おまけ3オルタナティヴって何ですか、ユーリ先生3

 目元を直して、とりあえずそのカフェオレを頂くことにする。


「あ。美味しい。少し飲んだだけなのに、コクが深くて甘みがあって、牛乳の旨味とコーヒーの渋みが引き立て合ってる感じ」

「へへー。牛乳も厳選してるし、豆も特選だし、色々ここは拘りも深いわよ? 空ちゃんよ、そんなに甘く見られては困りますな。今にビッグウェーヴに、って言ったでしょ? 甘いのは飲み物だけよ!」


 ニコッと笑いアイコンタクトの様なウィンクをする火炎さん。


 うむむ。名前に似合わず明るくて素敵な人だわ。確かにこの人なら、ユーリもすぐに仲良くなれたのも肯けるかも。


 でもどうしても、その一言が美人なのに、少し楽しいお姉さんの領域から、ちょっとネジの外れた感じになるのは如何なものなの。


「じゃ、ごゆっくりー。このお店は基本時間制限とかはありませーん。喫茶店ってそうでしょ? お仕事の打ち合わせも、もちお仕事をやってくれても、オールオッケーよん」


 そう滅法明るいまま言い残し、エプロンを揺らしながらカウンターに戻る火炎さん。

 それでユーリの方を眺めると、この魔女さんはパンケーキに夢中のようでした。


「うーん! 特製のジャムとはちみつソースにフルーツの乗ったコレ! いいわねえ。最高よ。ね、ソラ?」


 ユーリさん。どうやら甘い物には実は目がないのだろう。

 満面の笑みで口を少し汚しながら、食べていく。


「ゆっくり食べなよ。今日は急がないんだからさ」


 そう言い、私も美味しそうなパンケーキを切り分けて食べて、カフェオレをチビリと飲む。


 ・・・・・・っていうか、何の話するってこの前言ってたんだったか。

 肝心の集まったテーマを忘れてたわよ。


 こほん、と咳払いしてユーリはじゃあ、と話を進める。

 口元が汚れてるから締まらないことこの上ない。ちゃんと口は拭きなさいよ。


「むぐむぐ。そうでした。危うく忘れる所よね。でも、大丈夫。色々シミュレーションして、妄想・・・・・・もとい想定はして来たから!」


 ・・・・・・何の話?


「だーかーらー。オルタ化とかオルタ現象の話でしょう。もう! 忘れたとは言わせないわよ」


 ――そうでした。では姫君の薫陶を真面目に聞きますかね。


 背筋が思わず伸びてしまうのは何故だろうか。

 少し私は未知の話に期待感もあったのかもしれないわね。



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