第4話 ペンギンが私を好きになってくれた

「このお家、めちゃめちゃペンギン愛が強いから!」


 私はペンギンが大好きだ。

 一人暮らしを始めると、家の中はすぐにペンギングッズだらけになった。ぬいぐるみにポスター、そしてペンギン関連の書籍などなど。

 実家の部屋と変わらない。

 私の周りには常にペンギンがいる。


「じゃあ私はペンギン公認のペンギン好きってことになるね」

「そりゃそうでしょ! 今度、僕の親戚と友人を連れてきます! 満場一致です!」

「……ありがと」


 冗談が通じないんだな、この子。

 おこがましいかなと思いつつジョークを言ってみたら、まさかの返し。不覚にも照れた。

 やっぱりペンギンが好きだから。


「そんな優しくてペンギン大好きな渚ちゃんが僕は好きです!」

「そりゃどーも」

「女性として、ですよ!」

「……は?」


 さすがにたまげた。

 会ったばっかなのに告白されたことに、ではなく。


「あなた何言ってんの?」

「僕は渚ちゃんが好きです!」

「いや、それは分かったよ。私が言いたいのはさ」

「渚ちゃんのことだから、人間に恋したペンギンを知っていますよね?」

「うん。……あー、そっか」


 そうだったね。

 じゃあ、あなたが私を好きになってくれても別におかしくはないね。


「あのっ……」

「はい」


 崩していた足を急いで正座にし、私は彼の目を見た。真っ直ぐに私を見てくれている瞳は、かわいらしくも凛としている。


「僕と付き合ってください!」

「……よろしくお願いします」


 私自身、決断も返事も早すぎるのは分かっている。でも諦めようとした人生に光が差し込んできた気がして、もう一度楽しんでみるかと思った。だから私は即OKした。

 そして、やっぱりペンギンが好きだから。

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