第4話「一応聞くぞ。マジか?」
友達作りの手伝いをすると約束した昨日から見ての明日。つまり今日。
俺は心の中でとんでもない
なんだよ昨日から見た明日が今日って。それ最後の『今日』だけで言葉として充分なんだけど。
なぜ俺がこんなに動揺しているかというと……昨日気づいたんだよ。
他の学校からも見物人が来るような美少女と一緒にお買い物。これが同じ学校のやつにバレると少々マズイんだ……。いや、かなりマズい!
自慢ではないが、俺はそれなりにモテる……と勝手に
そんで、それが問題なんだ。その女子当人は
まずはファンクラブだ。噂で聞いたのだが、俺の通っている学校だけでメンバーは約120人。他校も合わせると200を
極め付けは親衛隊。中学校時代からの取り巻きだけで組織されているという話なのだが、やってくる男子を
俺の場合はその逆で、お姫様的女子を振ってから、毎日親衛隊に見張られている。恐らくだが、他に彼女がいたら俺を亡き者にでもするのだろう。ますます恐ろしぃ……。
例の女子と
でもまぁ、人の根本的な部分はそう簡単に変えられるもんでもないしなぁ……。
「待たせてしまってごめんなさい。まぁ、あなたは待つ方がキャラが立つわね」
「帰っていいんだな? お疲れー」
「待ちなさいよ! 冗談が通じないの?!」
「遠回しに帰ってもいいってことかと」
ダメだな、簡単には変わらないとは言っても、こいつの性格は
「そんなわけないでしょ。もう……早く行くわよ」
「おぉ」
会って早々こんなこと言われたの初めてだよ。
考えれば考えるだけ、こいつの社会適正と将来が心配になる。友達作り以前に人との接し方を学んだ方がいいのでは?
「なぁ、お前って人付き合い苦手そうだけど、就職とかちゃんとできんのか?」
「そうね……今のところは父の仕事を引き継ごうと思ってるから、最低限のコミュニケーションが取れれば」
「ふーん。なんの仕事?」
俺がそう尋ねると、咲良はショッピングモールのパンフレットを開いて見せてきた。
「ん?」
「ここの会社」
差し出されたパンフレットをまじまじと見つめる。
チェリーホールディングス? んん、チェリー?
「一応聞くぞ。マジか?」
「本当よ」
明らかにこいつのコミュ力じゃ無理だろ。こんな大企業の取り締まりって……。
「でも、近くに新しいショッピングモールができちゃったから、どうなるかはわからないのよ」
「なるほどなぁ。やっぱ色々あんだな」
「余計な話かもしれないけど、あちら側の後継者も、私たちと同じ高校の生徒よ」
「マジでか! 誰だよ」
そんなビックな奴が同じ高校に、それも二人いるなんてすごいな。
そいつにコミュニケーションの基礎でも教えてもらえれば、きっと咲良の役にも立つだろう。
「
「紫陽花って……あの二組の……?」
「そうよ」
ほうほうほう……。こりゃコミュ力伝授なんて言ってらんねぇな。
なぜなら、紫陽花は俺が振ったお姫様女子だからな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます