第30話 ダブルデート②

 はい、というわけでやってきましたショッピングモール。

 今回来たのは学校から電車で約三十分、駅直結の大きな建物だ。……やっぱ都会って便利。


 どうやらこのショッピングモールで俺の服を買うらしいのだが、生憎俺は服に執着が全くない。ショッピングモールとか来たことすらない。

 だから正直困っているのだが、陽菜が何故かやる気を出しているので、大人しくコーディネートされてみるか、と思っているのだ、が……


「瞬〜、予定通りね〜」

「おう!」


 突然岩屋が瞬にそう言った。

 ん?予定?なにそれ俺知らないんだけど。陽菜も状況がわかっていない様子。……つーことはこのバカップルどもはなんか企んでるな。


 しかし、そこまでわかったとしてもそれ以上はわからない。俺は岩屋に、陽菜は瞬に引っ張られて、それぞれ別の方向へと連れて行かれた。


「お、おい岩屋。これ、どういうことなんだ?」

「ん〜これ〜?これはね〜秘密〜」

「秘密って……教えてくれてもいいだろ」

「あはは〜冗談〜。ちゃんと教えてあげるよ〜。今日はね〜お二人さんをコーディネートするために呼んだんだ〜。私が水崎君の服を決めて〜、瞬が陽菜ちゃんの服を決めて〜、決め終わったら見せ合うの〜」


 なるほど、コーディネート対決みたいな感じか。対決はしないけど。見せ合うだけだけど。

 っていうか、瞬で大丈夫なのか?あいつ男だし、女性用の服とか選ぶの大変だと思うんだが……。


「あ〜、瞬で大丈夫か、って感じの顔してるね〜」

「……まあな。男子が女子の服選ぶのとか絶対難しいだろ。少なくとも俺には無理だな」

「確かに水崎君は無理そうだね〜。でも〜、瞬は妹さんが服選ぶのとかに連れて行かれているらしくて〜、結構センスが良いんだよ〜」


 へえ意外。あいつ妹いるんだな。

 まあ、岩屋がそこまで言うんだから瞬のコーディネートに期待するか。あいつも岩屋っつう彼女いるから、変なことはしないだろうし。


「さて〜、それじゃあ選んでくよ〜」

「……お願いします」


 そして俺は岩屋に連れられて、雰囲気がちょっとお高いものを取り扱っている感のある店に入った。……あ、俺ちょっぴりワクワクしているかも。



 約一時間後。

 岩屋の選んでくれた服は自分的にも結構気に入ったので、早速購入した。そして今その服を着ている。

 岩屋には「陽菜ちゃんの意見聞いてからじゃなくていいの?」と言われたが、俺が気に入っているんだからいいの!……流石に「似合ってない」だの「服が可哀想」だの言われたら、この服はタンスの奥底に封印されるだろうが。まあ、陽菜はそんなこと言わないはずだし……お願いだから思っても心の中だけにしといてね。


 こっちは購入して動ける状態になっているので、陽菜のいるところに向かうということになった。

 

「お、由美子に優斗か。やっと来たな」

「どう~?この水﨑君~」

「うーん、フツメンが雰囲気イケメンになった感じかな?」

「そこは嘘でもイケメンとか言えや。雰囲気とかつけんな」

「いいだろ、正直な感想言ってやったんだから」


 俺の服装は、ボーダーのTシャツにカーキ色のシャツを羽織り、黒いスキニーを穿いている。……ちなみに、服の名称は岩屋の入れ知恵である。

 とまあ俺の服なんて知っても誰得って感じだろうから、そろそろ陽菜の服を見せてもらうことにしよう。


「それで、陽菜はどんな感じになったんだ?」

「見てのお楽しみだ」


 瞬はにやりと笑い、試着室のカーテンを開ける。

 そこには、いつもとは違う雰囲気の陽菜がいた。

 いつも見ている陽菜は「可愛い」がメインとして存在しているのだが、今の陽菜は「カッコいい」と思わせる雰囲気だった。

 白いフーディーに濃い緑色のブルゾンを上に着て、藍色のジーンズを穿いていて、頭には白のキャップをかぶっている。

 ……え、真面目に俺よりもカッコよくない?


「ど、どうですか、先輩」

「…………めちゃくちゃ似合っていると思う」


 少し恥ずかしがりながらも嬉しそうな表情をしながら、「これ買います」と言って再びカーテンを閉められる。元の服に着替えるのか。……これからも見る機会あると思うからいいけど、ちょっと勿体ないな。ぜひまた着てほしい。


―――そして瞬、なんかイラつくからそのドヤ顔やめろ。





☆あとがき

ファッションセンスとか全くないので、そこら辺はご了承ください……。

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