第7話日本は世界最大の債権国!
日本政府の借金は日本国民の借金。なんてことを言って叩かれた議員がいました。(最近では仮想サーバには物理サーバがいらないから時間もコストも削減できるといったとんちんかんなことも言っていたようですが…)よく日本の借金の話しをする際に必ずと言って言いほど登場する例え話が、「国民一人当たり○○○万円の借金」というやつです。一度は聞いたこと無いでしょうか?この理論でいくと執筆時点の国民一人当たりの借金は大体800万円くらい。今生まれたばかりの赤ん坊からいつ死ぬか分からないご老体まで等しくこの程度の借金を負っていることになる。一時期は借金時計なるwebサイトが注目を浴び、その借金の増える速度に唖然とした人も少なくないだろう。
そして、なるほどこれは大変だ。私の年収は○○○万円しか無い。これを払うのに○年無給で働かないと返せない!……と、この発想では馬鹿が丸出しである。ならば世間一般的、大手メディア(主にテレビ局とか。マスゴミって一部では言われるメディア)は、国家財政の健全化(黒字化)を進めるように言い張る。そして世論も追従するが故に公務員の給料カットや人員削減がしばしば行われる。税収が変わらずに支出(人件費等)が削減できれば財政の黒字化が達成される”様に思われる”。
この際気をつけなければならない事柄として、削減された人員は職を失っているわけである。そして、削減された給与分の購買意欲が削減されていると同義なわけである。削減された人員はこの先就職できるのか未知数である。仮に生活保護を受けるようになれば、財政の出費は増え、所得税・購買意欲・消費税等々の収入も減っているわけである。もちろんこれらの計算を行うのは容易ではないし、世間一般がこの様な煩雑な思考を行うのかと考えると、悩むこと無くNOである。
話は逸れたが、日本の借金はおよそ1100兆円。国内総生産はおよそ500兆円。日本全体で得られた利益の全てを借金の返済に充てれば二年と少しで返済完了となる。が、根本的な話でこの借金は返す必要があるのだろうか?この問にアンサーが出ない限り日本の借金について理解することが不可能になる。政府の借金とは個人の借金とは異なりかなり大きな特殊性を帯びている。
まず日本政府は一体誰からお金を借りているのか?その答えは焦らすこと無く答えると日本銀行である。日本銀行は日本の中央銀行として紙幣を刷る権利(通貨発行権)を有している。そして、詳しい話は省略するが、日本銀行は政府と連結された組織だとみることができる(その活動をかなりの規模で自由にできるという意味で)。また日本の借金(国債)を有しているのは日本銀行が44%となっている。その他の保有者として、都市銀行15%、生損保20%、年金6%、海外13%となっている。つまり、日本の借金の内90%近くが円建てによって賄われているということになる。
この円建てによる借金というのが重要なポイントとなってくる。特にギリシャ等と比較する場合に有効となる。ギリシャが財政破綻に陥った要因として、自国通貨以外の借金を多く抱えてしまった点がある。自国通貨以外で借金をしてしまった場合、借金の返済には自国通貨を借金した通貨に両替をして返済を行わなければならない。例えば、日本がアメリカから借金をした場合、借金はドルで貸し与えられ、返済の際はドルに両替した後返済しなければならない。
そして、ギリシャは自国では返済できなくなり危機に瀕したわけである。そしてもう一つ日本と異なる点は、ギリシャは自国で通貨をすることができないという点である。ギリシャはユーロを導入している。そのユーロは欧州中央銀行が通貨発行権を有しており、ギリシャは日本のように自由に通貨を刷ることができないわけである。
ここまでを纏めると日本は自国で通貨をすることができ、尚且つ自国通貨建てで借金をしているため、必要に迫られれば自由に通貨を発行し借金の返済に充てることが可能である、と言うことである。
次に日本はこのタイトル通りの債権国であるという点である。債権国と債務国を混同してしまうと意味が真逆になってしまうため注意である。債権国は他国の債券(借用書)を持っているというこであり、債務国が破綻しない限り債券は財産としてカウントされる。ちなみに債務はまごう事なき他国への借金なので負債としてカウントされる。この保有額は日本が世界で一番多い。その内訳では債券の大部分をアメリカの債券が占める。これは日本がアメリカドルに対して大きな資産を有しているのと同義である。極論を言えば日本円の価値が暴落したとしても、その債券を売り払い、円を買うことで市場の円を回収し、為替を操作することも可能である。
注)世界で有数の為替操作国は中国と韓国である。そして日本はアメリカの債券などといった現金化に時間のかかるモノを使わなくとも外貨準備高は世界一位となっており市場に介入するのであればその自由にできる資金を用いるだけである。
以上のことから日本が借金をしても大丈夫な理由である。ただし、注意が必要なのはこの原理は日本が世界有数の経済力を有していることが前提である。つまり、このまま少子高齢化が進行し、経済力が低下を始め世界経済への影響力を喪失した場合、基軸通貨としての円の価値はなくなり、円売りによる空前絶後のインフレーションを引き起こす可能性は現時点の私では否定することはできないということだけ忘れないでいただきたい。
最後に個人的な意見として、ここ最近よく見る政権批判は与党がいくら交代しようとも変化の無さそうなものばかりで呆れている。日本そのものをよくしたいと考えているならば内閣・与党では無く各省庁を解体・再編すべきだと私は考えている。そのために政治家を選ぶときは上っ面の公約などでは無く、どれだけ省庁の体質にメスを入れられるかに注目していってもらいたい。まぁそうはいっても省庁にメスを入れられる政治家なんていないと思いますが…。大臣なんて特に…。官僚がいなければ仕事白馬ともにできない人達ですからね…。
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