第19話自己紹介
翌日、俺はティーラさんが作った美味しい朝食を食べた後、学院へ向かった。
無事教室まで辿り着き、すぐさま黒板に貼られていた席順を見たあと、自分の位置を確認し座った。
しばらくしているとラルフとジョンが教室に入ってきて、目が合うや否や俺の方に手を上げながら近づいてきた。
「おはようノルン!」
「おはようっす」
二人は元気な声で俺に挨拶してきた。
「おはよう、ラルフ、ジョン」
俺たち三人はしばらく昨日の歓迎祭の話をした後、チャイムが鳴ったので席についた。ちなみに俺の席は、教室の一番後ろの窓側の席だ。ラルフとジョンとは離れている。
チャイムが鳴ってしばらくすると、教室に一人の女性が入ってきて、黒板の前の教卓で立ち止まり、俺たちの方へ向いて話し始める。
「まずは初めに、入学おめでとう。今日から貴方たちの担任のエミリア=ダートルスです。早速ですが貴方達には自己紹介をしてもらいたいと思います。そこの貴方からお願いします」
エミリア先生はそう言って俺達生徒に自己紹介を促した。指名されたのはラルフだった。
「はい、では僕から。僕の名前はラルフ=トルステイン。この国の第二王子だけど身分に関係なく気軽に話してくれるとありがたい」
それを皮切りに、次々と自己紹介をしていった。
途中、気になる生徒がいた。
「僕の名前はファビエル=ベルムンド。隣国のベルムンド帝国から留学してきた。一応こんなのだが第四皇子だ。ラルフも言ってた通り、気軽に接してくれると助かる」
口調から推測するに、どうやらラルフとファビエル君は顔馴染みらしい。っていうか、このクラス高貴な人多くない!? 今まで自己紹介聞いてたけど例外なくみんな高貴な人なんだけど……。王子、宰相の息子、皇子貴族の息子、娘……。俺、本当に大丈夫なのかな。
そんなことを考えているうちに俺の番が来た。席を立ち俺は話し始める。
「僕の名前はノルン=ヘルリッヒ。えっと、一応推薦入学でこの学院に入学してきました。皆さんのような高貴な方と一緒に学べる事が自分はとても誇らしいです。これからよろしくお願いします」
俺はそう締め括った。
それを聞き終えたエミリア先生は話し始めた。
「さて、自己紹介が終わったのですが、早速この学院に新たに導入された新制度について話したいと思います」
それを聞いた生徒達はざわざわし始める。
しかし、それを遮る大きな声でエミリア先生は話し始める。
「新制度の内容は……」
と、すごく長い説明をされたがまとめるとこんな感じ。
・生徒が良い行いをすれば星型のバッチを与える
・生徒が悪い行いをすれば雷型のバッチを与える
・良い行いを例を挙げると、筆記試験優秀者、実技優秀者など
・悪い行いを例に挙げると、暴力行為、成績不振など
・これらをもとに来年のクラス分けがされるらしい
今まで見えていなかった実力を、バッチという形で表すのが新制度という事だ。人目見るだけでどのような人物かがだいたいわかる。なかなか興味深い制度だ。
その説明が終わった後、終礼をしてエミリア先生は教室を出ていった。
生徒達はなぜか俺のところへ寄ってきた。ほとんどが女子だった。なぜだろう……。
「君が噂の推薦入学者だったんだ~」
「推薦ってすごいよね~」
と高貴な方達なのに意外にも話しかけてきてくれた。
「入学試験の時に見かけた子だっ! やっぱり間近で見るとカッコいいっ!! あっ、ごめんなさいっ!」
と逃げてしまう人もいたが……。まあ、カッコいいと言われて嬉しくないわけがない。
まあそんな感じでしばらく話した後、教室の外で待っていてくれたラルフとジョンと一緒に校舎を出た。
なんかさっきからラルフとジョンの元気がない。声かけてみるか。
「あのさ、二人とも。なんで元気ないの?」
二人はお互いに目を合わせため息をつく。
「なんだかノルンが人気者でいいなと思ってたんだ。特に女子からいっぱい声かけてもらってたよな。これでも王子なんだけど……」
「憧れっす。これでも宰相の息子なんすけど……」
どうやら俺は地雷を踏んでしまったらしい。
「な、なんかごめん二人とも」
その後は機嫌を良くして話が弾んだ。
「それじゃここで」
「それじゃっす」
「うん、また明日」
そうして俺たちは別れたのだった。
魔力回路を手にした俺は努力を惜しまず突き進む! ピョンきち @daiki1106
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。魔力回路を手にした俺は努力を惜しまず突き進む!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます