第28話

 それから幸子は何度も男を買った。

 何回かリピートする男もいれば、二度と声をかけない男もいた。

 買うたびに、幸子は男たちにされたことを思い出した。楽しい作業ではなかった。 

 それでも幸子はやめなかった。

 自分が受けた屈辱や苦痛をなでることを。

 そして、思いだしたこと、自らがされていたことを目の前の若い男に施した。

 男は決まって細い声をあげた。 

 初めての責めに興奮するのか、細い体を反らし、すぐに精を放つものも少なくなかった。

 ちいさく笑っているものもいた。

 あの頃の幸子と同じだった。 

 男も数年後には、幸子を恨むのだろうか。

 そして、今こうしている自分のことを嘆くのだろうか。

 幸子は初めて、自分がしていたこと、されていたことの意味を知った。

 男を買い漁るにようになってから、幸子は鏡に映る自分がぐっと老け込んだと感じていた。

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