入部希望

聡太郎様は、学校にいる時も家にいる時も変わらない。


泰然自若というか、周りと交わることなく学校にも学友にも関心がないように感じる。

そもそも生きていることに関心がないように感じるのは不遜だろうか?

TVも観ない、音楽も聞かない、美食やレジャー、ゲームにも関心がない。唯一読書を少しされるだけ。

喜怒哀楽も趣味や興味もなく生きているように思える。もしかしたらご両親の不幸が影響されているのだろうか?


そんな聡太郎様について愚鈍や愚図など影口を吐く不敬な輩もいるが『相手にするな』と聡太郎様から緊く申しつけらている。

アリッサも同意見で、そういう輩に一々腹を立てたり反論して、目立つことはするなと厳命された。


なので聡太郎様が、郷土史同好会に入部すると聞いたとき、部活という言葉と聡太郎様が結びつかずに『はあ』などと間抜けな声を返してしまったほどだ。


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正直なことを話せば、聡太郎様の入部は警護をさせて頂く立場としては、御控え願いたい案件なのだが、わたし如きは御意志に従う他なく、またアリッサも許可したのだから異論あるはずない。


ただ聡太郎様は、わたしの部活への同伴を厭うているようだった。

聡太郎様の御意志には従うべきだが、わたしが聡太郎様の側に仕えさせて頂くのは警護任務に万全を期すためであり、この件については御意志に気づけない風を装い、わたしも一緒に入部希望を提出した。


聡太郎様は、わたしの入部を窘めることなく、ただ一言『様はやめろ』と命じられた。

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