スマートイレブン 壊滅
大勢のドワーフ科学者が、地下大広間に集結している。
中央には、オオカミ大怪人が。眠っているようだ。
「き、貴様はコーデリアッ!」
ドワーフの一人が、コデロを見て驚愕した。
「私を知っているなら、好都合です」
「貴様のせいで、我々の計画が早まることになった。許せん!」
リーダーらしき老ドワーフが、忌々しい顔でコデロを睨む。
「許せないのは、こっちです。変身!」
コデロは、レイジングフォームへと変身する。
「トゥア!」
直ぐ側にいた、ドワーフの一人を蹴り飛ばす。
壁にめり込んで、ドワーフは絶命した。壁に取り付けられた、計器類を犠牲にして。
「バカな。我々も強化されているはず!」
「レイジングフォームが、パワーアップしているだと⁉」
「まさか! そんなことはデータにないぞ!」
ドワーフたちが、恐れおののいている。
リュートの分析通りだった。レイジングは、強敵との戦いを経て成長しているのだ。決して、弱体フォームなどではない。
「なんでも構いません。ドランスフォード家の仇です。全員あの世に行きなさい!」
フィーンドバスターをベルトから呼び出し、ドワーフをハチの巣にした。
「どれほど、この時を待ちわびていたことか!」
「王に気づかれなければ、計画が早まることなく、お主たちも生きながらえていたものを!」
身勝手な理由をつけて、ドワーフたちが怒りをぶつけてくる。
「なんたる理不尽な。ドランスフォードは、あなた方のせいで消えたというのですね。ならば、あなたたちにも同等の罪を背負っていただきます!」
「死ぬのは貴様だ! デヴィランに楯突いた時点で、貴様ドランスフォードに未来な――」
「もう口を利かないでいただけますか?」
悪態をつくドワーフのノドへ、蹴りの一撃を喰らわせる。
「いやだ、来るな!」
「ひるむな! 我々はデヴィランのメンバーとなったのだ。選ばれし精鋭!」
リーダー格の老ドワーフが、周囲を鼓舞した。
「ひいいいい!」
悲鳴を上げて、逃げ出そうとするドワーフたち。
コウガは、ドワーフの群れを容赦なく後ろから撃つ。
後頭部を撃ち抜かれたドワーフが、ズルズルと倒れた。
「一匹残らず駆除します。もう、あなた方を人とは換算いたしません」
もう誰も、コデロを止められない。リュートでさえも。
「貴様こそ我が野望にたかる羽虫の分際――」
「羽虫は、あなたです」
ハンマーを振るおうとしてきたドワーフの頭を、コウガは銃で吹き飛ばす。
「あとは、あなただけです。羽虫」
「ええい! 我々が作った魔物のトレーニング相手で一生を終えていればよかったのだ!」
コウガは、ドワーフをハチの巣にする。
銃弾を受けてもなお、リーダーの老いたドワーフは引き下がらない。
「我々の悲願、地球の技術取得の邪魔はさせぬ!」
老ドワーフが、モグラ怪人へと姿を変える。
「見よ、これぞ魔物が一人【アナザー・ドワーフ】よ!」
戦闘能力自体は、大したことがない。とはいえ、ドワーフだ。タフで動きもいい。
「なぜそこまで、異界の文化が必要なのです?」
「知的好奇心の充足こそ、我がドワーフの宿願であるからだ!」
コウガの剣攻撃を、モグラ怪人は両手の爪で防ぐ。
「貴様になど分かるまいて。終始時代遅れの技術屋として、陰で罵られる者の苦しみなど!」
「分かりたくもありませんよ。自ら新世代に歩み寄ろうともせず、いたずらに変化を拒絶した老人たちの戯言など!」
「黙れ!」
モグラ怪人が、むやみやたらと爪を振り下ろす。強引ながらも、コード類に注意を払う。
予測不能の攻撃に、コデロも踏み込めない。
「我々は地球へ趣き、起死回生を狙う! 新たな技術を得て、再びスマートイレブンは返り咲くのだ!」
「そのために、我らドランスフォードは犠牲となった!」
「あんなわからず屋集団、一家断絶になって当然だ! 自分たちだけで利益を独占しおって。我々が有効活用してやると、どれだけ教えてやったか!」
なんという逆恨み。ひどすぎる。
彼らの欲望の犠牲となったなんて。
『コデロ、容赦する必要はない』
「もとより承知の上」
コウガは、スネに取り付けてある『
「あなたには、消滅していただきます!」
「死ぬのは貴様だ! 肉体パーツを生体サンプルとして、一生モルモットにしてくれる!」
モグラ怪人の両爪が、光子の輝きを放つ。
「ふははは! 貴様の剣の数倍は威力があるぞ! 喰らえ!」
バッタのように高く跳躍し、怪人が爪を振り下ろした。
コウガは、ハイキックを撃ち込んだ。爪を粉々に砕く。
「なんだと⁉」
「だから言ったでしょう。あなたは時代遅れなのだと」
この武器を、誰が作ったと思っているのか。
最も優秀なドワーフの手によって作り上げられた武器が、過去の栄光にすがる者の凶刃に遅れを取るはずがない。
「地獄へ落ちなさい。レイジングキック!」
後方回し蹴りを、モグラ怪人の胸に打ち込む。
「許すまじコウガ! ドランスフォードめぇ!」
モグラ怪人が、爆発する。
だが、装置が止まらない。
[いかん、このままでは! コ――]
ノアが何かを言いかける。
だが、そのときには、コウガは青白い光に包まれていた。
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