第十一話 歪む表情は・・・・・

「まずこの資料を見てください」


 そう言って琢磨はその資料をクラス全員に渡す。

 その資料には『いじめの犯人はお前だろ』と書かれてある。クラス全員がざわつく。まぁ、そりゃあそうだろ身に覚えのないことで君が犯人だろって冤罪をかけられるんだから。

 まぁ、やはりいじめをしたやつらはにやにやしている。その歪んだ表情をぶった切ってあげましょうか。


「やっぱり君かい」


 そして琢磨が指を差したのは全く別の関係ない人だった。

 撫子は、すぐさま立ち上がり、


「師匠、まったく関係ない人に事件の犯人とか擦り付けないでくださいよ」

「え?冤罪なんて俺がするわけないだろ」

「だって犯人は、あいつらだって」


 そう言って撫子がそのいじめグループを指を差す。

 すると、その中一人が立ち上がり、


「おいおい言いがかりはやめてくれよ。僕は何もしてない」

「うん、って待てよ。『僕は』ってことはそのグループ君以外はいじめを行ったってことでいいのか?」

「なんでそうなるんだ。僕たちのグループはみんな悪い奴じゃないよ」

「へー」

「そうだ、今度一緒に近くのお洒落なカフェでケーキを食べに行かないか」


 それを琢磨ではなく撫子に向かって言う。琢磨は、


「あ、すみません、この人の叔父から悪い害虫はつかないようにしてくれって言われててそれは僕から丁重にお断りさせていただきます」

「だったら君もどうだい、一緒に行かないか?」

「無理。俺、喋りながら食うのは本当に親しい人じゃないと唾が散ったと思ったら食えたもんじゃないからパス」

「そ、そうか、でもさ、撫子さんが行きたいと言えば、一緒に行っても「結構です」


 撫子はすぐに断った。琢磨は「はぁ」とため息をついて、


「本題に戻すけど、いじめをしてたの君たちグループは?」

「してないよ」

「何、探偵ごっこ、きもー」


 こ、いや、ダメだ。ふぅ。初手で崩れてくださいね。


「探偵ごっこって言った君。でも君が自白をしに来たじゃないか?」


 グループ全員の意識が、琢磨が話しかけた女子に集まる。

 その女子は、


「いや、私はそんなこと言って」

「言ったよ。琴さんがいなくなって、もしかしたら私たちのせいかもって。自白しに来たの忘れちゃったの?」

「だから私は」

「君、いい加減仲間割れを差せる言い回しはやめてくれないか」

「別に仲間割れを差せる言い回しってそもそも何?俺はただ単に真実を話しているだけだよ」

「嘘をつくなよ。僕たちグループがいじめをしたという事実なんてないだからさぁ、もう粗探しはやめてくれないか?」

「粗探し?仲間だったら粗なんてないだろ。もしかしてカースト上位にいたいからで集まったわけでもないだろ?それだったら粗の一つか二つはあるだろな」

「カースト?君はそんな小説とか漫画の事を言っているのかい」

「はい、論点をずらそうとするのやめて」

「だから、僕たちはやって」

「じゃぁ、これを訊いても私たちは潔白ですって言えるの?」


 琢磨はスマホの録音を再生。

 いじめグループがいじめを自白するような会話が残っていた。


「ほら言ったろ、その女子が自白したんだよ」


 その問題がバレる会話を一番初めにしたのが、琢磨が、自白したんだろっという女子の声だった。

 琢磨は心の中で上面な関係性でよかった。もしあいつらがガチの友人同士で言葉巧みにこの証拠もすべて否定されたら俺に勝ち目何てなかったわ。

 そう思いつつ、


「これでクラス委員長からはおわります」


 担任が、


「お前ら、ホームルーム終了後生徒指導室に来い」


 と強い口調で伝え、これにて終了した。

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