第4話フラットアースと陰謀論

 この世界は不思議と驚きで満ちている。自然現象で驚くことは日に日に減っているような気がするが人間の思考というものは日に日に驚きが多くなっているようにすら感じる。まぁ、この感覚は私の関心がそちらに寄っている体感的指標によるものであるが…。

 前置きはこのくらいにして、皆さんに一つ聞いておきたいことがある。

「地球は平面か?」

 この質問におそらく9割9分9厘の方が「NO」を突きつけるものと思う。しかし最近ではフラットアース・地球平面説を信じる人々が一定数いてしまう。今日も今日とて元ネタはTwitter。#フラットアースで調べて見るとでるわでるわ…。

 彼らの思考が非常に面白かったので紹介しながら否定していきたい。ただし、この問題を現実で直面したとき読者諸兄には論理的に対処してはならないことを覚えておいて欲しい。これは科学を用いたオカルトである。非化学と科学のダブルスタンダードをしている人々が中核を担っている。そんな彼らと理解し合うには、彼らに矛盾点を自ら理解してもらうほかない。そして、その矛盾点を他者に正確に伝える知識と技術を持つのであれば、是非とも対話・説得を実施していただきたいが、ないのであれば関わらない方が得策である。ミイラ取りがミイラになっては元も子もない。


1.太陽の後ろに雲がある。

 彼らの地球平面説は地球は天蓋(材質不明の蓋。上空30㎞ほどにあるとされ大気が地球外に放出されないために地面を覆っているとされているモノ)が存在しており、太陽はその中に存在している。という主張である。

 ここで笑ってはいけない。ここを至極真面目にこの事象について考えてみたい。今回話題に上がっている二つの物体は共に実体が希薄であるという点にまず留意したい。雲は水蒸気であり、太陽は実在するが私たちが認識しているのは光という非実体である。ここから素人でも経験則で分かる自明。光は透過するという事実がある。これだけで答えは見えてきた。太陽という強烈な光を放つ物体と自分の間に雲という水蒸気で構成された透過性の高いモノがあった場合、雲は日光によって”消失”する。そして、太陽の輪郭外のみ”消失”せず視認できる。これによってあたかも雲が太陽の後ろにあるかのように見えるわけである。

 極論天蓋(笑)の中に太陽があったとして一体誰が・何が太陽の軌道を制御しているというのか?この話は必ずと言ってキリスト教が関わってくる。つまり、そういうことだ。

2.地球が球体であれば海水が落ちるはずである。

 この質問が感覚的に生きている人は「確かに」と思いがちだが、そもそもの話し一体どこに「落ちるか」を考えないことには始まらないのです。地球上ではモノは下に落ちます。可能な限り具体的に言うと、地面に対して90℃に立ちその体に対して90℃になるように手を伸ばした状態で、手に持ったモノを手放す。そうすると手に持っていたのはイレギュラーなく等しい物理運動を行うことでしょう。ここには「重力」が深く関わっている。

 先に結論を言ってしまえば「重力が下という概念を生み出している」と言うことである。宇宙では重力がない。そこでは上下という概念は形式以上の意味を持たない。落としたモノは浮遊し、”落ちる”ことはない。

3.正距方位図法が正しい世界である。

 正距方位図法は地点Aから見た地点BCDEF………の方位(東西南北)とどれだけ離れているのか(km)が正確に書かれた地図である。その欠点として土地の形や面積が著しく異なっている。この程度の知識は小学生でも知っている。他の地図はメルカトル図法にモルワイデ図法などがある。そもそもなぜ多様な地図が存在するのか。それは”地球が球体であり平面に適切に表すことができないため”である。そのために各用途にあった地図を製作しているわけである。


 世界は想像以上に広い。それはもう限りなく。常識なんて個人の偏見である。それ故に私たちの常識を否定したい人々も多くいる。常識はその個人が今まで生きてきた道で全てが決まる。

 しかし、科学的根拠に基づいた事実は変わることはない。時折現れるイレギュラーは特定条件下、ないし未知の変数による例外だけである。そこにオカルトは一切介入する余地はなく我々の探求が不足しているに過ぎない。

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