第8話 ベーシックインカムの理想形を間違ってはいけない

 これを執筆しているときは、2021年09月12日である。ワクチンの接種も進み、ようやく若者への摂取を行う余裕が生まれ始めた、そんな時期である。自民党の総裁選が始まり、いったい時期総理は誰の手に!?そんなニュースが連日報道されている。


 有力候補は河野氏だろうか?岸田氏も一定の存在感を放っている。石破氏の動向が気になるところ。石破氏の動きが、良くも悪くも総裁選の重要な要因となりうる可能性は否定できない。しかし、高市氏が安部元総理の支持を得たという情報もないがしろにできない。安部元首相は派閥間の調整が非常に上手かった(ただし、影響力はまた別物である)人物である。


 仮にここで筆者の願望も込みで、予測を立てるのであれば、河野氏応援したいと思う。ハンコの廃止や、ワクチンの確保・接種の推進、Twitterの利用が上手いなど、実務と国民との接触機会の確保を行っている政治家は今までにいなかったからである。


 さて、前置きをこのくらいにしておいて、本題のベーシックインカムについて諸兄にざっくりと概要を説明しようと思う。


ベーシックインカムとは「ベーシックインカム(英: Universal basic income, basic income, UBI など)は、最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して 一定の現金を定期的に支給するという政策 。 また、基本所得制(きほんしょとくせい)、基礎所得保障、基本所得保障、最低生活保障 、国民配当 や、頭文字をとってBIやUBIなどともいう 。」(引用元:ベーシックインカムWikipedia

URL:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0)


 つまり、何もしなくても生きているだけで月額〇万円が支給されるということである。最低限の生活でもよい(限度は不明)とするのであれば、働かなくてもよいとする制度、(まだ制度化されていないことからすると思想になるのか?)である。


 ここだけ聞くと、「働かなくていいなんて、最高じゃん!」と思う人間が出てくるが、今一般的に議論されているベーシックインカムが制度化されてしまうと、少々まずい事態が発生する可能性が出てくる。


 それは、「生活保護や国民年金、国民保険がベーシックインカムと同時に消失する可能性」である。ベーシックインカムは財源として、国民年金や国民保険、生活保護をあてると考える人は多いです。これは、同じような制度が2つあることはおかしいと考える人間からすれば、妥当な”ように聞こえる”理論である。


 この状況を言い換えるのであれば、弱者の救済制度がベーシックインカムに切り替わっただけであり、助けのいらない中流層~富裕層にまで資金が使われるために、貧困層への支援が悪化する自体すら想定されるわけです。


 ですから、筆者は声を大にして言いたいのだ。”何のためにベーシックインカムを導入するのか”ということである。以下は筆者の理想である。


 働かなくても生きていける。そんなためにベーシックインカムを導入するのだろうか?ベーシックインカムを公約に、票が欲しいがためにするのか?どちらでもないだろう。適切な競争がない社会経済が衰退するのは、世界2位にまで上り詰めた共産主義者国家が崩壊し、もう片方の共産国家が資本主義経済を導入した時点で明らかである。では、何のためにベーシックインカムを導入するのか?ここでベーシックインカムの目的、理念、信念を喪失、逸脱してしまっては、時の政権の戯言と負のみを残してベーシックインカムは潰えてしまうことだろう。


 ならばベーシックインカムの目的は何か。それは、生活レベルの底上げである。月に10万円で生活している人に対して、15万円で生活できるようにする。それが目的である。断じて働かないで食っていける。そんなものはベーシックインカムのあるべき姿ではない。


 国民年金を除き、生活保護と国民保険は消失させてしまっては絶対にならない。社会がある限り、それに適応できない人間は必ず出てくる。その理由が、生まれながらの適正であったり、病気であったり、その他の原因であったりと必ずある。この人たちにも衣食住を満たし、生活する権利はある。それが、一律の給付される金額「5~7万円」程度で、どう生活しろというのだ。セーフティネット、最後の砦としての生活保護は存続させ続けなければならない。


 そして、国民保険も存続させなければならない。大きな病気というものは、時に生活を一変させてしまう。働けず、医療費は嵩み続ける。そして、一回数百万ともいわれる手術を受け、その請求がそのまま来た暁には、今後の生活がままならない可能性が十分に考えられる。そんな事態は知ったことか。ならそのベーシックインカムは貯蓄でもしておけというのだろうか?それではいったい何のためにベーシックインカムを支給しているのかという、最初の話に戻ってしまう。


 つまり、筆者が理想としているベーシックインカムとは、生活保護及び、国民保険をなくさない形でのベーシックインカムである。もちろん、縮小や見直しは行う必要はあるに決まっている。しかし、なくなってしまう事態は何としても避けなければならない。そう思うのだ。


最後まで読んでくださった貴殿に最高の謝意を。そして、幸多からんことを。


以下流し。

ベーシックインカムを実施するにあたり、インフレ率などの基準をもとに停止するといっている政党などには要注意が必要であると、筆者は考えている。表面上であっても永続的な構造にしないと、しわ寄せは必ず来る。支給金額、仮に7万円とすると国内経済に対して毎年100兆円のお金が供給されることになる。

そして、経済は少なからず高騰するだろう。では、ここでインフレ率を基準に達しかけたことを想像してほしい。買い控えが発生して、一気に購買力は縮小する。誤解を恐れずに言えば、ベーシックインカムバブルの崩壊である。国家は不景気となっても(むしろそれが原因で)上がりつ続けるインフレを抑えるため、市場からお金の回収するために税金をあげざるを得ずに、更に不景気へ…。そんなことはない。そう言い切れる根拠を筆者は一切持ち合わせていない。

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