第9話 日本を取り巻く食糧(料)事情

 まず触りとして、それなりに使い方の異なる【しょくりょう】の漢字の用法について書いておきたい。【食料】これは食べるもの全般を指す場合に用いる感じである。野菜や肉、ダイズやコメなど全て一括りに食料である。

 では【食糧】とは何か。それは主食に成り得るものである場合に用いられる。コメ、小麦などの穀物やジャガイモなどだ。まぁ、他にもあるだろうが、ざっくりとしたイメージはこの程度で十分だと思う。

 一番まずいのは、その差が何もない、そう無関心であることだから。


 さて、これを書いている時勢はロシアがウクライナに侵攻し、2週間ほど経過し、世界各国の支援と制裁が効果を生み始めている頃合いである。ともあれ、今回の要旨はどちらが正しいかや、戦況ではない。この状況が、日本に与える影響を、【食】の観点で考える。


 日本の食料自給率は周知の事実であると思うが、かなり低い。平成30年度のカロリーベースの食料自給率は37%。これがどういうことか、多少の間違いを無視して言うのであれば、「あなたが1日で3000キロカロリー接種していたとすると、そのうち国内生産の割合は約1200キロカロリーですよー」ってことである。これだけを見て「日本の食料生産は低い!!」と思うのは、よくある手法の一つ。※低いことには変わりはないが、認識がこれだけでは不足している。

 ではカロリーベースではなく、生産額ベースで見た場合、日本の食料自給率は66%である。これをまた多少の間違いを無視していうのであれば「あなたは食費に3000円使用しました。そのうち国内に残る資金は約2000円です。」ということである。この二つを、見比べて正しく理解してようやく食料自給率についての議論のスタートラインに立てるのものだと、筆者は考えている。


 この二つから分かることは、日本は大量の食料を輸入に頼ってはいるものの、国内の食料市場においては四捨五入で7割のシェアを維持しているということである。これはどういった原因で起きているのか。加工等を考えないのであれば、ダイズやコムギ、肉類・魚といったカロリーの高いものが、海外から輸入され、キャベツやレタス、トマトなどといったカロリーの低い野菜が国内で生産されているということである。


 つまり、日本のカロリーベースでの食料自給率を向上させるためには、漁業と畜産に力を入れ、主食となる、またはカロリーの高い農作物(イモ、マメ、トウモロコシ、コムギ等)を増産すればよいというわけである。ただ、今の野菜の生産を行っている畑で、カロリーベースの食料自給率のためにダイズなどを転換して植えると、生産額ベースの自給率が後退することは、十分あり合える。同じ重さのジャガイモとイチゴやトマトが同じ金額になるはずないのだから。


次に、今回の露宇情勢において日本の農家に与える影響として懸念されることは、肥料価格の高騰である。主にリン・窒素だろうか。カリウムはカナダなどで代替できそうではある。これに関して、悲観的にな考えは、しようと思えばいくらでも思いつくが、日本の肥料自給の低さは近年に始まったことではない。


また日本の農業形態は100しか取れない地力を持つ畑で、多量の肥料を投入していくことで、120%の収量を獲得する、そんな農業だ。そして、技術的に環境に配慮し、なおかつ肥料使用量を減らす取り組みが現在進行形で進められている。


その一つとしてあげられるものが、木炭を田畑に散布するといったもの。これは木炭が栄養塩・農薬を回収し、水域系への影響軽減が確認されている。土粒子の団粒化を進め、土質の改善にも寄与すると考えられている。これが早々に普及すると肥料の使用量を抑制することができると個人的には感じていたりする。

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