す。何となく分かってる、その距離感は友達をちょっと超えたラインの内側だ。まあ、まあか、貴重な青春時代の夏休みに得るもの少ないのはどうかなは、親としては受け止める。ただ黒川鉄平個人としては、かなり値踏みさせて貰うから容赦は一切しない。

　そして、明るい筈の芽衣さんが不自然な程に、双葉との握手をキャーキャー騒いでは必死に拒む。

「あは、拒むとかそうじゃなく、私人見知りだから、そう言うことで、」

「ですから、照れないで下さいよ、フットサルでも試合前には握手は礼儀ですよね」

「それ言われると、」

　双葉が小学校の空手の手習いで素早い右手の引きを見せると、芽衣さんの右腕を確と掴み、そのまま右手に滑り込みがっちり握手する。

「捕まえましたよ、」

「うーん、そうじゃなくて、今は駄目、」

　感動的な場面なのに、何故か皆がしゃちこばって見える。何故かの刹那の中、芽衣さんが左手で掴んでいたホワイトグレーのカプセルトイがバチっと小さな破裂音を上げては、その破片が小さく粉々になってはフロアに溢れ落ちた。どうしたのかの黒川家一同以外は、深い溜め息のままに愛情を持って芽衣さんの頭を軽く手を添えて行く。俺は察し憚ったが、双葉が不思議顔で呟く。

「凄い握力、ですね、」

「そこね、私のそこは違って、説明しずらいな、はい廉太郎キャプテン、」

「芽衣さ、こう言うのちゃんと説明しないから、皆が現象に囚われちゃうんだろう。ここ、俺から改めて説明します。ホワイトグレーのカプセルトイが粉々は御影芽衣の能力、ＰＫ、はサッカー用語か、そう念動力です。芽衣今でこそ開放的になって、念動力なんて吹っ飛んでますけど、静弦希望町に来る前はまだ内向的で、何かと念動力に発動させては、町々から気味が悪がられて追い出されていたんですよ。それが虚空先生の導きで、この造園町に定住したら安定したものの、やはりもっと発奮しないと帳消し出来ないのかな。全く、双葉さん相手に何猫被ってるんだよ、芽衣はさ」

「だって私、双葉さんに嫌われたく無いもの。誰かを何かのきっかけで傷付けたくないもの」

「芽衣さん、大丈夫ですよ。ずっと私達握手してますけど、体が軋まないですよ。これって、もう親友ですよね」

　双葉が尚も芽衣さん引くと、二人は確と抱き合った。芽衣さんは安堵感とは異なる、双葉の熱い友情を感じ取って泣き顔を双葉の左肩に沈めた。そして皆の伏し目がちな視線が、つい黒川家に送られたくるが、これは純粋にそのまま熱い友情ですよと微笑みで恭順の意で示した。

　静弦希望町には多かれ少なかれの事情のある人材が営んでいるのだろう。俺はこんな時代だからこそではなく、必死に生きてる方達が大好きだ。無論双葉を始め俺達もこの大きな輪に入ったのだから、ただあるがままに生きてみたい。今ここで学んだ事は小さくない大きな信条だ。

　その日の夕方の事だ、ほぼ邸宅感たる愛称カステラハウスに来訪者があった。静弦希望町はとても慎重な風情故に、今の所案内役の真行寺大鵬さんに限られる。ただご機嫌如何のそれではなく、挨拶もそこそこに、真行寺建装の紙袋から取り出されたのは、道なりで見かけ昼にもまじまじと見入った、藍色と純白色の静弦希望フライングスワンのサッカーユニフォームで、表と裏を通じて羽ばたく白鳥の意匠が鮮やかな半袖とパンツの二式だった。そして。

「誠に申し訳ございません。静弦希望フライングスワンに関しては特段隠していた訳では有りません。甲府と言えど、熱中症は有りますので今の双葉さんに激しい運動はと、私の一存で控えさせて頂きました。勿論お父さんからは激しい叱責を受けて、順序が早まるのは不義理と教育されました。どうかお許し下さい。ただフライングスワンの練習に参加に当たり、多少の配慮をと監督には申し伝えておきましたので、物足りないとお思いになるでしょうが、双葉さんには夏休み期間中には決して御無理をなさらない様にお願い申し上げます。と、前置きはここ迄にしましょう、まあ渡邊賢人さんよね、あの子は聡いんだけど、よく見える筈の視線の先でも見えない所が過分にあって、女性からしてみれば鈍感、もっと言えば物足りない部類なんだけど、そう言うのお好み系なの双葉ちゃん、ねえ、まあそう言うのも、大人になるときっといつか出会ってしまうのだから、これも貴重な経験よね。うん、それだと、何か続かない感じがしちゃうな。そこは、ミサンガを鋭意製作中だと思うから、頑張ってね。はは、何かつい突っ込んじゃったかな。まあいいわよね」

　そのまま、大鵬お嬢さんと果林は、賢人あ奴のあらそうそうなのの井戸端会議に入ったきり。双葉は早速、ユニフォームの包装を解き、採寸ぴったりの静弦希望フライングスワンの眩いユニフォームに腕を通した。背後はHUTABAに背番号５７がただ頼もしくも見える。今はまだ湖面で佇む双葉だが、きっといつかこの白鳥の意匠のままに飛べる事だろう。ここで泣くのを我慢する訳だが、よって集って女子に戯れ叩かれては、ついいつもの号泣になる。仕方無いだろう双葉の運命とは残酷だが、都度都度で支えてくれる方々がいる。こんなやつれ切った世間でもだ。