VS コウモリ怪人
「どうする? 下手に動くと気づかれるぜ」
「……ベルト様、いかがいたしますか」
下腹部を押さえ、コデロが小声でリュートに語りかけてくる。
『派手に行く』
秒で返した。
彼らは森を壊しているのだ。野放しにはできない。
かといって、冒険者たちに怪人まで倒せるかとなると。
コデロは、動力部らしいタンクを打ち抜く。
襲撃を受けた怪人たちが、慌てふためいた。
「コデロ、あの資料を持ち帰れないか?」
「やってみます!」
ダニーを守りつつ、戦闘員を蹴散らす。
「こしゃくな人間共! この【ガーゴイル】様の巣を荒らすとは!」
コウモリ怪人が、戦闘員たちに指示を出した。
怪人は全員、姿形が歪だ。改造されているのだろう。
普通の人間と違って、腕力やスピードが強化されている。
それでも、武芸百般なコデロの敵ではない。
彼女は元々、コーデリアという姫騎士なのだ。
怪人の素体が、不衛生な盗賊なのも悪い。
しかし、出来損ないといえど怪人だ。生身で戦えど、コデロは劣勢を強いられる。
コウモリ怪人もリーダー格らしく、戦闘員より強かった。
上空からの襲撃にも、コデロは苦戦する。
『もう限界だ、コデロ。変身する!』
「はい、変身!」
コデロは右腕を天に掲げた。
コウガに変身し、リュートと人格も入れ替わる。
『そこまでだ。デヴィランの怪人ども!』
コウガが飛び出すと、全員が作業を中断した。
「貴様がコウガか! 者ども、かかれ!」
黒騎士が指示を送り、後ろへ下がる。
剣で武装した戦闘員が、コウガに斬りかかってきた。
『トゥア!』
徒手空拳だけで、戦闘員をなぎ倒す。
吹き飛んだ戦闘員が、爆砕する。
『あんたは資料を持って、脱出しろ!』
「そうはいかん。コイツらの目的を知らねば、冒険者も本気で動かん」
机の上に置いてある資料を、ダニーは片っ端から奪っていく。
「おのれ、資料は渡さぬ!」
黒騎士が、剣を抜き向かってきた。コウガにも劣らない太刀筋だ。
コウガが避ければ、ダニーが負傷してしまう。
剣を自ら受けて、ダニーをかばった。
だが、強靱なコウガの鎧には傷一つ付かない。
「ぬう、やはり生身では。【ガーゴイル】、こやつを始末せよ!」
敵わぬと思ったのか、黒騎士がコウモリ怪人に命令し、自身は洞窟を抜け出す。
「待て!」
追いかけようとして、思いとどまった。ここにはダニーもいる。一人にはできない。
「スゴイ情報量だ。これだけあれば、世界征服までされてしまう」
スマート・タグで、ダニーは資料を片っ端から吸収していく。
「持ち帰らせるわけにはイカン! ギイイ!」
コウモリ怪人が、口から超音波を発した。
耳を押さえながら、ダニーがうずくまる。
『大丈夫か!』
救援に向かいたいが、怪人たちが行く手を阻む。
『何か打つ手は……そうだ』
コウガは、銃を引き抜いた。掴んだ瞬間、銃の形状が変化する。コウガの装備も、軽装になった。
『ダニーに当たるなよ』
片手で照準を合わせ、トリガーを引く。怪人たちを避けるように、銃弾はコウモリに命中した。銃弾を操る能力があるとは。
撃ち抜かれた耳をかばい、コウモリ怪人が怯んだ。
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