新規エピソード
紫蓬山の李典墓
本日向かう遺跡は紫蓬山の李典墓。李典といえば、合肥で張遼、楽進と共に戦った魏の武将だ。この3人仲が悪かったというが、それでも協力して少数精鋭で合肥を守り抜いたというから胸熱だ。
李典は真・三國無双ではついこの間脱モブしたばかりの武将だが、曹操には黄巾の乱のときからつき従っている古参武将である。学問を好み、多くの書物を読んだという。合肥の戦いの武勇のイメージが強く、インテリな面があるのは意外だった。
劉表との戦いで、「伏兵がいるから追ってはいけない」と夏侯惇に忠告したのも李典だ。ちなみに夏侯惇は于禁を連れて突撃して返り討ちにあっている。なにやってんだか惇兄…(と于禁)
渋滞の市街地を抜けて郊外へ向かう。1時間ほど走ったあたりで紫蓬山の看板が見えてきた。山のふもとは大学の町で多くの大学が集まっている。その敷地の広さにびっくりだ。外語大学などはもう建物が寺院みたいなドームになっている。周囲は屋台がたくさん並んでおり、学生たちで賑わっている。大学のでかさに驚いているうちに紫蓬山の山門が見えてきた。
こんなに観光地として整備されているとは知らずそれもまた驚きだ。車を脇に留めてもらい、いざ山門をくぐる。山はハイキングコースになっており、学生や家族連れで賑わっている。まずは地図を確認。おお、ちゃんと李典墓が書いてある。山の麓にある、とガイドは言っているが、一旦山を登らないといけないらしい。
さておき、山を登るにはちょっと時間がかかりそうなので、お金の力で山頂付近まで行くことにする。電動カー往復15元。道はアスファルト舗装されており、看板も新しくきれいに整備されている。ハイキングを楽しむ人民をかきわけ電動カーで山道を登ること5分ほどで山頂付近に到着。そんなに高い山ではないらしい。ここから徒歩で李典墓を目指す。
山頂には寺と塔があるそうだが李典は関係ないそうなので今回は寄り道はナシ。どんどん山道を下っていく。こちらの方にはあまり人が来ないようで数人とすれ違った後は誰とも会わなくなった。3月ということもあり、少し寒いかと思いきやさすがに歩けば身体が温まる。ガイドのおっちゃんもふーふー言いながら歩いている。
ハイキングコースから少し外れた場所に李典墓はあった。古ぼけた石碑には李典の武勇伝が刻まれている。ちゃんと曹操の名前もある、張遼の名前もある!!感激だ…!!ガイドさんが石碑を読んでくれるのだが、うんよく知ってる。でもせっかくなので話を聞いた。李典墓は山の斜面に造られた石造りの墓で、辺りは木々が生い茂り、表面を草が覆っている。静謐な森の中にひっそりと佇むとても素敵な墓だった。
こんな静かな場所で眠れるなんて、石油工場のせいで撤去されたらしい夏侯惇を思えば涙が出てくるというものだ。学問が好きで、軍事を好まず。李典もこの場所なら静かに好きな学問に打ち込めるだろう。李典墓の壁をすりすりしながら名残を惜しみつつ、山道を戻ることにした。しかし、なぜこんな山の中にぽつんと墓があるのかが謎なんだけど…大層不思議だ。
帰り道、香味豆腐というものを買ってみた。すれ違う若者たちが食べていたので美味しそうでつられてしまった。よしここで使うぞ必殺「多少銭?」(いくらですか?)屋台のおばちゃん「◎×△□~」…そうだ、しゃべることが出来てもヒアリングが出来ないんだった。わ~意味ねえ!!コミュニケーション成り立たないじゃん。言葉のキャッチボールどころか返ってきたボールを避けてるようなもんだ。
う~ん、イチニイサンくらいは覚えてきたんだけど、さすがに早口で言われたら分からん。ガイドがすぐに「5元だよ」って教えてくれた。なんとも情けない。パクチーかける?と言われた(雰囲気)のでうんうん、と頷く。パクチー結構好きなんだ。5元を支払い、香味豆腐ゲット。一応「いくら?」は通じたということで小さな勝利の味を楽しもうではないか。
これがなかなか美味い。香味スパイスがほんのり効いて、パクチーが絡んで絶妙な風味だ。汗だくなのにアツアツの豆腐を食べるというシチュエーションは非常にマゾいが、香味豆腐美味い!時々屋台で見かける料理なので、また見つけたら食べてみよう。電動カーを待つこと15分、スピード下山だ。良い時間になってきたのか観光客が増えて、電動カーのクラクションが紫蓬山に鳴り響く。
そして当然のごとく避けない人民たち。おお、のどかだ。これぞ大陸。幸運にも誰も轢かずに無事に山門に戻ってきた。ハイキング途中にいろいろ見どころもあるようだし、もし今度来るときはゆっくり山歩きを楽しむのも良いかもしれない。そのときには李典墓に供える花と線香でも買っていこう。
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