第4話 カオスなお部屋
「先輩お願いです!先輩の家に居候させてください!」
「………………はあ?」
え?居候って言った?
「何言ってんだ、陽菜。却下に決まってんだろ」
「えぇ〜〜〜何でですか?一人増えるくらいいいじゃないですか!それに相手は超絶美少女ですよ!そんな機会、これを逃したら二度と来ないかもしれませんよ!」
大きなお世話だ!
全くもって否定できないけど!
「自分で超絶美少女とか言うなよ。ってか第一、お前思春期の男子と同棲とか怖くないのかよ?」
すると陽菜はぽかんとした表情になっていた。
「え?怖いわけないじゃないですか。だって相手はあの先輩ですよ?襲うとか絶対に、そんなことしないじゃないですか」
「それは信頼から来るのか、それとも馬鹿にしてるのか、じっくりと議論する必要がありそうだな……」
確かに俺はたとえどんな美少女がうちに来ようと、理性が崩壊するといったことはないだろう。頑張れば我慢だってできる、はず。
だとしても、こいつと同棲となると絶対体力使うからな……。
「まぁこれでも信頼はしてますよ。比率で言ったら……大体九対一くらいは」
「勿論九の方だよな?」
「え、普通に考えて一の方ですよね?流石に会って初日の人をそんなに信じられるわけないじゃないですか。いくら完璧な私でも、それはちょっと無理ですね」
「んじゃ居候の件はなし、と。一人暮らし頑張れよ」
陽菜の肩をポンと叩き、交渉決裂の意を示す。
すると陽菜は一瞬固まったかと思うと、肩に置いた手に縋り付いてきた。
「わー!ごめんなさいごめんなさい先輩めちゃくちゃ信頼してます!全然馬鹿にしてませんさっきのは冗談です!陽菜ちゃんジョークです!許してください!だから居候させて下さい!」
え、何この人怖い。
ってか電車内でそんなに騒がないでほしい。そのせいで周りの人から冷たい目で見られてるんだけど……別に俺は陽菜に酷いことしてるとかそういうんじゃないのにな。冤罪だ冤罪。
「……ってか何でそこまでして居候したいんだよ。自立したいとかじゃないだろ、今一人暮らししてるし」
「ええっと、それはですねぇ……」
そう言って陽菜はばつの悪そうな表情をしながら頭を掻いた。
「実は私、高校生になるときに親にわがまま言って一人暮らしさせてもらうことになったんですけど、その時に条件つけられちゃって……毎月親が部屋の状況を見に来て、しっかり生活できているようならばそのまま一人暮らしを続けていいって言われたんです。生活できていなければ一発アウトで、即実家に戻されます」
「……それで、なんで俺の家に居候ってなるんだ?」
「ほら、私ってポンコツじゃないですか。私ここ来てまだ二週間ちょっとなんですけど、既に部屋がカオスで……あ、写真見ます?」
陽菜が見せてきた写真は確かにカオスと呼ぶに相応しい荒れ具合だった。
脱いだ服が床の上に散らばっていたり、カップラーメンの容器が大量に重なっていたり……とても人が生活できるとは思えない空間だった。女子としてというより人としてヤバイ。
「それで、先輩の家に居候できれば元の家は散らからないじゃないですか。そうすればずっと一人暮らし、もとい二人暮らしできるんです!」
「いや自分でしっかり家事をするって考えは出てこなかったのかよ……」
「家事?そんなのできるわけないじゃないですか。私、包丁持つといつも怪我するんですよ」
「親御さん、よく一人暮らし許したな……」
ほんと、よく包丁使えないやつに一人暮らしを許したんだろうな。もしかして結構自由な家なのだろうか。
まぁ、俺にはそんなこと知ったこっちゃない。冷たいと思うが、家事が出来ないならば大人しく実家に帰ればいいと思う。無理に一人暮らしをして体を壊すと大変だからだ。
「……それで、お前を居候させることによって生じる俺のメリットは何だ?」
「そうですね……私が先輩にご奉仕してあげます!」
「いらん」
「えっ、即答ですか……こんな超絶美少女にご奉仕される機会なんて滅多に無いですよ!」
余計なお世話だ。
「いや、別に頼んでないから。……それで、他になんか無いのか?」
「うーん、そうですね……あ、食費出します。先輩の分も合わせて」
なぬっ!
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