第7話 食料人類は可能か?
今回は大きく趣向を変えて書いてみたいなと思って書いてみます。
人類を家畜とする小説、漫画等々は少ないながらも一定数存在する。一種の支配欲の最大系とでも言うべき欲求なのかもしれない。
なら、ふと思いませんか?本当に人類を家畜として利用することは可能かどうか…と。
ここでは趣味や嗜好についてフォーカスはしない。ただ単にその設定部分の実現可能性について述べていきたい。
結論から言うと食用人類の存在には【現時点で否定的】な立場をとらざるを得ない。この結論には倫理観・道徳観の一切を捨ておいての結論である。
少し話を変えてしまうが、筆者はこの世界のどこかで食人を文化とする文化圏があっても、それについて是非を付けることは不可能であり、是非を付けること自体、その行為自体が業が深い行為であると考えている。人を食べることを文化とする人々に「それは野蛮だ」というのは、その発言をする人がそのコミュニティ外の人間でコミュニティ内からすれば異端で野蛮である。
しかし、筆者のスタンスのもう1面としては「ただし自身に被害が及ばないこと」を前提としている。食人の文化もコミュニティ内で行っている分には全く問題ないし、改変する必要も感じないが、食人コミュニティ外に被害を及ぼし始めたのであればそれは、駆除、駆逐、強制等々の手段に出ることを躊躇っては行けない。
筆者のスタンスについてはこれくらいにして、続きを話していきたい。
一般に家畜を育てるという行為は、食糧の浪費である。このことを知っているか知らないかで、この話の結論は大きく変わってくる。主要な食用家畜(牛、豚、鶏)には餌を与え、太らせなければその体から肉を得ることは出来ない。また太らせなければならない以上、摂取する(させる)カロリーを増加させなければならない。
この目的を達成するためには、カロリーの高いもの、つまり炭水化物やタンパク質を与える必要がある。そのため昨今の家畜飼料はトウモロコシなどが主流となっている。
しかし、家畜を太らせるために人間の食べることが可能な食物を与えるという行為は人間の食料を減らす行為に他ならない。そして与えた以上のカロリーをその家畜から回収することは可能であるかと考えると、「不可能」である。
なんで?と思う人は自分の体で考えてみるといい。あなたが今までに〇〇年間に食べてきたカロリーはあなたの今のからだから回収することが出来ますか、と。大凡な概算になるが、牛は一日当たり7㎏程の飼料を食す。このうち牧草とトウモロコシの配分が半々の飼料であった場合、牛は出荷までにおよそ30か月(肉牛の場合)かかることを考えると約3000㎏ものトウモロコシを食べることになる。しかし取れる肉の量は200~250㎏程である。
現在の畜産をすべて人間の食すことができない飼料で飼育可能になれば、世界の食糧事情は一変すると説も存在するほどにこの畜産による食料消費は大きい。
現状のような家畜に人間を当てはめて考えてみる。人間が食せる物は牛や豚などと同じものでは無理である。またそれなりに食えるものでないと駄目である。人間に牧草でも与えた日にはたとえ無理やりに食べさせたとしても消化できないため結局餓死してしまう。
人間は牛のように反芻動物では無いため、硬いセルロースを消化することは困難であり、今私たちが食べているものに似たものしか選択肢に出てこないわけです。また、昆虫などを与えるという手もあるが、こちらもこちらで、細菌等の影響で、人間飼育には向いていないと判断せざるを得ない。
このような考えから行くと、人間が人間を食べるために育てるという行為は、食糧不足で起こることはありえないわけです。食用人間に与えるだけの食糧があるのであれば、人間が食えばいいだけである。
食糧不足が叫ばれる昨今の【現状】が変われば可能性は十分にありますし、数十年後、数百年後には最高級食材が「人肉」かもしれません(笑)
さて、ここで終わっては面白くない。よって筆者は現代から近い未来の食用人類の【技術的可能性】に言及していきたいと思う。
まずは食用人類の一体可食部は何処になるのかと言う疑問がある。内臓か?ももか?現状可食部となりうるだろう部分が少ないことも問題であろう。
家畜を育てるうえで、可食部および食味は非常に重要になってくる。つまり人間の一部を肥大化させる方法や、骨自体を軟化させてしまい骨という不可食部位を減らす方法も考えられる。前者は今現在行われている一般的な方法にあたるが後者は本格的な遺伝子操作になるため、おそらく行われていない。
そして上記に述べたとおりに人間を食用人類化するためには、現在私たちが食していないものを食せるようになる、もしくは現在の家畜が食しているものが飼料として利用できることが重要となる。いわば「空気からパンを得る法」なんと謳われたハーバーボッシュ法のような奇跡を起こせることができれば、食料人類は可能性を帯びてくる…?
試験管ベビーないし、試験管ベイビーといったものはご存じだろうか?簡潔に言ってしまえば体外受精の別称のようなものである(蔑称である可能性を筆者は否定する)。
iPS細胞の場合はよくご存じあろう。この二つと欧州発の培養肉の技術を複合させれば、食料人類の夢はかなう。もちろん倫理観・道徳観の軛を引きちぎることができる前提であるが…。
欧州発の培養肉の技術は嘘か誠かよくわからないが、工業的に必要物資を作り出し養分とし、培養可能だとする報告がある。これが本当であれば食料人類は理論上可能になる。ついでに食料事情も万事解決。
最後に一応書いておきますが筆者にカニバリズム的な欲求は全くありません。厚めに切られた牛のステーキが大好きです。
ps:けれど仮に人肉を合法的に食せる機会があれば経験に一回は食してみたいとは思っていたりする。
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