強いコンセプトは一撃必殺の効力あり?

 ラリーさんはこう書いている。


 優れたコンセプトはスリルを感じさせる。

 恐怖やドラマ、テンション、笑い、驚き、興奮、感情がある。

 学びをもたらし、いい本を凄い本に変える。


 いい本を、凄い本に変える?

 コンセプトって、凄くね? まさに、勇者の剣じゃん。

 コンセプトだけで、そんな必殺技みたいに力を繰り出せるの?


 でも、そうするにはやはり鍛錬が必要なようですよ、皆さん。

 練習無くして、試合に出ようなんて、甘っちょろい事は許されません。

 社会ってそう言うもんですよ。

 あ、天才以外ね。


 本作にはいろんな例え話が交えてありますが、端的に纏めると「読者を揺さぶる舞台設定」を選ぶこと。

 田圃しかない田舎を描くのか、未来都市を描くのか、ラリーさんの言葉を借りれば「強いコンセプト」とは「読者の心理を引っ張る強さのあるコンセプト」と言う意味の様です。


 僕自身でいえば、ラブストーリーはBLに限って書いているんですね。

 男女よりも書きやすい、くらいの理由だったのですが、BLに求められる筆力の高さに感動してからは、挑戦させて貰っているくらいの気概で書いてます。

 小説賞にも応募しましたよ。二次が通りませんでしたけど。


 ここには、恋愛ものからホラー、ミステリー、ファンタジーなど、いろんなものを書く人が集っているはず。

 それぞれに、読者が求めているものが違うと思いますが、凡人にはそんな広範囲をカバー出来る知識がないので、BLを例えに書いてみます。


 BLってそうですね。

 男の子同士の恋愛を描いた作品です。

 その上で、強いコンセプトって何だろう? と考えてみる。


 個人的な見解で書きますけど、BLの魅力は背徳感であるとか、禁忌、スムーズにはいかない所が、男女の恋愛との違いだと思います。

 あとは、濡れ場が非常に難しくもあり、ニーズを左右する所でもあります。

 もちろん、男女の恋愛と同じように悩み、喜び、嫉妬に狂ったり、恋愛感情としては大差ない。

 

 BLを求める読者の方々が、求めるコンセプト。

 強い影響力のある舞台。

 ラリーさんの言葉を忘れてはいけません。

 優れたコンセプトにはスリルがあり、恐怖やドラマ、テンション、笑い、驚き、興奮、感情がある。

 そして、読者は学ぶ事まで出来てしまう。


 ①男子校で若い男の子に囲まれながら葛藤する高校教師ゲイの話。

 ②元犯罪者に恋をした生真面目な無自覚ゲイの話。

 ③ビッチで有名なゲイに恋したノンケの話。


 今ここに書いたものは、ラリーさん曰くコンセプトにはなってません。

 そこで魔法の言葉【What's if?】が出てきます。

 この言葉は、もし~だったら? と問いかけることで、アイデアと言う種からコンセプトと言う芽を出す魔法の言葉。


 ①なら、主人公を女装男子にしてみたら?

 セレブが通うイケメンハーレムにするか、ヤンキー校にするのか?

 ②なら、元犯罪者に巻き込まれて、主人公が犯罪を犯してしまったら?

 真面目に働くガテン系と若い学生か、主人公をヤクザの息子にする?

 ③なら、ビッチなゲイと喧嘩させてみたら?

 ビッチなゲイに久しぶりに会った親友か、道端で絡まれちゃう?


 と言う風に、種からクエスチョンを発展させて、コンセプトと言う花が咲くまで、育てる。


 今上げた三つのアイデアの中で、一番衝撃が強そうなのは、②でしょうか。

 重厚感のある作品になりそうな予感ですが、果たしてそれを書きたいかどうかですよね。

 一部の読者様には支持してもらえるかもしれませんが、コアな作品になりそうな匂いが駄々洩れてます。

 ①や③の方が、コミカルで、身近で、読みやすい作品になりそうです。


 これは、僕が感じている勝手な憶測ですが、BLを書き続けて思うのは、深刻で暗い作品よりも、コミカルで甘々な作品の方が受けが良い。

 あと、いい具合に濡れ場を書くと、支持率がぐっと上がる。

 みんないい人ばかりだ……。


 強いコンセプトを選ぶ際に、もう一つ大事なことは自分の情熱。

 書きたい事と、コンセプトをリンクさせることだそうです。

 まぁ、そうじゃないと作品を貫き通すことは難しいってことくらいは、凡人の僕にも理解出来ます。


 余談ですが、生来根暗でコミカルなものが苦手な僕は、自分が満足したいが為に、暗くて長い長編BLを小説賞に出した経験があります。

 作品を読んだことのある方は、あんなおバカなBL書いといて、何を宣うか! とお叱りを受けそうですが、本来笑いの才能がない故に、意識的にライトでコミカルなものを書くよう努力しております。

 その小説賞、同時にコミカルで、明るめの作品と同時に応募しました。

 結果、成績が良かったのは「暗い方」でした。

 書き手の情熱が、結果を左右すると、身をもって知った次第です。


 レールを敷くにしたって、木で作るよりも、鉄で作るほうがいい。

 コンセプトは勇者の剣で言う所の、柄の部分に値するかもしれません。

 強くて頑丈な柄(コンセプト)でなければ、ずっと振り続けることは出来ませんから。


 コンセプトの強さポイントは三つ。

 今握っているコンセプトは読者に届く力があるのか?

 そのコンセプトを魔法の言葉で、磨き上げ、強固にする。

 そしてお前は、そのコンセプトに情熱を持って、最後まで一心不乱に振り続けることが出来るのか?


 と、僕はこれから問う事にします。

 

 次回はコンセプトの裏の顔について、分析、考察しようと思います。

 今日の所は、ここまで。

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