病院の裏庭にある関羽像

 三国志演義第七十五回に関羽の勇猛さを示す逸話がある。樊城にて曹仁の命で放たれた矢が肘に刺さった。矢を抜き取ると鏃に毒が塗ってあり、腫れ上がってしまった。そこへ名医華陀が尋ねてきて骨を削る荒療治が必要と言った。関羽は麻酔無しで外科手術を受け、その間酒を飲みながら平然と馬良と碁を打っていた。荊州で関羽が傷を負った時には華佗はすでに曹操の手により他界しており、この話は創作ということになる。

 荊州にある荊州市中心医院という総合病院にこのエピソードを表現した「関公刮骨療毒遺址」がある。

ちなみにこちらでの「医院」は日本の病院にあたると考えてもらえばいいだろう。到着した病院は病室が高層階まであるようなかなり大きな規模だった。建物の中に入れば受付用の端末が並び、CTの案内などの看板が見えた。渡り廊下を通り、中庭へ。そこには関羽が馬良と碁を打ち、その横で外科手術を行う華陀の像があった。黒い石で彫られたなかなかリアルな像で、関羽の上腕二頭筋がムキムキだ。華陀の脇で処置を手伝っている人物が目をそらしている。もしかしたら関平なのかもしれない。造詣が良くできているので一見の価値がある。台座にはこの場面の説明が彫られていた。

 病院の中に、毒を受けても治療をして無事に快癒した関羽、そして神医華陀の像があるというのはありがたいことではないか。患者の心のよりどころになるに違いない。近くにはあずまやがあり、天井に彩色された関羽の姿を見ることができるのでお忘れ無く。

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