第五話 原点回帰
朝五時に起床。いつもの生活習慣を取り戻すように心掛けていた。今日は25日土曜日。先週までは徹夜して学校へ行き、の日々だったが、今日と明日だけは神楽面のことだけができる。
神楽面の本を見る事はするが、貴船や滝夜叉姫といった演目だけに注目することにした。前はいろいろな神楽面を見てそれらを参考にしてつくろうと思っていたのだが、依頼されている滝夜叉姫で使える面ではないものが出来たのであった。
本を見ても何も参考にできず、本を閉じ、本棚に戻した。
琢磨は昨日貰った手紙を今日もまた見直して、あることを思いついた。
「そうだ、神楽を見に行こう」
と。
そう考えれば、すぐ実行。琢磨はネットを使い今日と明日で貴船と滝夜叉姫を公演する社中・神楽団を調べ、メモ帳に書く。
どうやら、北広島町の美土里町という広島神楽が強く根づいている地域で共演大会があり、そこで貴船や滝夜叉姫を見る事ができるようだった。日時は25日の19時から。琢磨は急いで準備をし、美土里町へ向かったのだった。
・・・
美土里町に着いた時、時刻は12時だった。近くにあった道の駅で昼食をとり、神楽を展示している場所があり、撮影しながら見て回り、時刻は14時となった。
そろそろ目的地へ向かおうと目的地行きのバスに乗り込み、揺れに身を任せすてひと眠りするのだった。
・・・
終点である目的地で目を覚ますと、バスの座席は満席で、立っている人もいた。その中は、老若男女問わず様々な世代がいた。
バスを出て、時計を確認する。時刻は15時。結構早めに来るのは場所取りが必要だからである。
最前列にいる猛者はほとんどが一日前とか半日前に場所取りをするため、初見の人がマイクが届かず聞こえずらい場所で舞だけ見ると言う状況になることもある。
なので、神楽団の太刀納めなどでは、場所取りや列をつくるのは開錠一時間前か三十分前にお願いしますという張り紙がある。
琢磨は小さめなブルーシートで正面の良い席をとり、少しゆっくりとする。
神楽公演まではライブとかがあるのでそれを聞きながら過ごす。
……さすが、神楽が盛んな地域なだけに神楽以外は無関心で有名なアイドルだろうと若いきゃぴきゃぴした女子数人がうちわなどもって振っているだけであとは琢磨だけだった。
それから時流れ、神楽公演十分前になった時、あの有名アイドルを応援していた女子がバリという音と主にシャツを脱ぎ捨て、その中から『神楽魂』と書かれたシャツが現れた。
これも神楽が盛んな地域なだけなのだろうか……。
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