第八話 止まっていたものが動き出す
貴船・滝夜叉姫の二演目を見て、何となくだが神楽面の構図が出来た。
赤土の粘土に女面の型を取り出し、面の型どりをして、その後手を加えていく。丁寧に丁寧に、歪んだ口を作り、目に涙袋も作る。目は鬼面と同じようにつくる。歪んだ口は復讐を含めるために。涙袋は父を失いまだ心に残る悲しみを表現した。
形には自信がある。これに続けて鬼面も作る。完全に鬼となった姿を現すために血管を浮かせるようにつくってみた。
これらに水張りを施し、そして柿渋とのりを混ぜ三枚重ねてはる。そして乾燥さて残っていた空気を竹へらで擦り出していく。この一連の作業を五回繰り返し、15の層にしていく。
これに一週間が掛かり、5月2日となった。中の粘土をハンマーで叩き壊し、粘土を全て出していった。これを脱活という。
次に胡粉掛けをする。胡粉とは細かく砕いた貝殻ににかわを混ぜた顔料である。これを塗る事で肌が整い、彩色をするときに色が鮮やかになる。下地塗り、中塗り、仕上げ塗と徐々に肌理を細かくしていく。
そしてこれを乾燥させるだけ、……残るのは彩色となった。
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