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止まらない笑い声。
始まるカウントダウン。
狂気の罰ゲームが、また行われる。
「おまえ……頭イカれてるよ……!」
「氷見さん……ねえ恭子さん、どうしよう!?」
「二人とも落ち着いて。これからのことは、ペナルティを済ませてから考えましょう」
「えっ……えっ、えっ、えっ!?」
「な……恭子さん、ちょっと待ってくださいよ! アイツが悪いんだから、アイツの歯を抜けばいいじゃないですか!」
「嫌ぁぁぁ! 助けて!」
右へ左へ、黒神イソラの悲鳴と駆け足が忙しなく逃げ回る。追うのはきっと、恭子さんだ。
一人しか走ってはいないけど、黒神イソラは確実に追い詰められていると思った。恭子さんの殺気が、部屋全体に充満していたから──
『5……4……』
誰も逃げられない。
誰も。
わたしたち五人はもうとっくに怪物に飲み込まれてしまっていて、この部屋は胃袋の中なのかもしれない。
わたしたちの命はもう、本当はこの世に無いんじゃないか。五人とも全員が死んでしまっているんじゃないかって、そう考えた方が正気を保てるように思えてしまう。
「嫌ッ、ちょっと待っ、で……いぐぅ、ふあぁぁ……ぁ……だぁぁぁ……お母ざぁ……ンふぁなぁひ……ガァァァァァ!?」
「う……くっ……クソ……神さま……」
「アッハッハッハッハッハ! アッハッハッハッハッハ!」
頭が痛い。お願い、やめて。
もう笑わないで、もう泣き叫ばないで。
もう、頭が……わたしの頭が……
もう聞きたくないのに……やめてよ、お願いだから。
それなのに、どうして聞こえるのよ──
『2……1……』
──絶叫。
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