現地ガイドはどこまで頼れるか

 三国志遺跡巡りで中国の現地ガイドを依頼することについて書いていこう。うまく使えば大変良い助けになるはず。


 中国の現地ガイドの依頼について、私はインターネットで三国志 ガイド 個人旅行 などのキーワードで検索して出てきた旅行社へ連絡をしてみた。日本語のサイトもあるし、三国志遺跡のモデルコースの紹介もしているところだった。このようなサイトはいくつかあったが、今でも最初にご縁のあった旅行代理店にお願いをしている。


 日本語サイトがあるところは日本語でメールのやりとりをしてくれる。モデルコースのアレンジや自分で組んだ行程について、見積もりの相談をすることになる。金額設定は日本語ガイド1日約8時間拘束で15,000円くらい、車は別にドライバーつきで一日2~3万円、これは走行距離にもよる。時間を越えたら追加料金になりますよ、と注意がある。


 ちなみにちょっとでも安くならないか相談したことがあったが、そもそも個人ツアーはあまり儲けがないと思われるので、安くはしてもらえなかった。しかも三国志遺跡巡りとなれば有名観光地でも何でもないので探す方も面倒、できれば受けたくない勢いの仕事なのだろう。中国といえば値切ってナンボと思っていたが、こういうところでは値切ることはできないし、何度か依頼してお得意様になってくると相手が自然とサービスをしてくれるので、最初から印象を悪くしない方が良いだろう。


 私の依頼した旅行社は全土のガイドを手配するネットワークがあり、その旅行社が現地旅行社や個人ガイドへ連絡を取ってくれる。三国志遺跡に詳しい旅行社もなかにはあるが、田んぼの中のドマイナー遺跡となってくると普通の旅行社では調べてもらえない。現地の様子を確認してくれたりもある程度はやってれるが、三国志遺跡となると丸投げしていては「そんなものはない」と言われることも多いので、ネットのページなどのリンクを伝えるなどしてできるだけ確認してもらえるようこちらも準備が必要。


 現地でのガイドとのやりとりについて。

待ち合わせは空港出口やホテルのロビーにお願いすることが多い。時間はきちんと守ってくれるので安心できる。何かとルーズな印象があるが、そんなことは無かった。日本語ガイドは日常会話は全然問題ない。ドライバーは基本的に日本語が話せない。


 三国志遺跡もメジャーな場所から現地の人も知らない場所までいろいろあるので、もしドマイナーな場所を探索する場合には現地の人への聞き込みなど、ガイドがどこまでやってくれるかやる気にかかっている。通りすがりの人何人もに聞いたり政府の施設に聞き込みに行ったりとヒューマンスキルが試される。


 山の中にある鄧艾の墓を探すときは看板もないし、山道をぐるぐるして通りすがりの農家の人にも何度か聞いたが全く分からず、周辺を管理している政府の建物に入って尋ねて無事たどりつくことができた。農村のどこかにある鍾繇が硯を洗った池の場所は屋外麻雀観戦中のおっさんに聞いて教えてもらった。かつての遺跡巡りバックパッカーはこうして遺跡に到達していたのか、としみじみ感心する。私は中国語ができないのでこういう地道な努力の疑似体験をさせてもらえるだけでも刺激的で楽しい。


 道ばたで人に聞く場合、かなり近い場所まで来ていても「没有」と言われることもある。田んぼの中の盛り土のことなど地元の人民には興味がないし、立派な建物でもなければ「没有」なのだろう。こうなったらガイドも無いっていってるから諦めよう、とスパッと切ってくる。そうならないために必要なのが、おおよその地図やネットで探した写真だ。写真があればああこれなら~みたいな展開になるし、ガイドもそれなりにきちんと探してくれる。旅行代理店に依頼したコースなのでガイドがどうにかしてくれるだろうと思って何も準備せずにいくと、そこにたどり着けずに終わってしまうこともあり、悔しい思いをした。


 もし一人で来たら言葉がわからずに見学だけして帰っていたところを、ガイドがいてくれてありがたいことは現地の人と交流できること。

 郭嘉の故郷では、到着したときに廟の鍵が閉まっていた。残念がって周辺をうろうろしていたら人民おじさんが出てきて、鍵を開けてくれた。その方のおにいさんの家の庭にある(笑)石碑や自作の地図を見せてもらえた。これは感動的な体験だった。また田舎の武侯祠でせっかく来たからと管理人のおじいさんに旅の無事を祈る赤い毛糸を手首に巻いてもらえた。

 現地の人は温かい。話ができればもっと交流ができるんだろうなあと思う。このような体験から自分だけでも交流できるようにぼちぼちと中国語を学んでいるところである。


 現地ガイドがいれば食事も高いだけではない有名店や老舗などをよく知っており美味しいお店に案内してもらえるのが嬉しい。旅行の楽しみは食の要素も大きいので、これはありがたい。中国の家庭料理は大皿が多いので、ガイドと一緒にシェアして食べることもある。西安観光で依頼したガイドは注文の手伝いをしてくれ、自分は別で食事をしていた。普通はこういうスタイルなのかもしれない。


 時間延長に関して、旅行代理店の注意書きには残業になったら所定の料金がかかるとある。実際にきっちり料金を請求されたこともあるが、少し過ぎたくらいでは何も言われないこともある。その場合は個人的に別れ際にチップ程度の金額を渡している。中国旅行に詳しい人から聞くとチップは最初に渡す方がサービスが良いらしい。また、行程が複数日に渡る場合は遅い時間になることもあるのでそれで追加料金が発生することはまず無いと思うが事前に確認しておく方がトラブルがない。旅行社によっては割高だが、早朝から夜遅くまで力一杯観光場所を組んでくれて追加料金なしのところもある。


 中国語ができない、現地の作法がわからない場合は現地ガイドを依頼してみるのもおすすめ。ただしその場合は自分でもそれなりの下調べや聞き込み時に使えそうな画像を準備しておくことが必要。最後に、三国志なら中国人はだれでも詳しいと思うとそうではない。個人的に詳しい人もいるかもしれないが、マイナーな人物になると知らない人も多いので観光地のガイドのように遺跡の説明は期待しない方が良い。兵馬俑では見事な説明を聞くことができるが、田んぼの遺跡を同じくらい説明することはできないのだ。


 



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