第2話 春風ふたつ、思いを感じて
春風に揺れる桜がとても鮮やかで、あたしは写真におさめる。カメラといっても安いものだし下手くそだけど。友だちと遊ぶ予定がないときはこうしてカメラを持って出かけていく。あたしの好きなことのひとつだ。
春風には季節を変える力がある。あたたかくても、雨でも、強風でも。冬は風がふくと、いつのまにか春になっている。三寒四温。いつのまにか春なんて過ぎて夏になっていく。
あたしは友だちが多い方だ。話をするのは好きだし、みんなすごいなあって思う。みんなと離れるのは寂しいけど新しい友だちができたらいいなあ。悲しくて泣くなんて真似はしない。せいぜい嘘泣きをして笑いをとるくらい。このクラスが好きだったから、春は実は憂鬱。最初が大変なんだよね。なんとなく前からできてるグループになんとなく入る。固定のところが決まったらなんとなく他のところにも声をかけてみる。かたくななところへは無理にはいかない。だいたいゆるいところに話しかけていく。あたしの居場所を探す工夫。
本を読むと眠くなるから、あの子の趣味に合わせるのは難しいけど、話をするのは好きだったなあ。なにやら壁を感じてたけど、それでもあたしのくだらない話で笑ってくれた友だち。離れるのが少し寂しいけど、あたしはそんなキャラじゃないから。また会ったとき、覚えてくれてるかな?本当に趣味の合う子と楽しそうに笑う、まっすぐな彼女。
強くふく風は
壁を感じないのかな
桜はすぐ散っていく
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